• 布作家の中川糸子さんが、役目を終えた色とりどりのはぎれに簡単なひと手間を加え、新たな作品へとよみがえらせます。今回は、はぎれをつなぎ合わせて「はぎれロール」をつくります。
    (『天然生活』2015年11月号掲載)

    アンティークの手織りの布、バッグに使ったラメの生地、娘さんが幼少のころに描いた絵付きの白布……。

    「思い入れのある布は、はぎれといっても捨てられないんです」と、布作家の中川糸子さんは、袋に詰め込まれた布ストックを見せてくれました。

    画像: 中川さんのものづくりのなかで出る大量のはぎれは、残したいものだけを選別し、色や柄ごとに袋に入れてストックしておく

    中川さんのものづくりのなかで出る大量のはぎれは、残したいものだけを選別し、色や柄ごとに袋に入れてストックしておく

    大きさが中途半端で一枚では使いづらい布でも、何枚かをつなぎ合わせた〈はぎれロール〉にすれば、用途は一気に広がります。

    キルトのように壁に飾ったり、使い古しのストールに縫い付けてファッションとして楽しんだり。

    「はぎれロールの約15cm幅は使いやすいサイズです。はぎれが大きければカットし、小さければ他の布を縫い足してつなげていけばいい。はぎれロールを何本か合わせるとクッションやベッドカバーにもなります」

    布をつなぐ前に行うのが色合わせです。

    「これこそがワクワクする作業。まずは深く考えずに感性のままに並べていって。同系色でそろえるのもいいし、レトロな花柄の次にポップな色を持ってきてメリハリをつけてみてもいいし、自由な発想で創作してほしい」と中川さん。

    はぎれ以外にも、着なくなった服や古いハンカチなどを有効利用。役目を終えた生地が、ひと手間かけることで特別な輝きを放ちはじめる。そこに暮らしの豊かさを感じるといいます。

    「“使えるもの”として再利用できたときにちょっとした満足感があります。だって、はぎれのままだと使い道に困ってたまっていく一方だから。これ、母が集めていた和服の生地だとか、このチェックで娘に服をつくったとか、思い出がよみがえるアルバムみたいなんです」

    たとえ形がいびつになっても、自分でつくったものなら愛着がわき、思い出が心を潤す、ぬくもりの作品として生まれ変わるのです。

    はぎれロール

    サイズ違いの布を思うがままにつなぎ合わせていく〈はぎれロール〉は、いわばアート作品。壁に飾ったり、テーブルに敷いたりすることで暮らしに彩りを与えてくれます。

    ロール同士をつないでいけばバスマットやクッションカバーなど大きいものをつくることができます。

    つくり方

    ※イラスト内の数字の単位はすべてcm(センチメートル)です。

    1. 約15cmを目安に、大きい場合はカットして、小さい場合は縫い合わせて、同じくらいの幅の布をそろえる
    2. バランスをみながら、それらを長く縫い合わせていく
    3. 余分はカットして切りそろえ、ロール状に丸める
    画像1: つくり方
    画像2: つくり方
    画像3: つくり方
    画像4: つくり方
    画像5: つくり方

    「コースター」のつくり方・中川糸子さん「はぎれを使ってできること」へ ⇒
    「サシェ」のつくり方・中川糸子さん「はぎれを使ってできること」へ ⇒
    「ストール」のリメイク・中川糸子さん「はぎれを使ってできること」へ ⇒

    <デザイン・制作/中川糸子 撮影/馬場わかな 取材・文/梅崎なつこ モデル/高橋尚子 イラスト/佐々木真由美>

    中川糸子(なかがわ・いとこ)
    現サザビーリーグにてディスプレイデザインや企画に携わったのち、独立。2003年ごろからアイデア豊かな布作品を書籍や雑誌に発表。著書は『ななめに掛けるバッグの本』(河出書房新社)など。
    http://www.itoko-design.net/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    This article is a sponsored article by
    ''.