• 被災後の避難生活は、できれば住み慣れた家で送りたい。でも、その場合、どうやって自宅を安全な避難場所にする? 必要な備えと対策を防災のプロに伺いました。今回は、「非常食」と「防災グッズ」の備えについて。
    (『天然生活』2016年7月号掲載)

    被災後に必要なものは、被災直後から段階的に変わります。家族の命を守るために備えたいものと、その使い方を紹介します。

    食べ物の心配あれこれ

    電気もガスも水道も使えない……そんな状態でも、食べることは不可欠。何を備え、どう食べる? 食べ物にまつわる疑問に永田さんが答えます。

    水と非常食、備える量は?

    画像: 水と非常食、備える量は?

    「水は、大人ひとり一日2リットルは必要です。なので、ストックはひとり一日2リットル×家族の7日分の準備をしましょう」

    使い勝手と、ごみの量を極力減らすことを考えれば、500mlより2リットルサイズでのストックがおすすめ。

    非常食は缶詰やインスタント食品、主食となる米、餅、小麦粉などを1週間分備蓄することが、行政的にも推奨されている。

    被災時に役立つ3つの料理道具

    画像: 被災時に役立つ3つの料理道具

    カセットコンロとボンベがあれば、お湯を沸かすことができるので、食べられる食材の幅が広がる。

    「ガスボンベは一本で約60分、使用可。ボトルが損傷しない限り使えるので、15~20本は備蓄して。また、やかんがあれば湯沸かしが楽で、カップラーメンなどインスタント食品をつくりやすい」

    湯せんがしやすい両手鍋も、多用途に活躍する。

    電気が止まったあとの食料保存対策、教えます

    画像: 電気が止まったあとの食料保存対策、教えます

    電気が止まったら、まず注目すべきは冷蔵庫。被災直後はすぐ非常食に手をつけず、冷蔵庫に残っているものから食べはじめて。

    「保冷材や冷凍食品は食品を冷やすための電力代わりになるので、冷蔵庫の生鮮品や牛乳などと一緒に素早くクーラーボックスに移すこと。非常食を食べはじめるのは、庫内の食品を食べ終えてから、が鉄則です」

    「米」と「パン」のおいしい調理アイデア

    画像: 「米」と「パン」のおいしい調理アイデア

    エネルギー補給の源である米やパンなどの主食も、災害時に炊飯器やトースターを使えないと食べづらい。

    「そんなときは、冷凍パンならさっと水にくぐらせ、アルミホイルで包んでコンロで焼けば、ふわっとします。米は同量の水と耐熱のポリ袋に入れて縛り、湯を張った両手鍋で約20分煮れば、おいしいごはんに。湯は味噌汁用にもなります」

    ストックしてよかった重宝する保存食とは?

    画像: ストックしてよかった重宝する保存食とは?

    最近ではフリーズドライ食品やレトルト食品などのインスタント食品がおいしく進化。野菜不足になりがちな避難生活中は、フリーズドライの野菜でビタミンやミネラル補給をするのもいい。

    「個人的には、アマノフーズのチーズリゾットや無印良品のレトルトカレーがおすすめです」

    避難生活にこそ必要なおやつの時間

    画像: 避難生活にこそ必要なおやつの時間

    「先が見通せない不安が募る避難生活にこそ、甘くて、心をほっとさせてくれるおやつが欠かせません」

    どんな状況でも手軽に食べられる飴、高カロリーでエネルギーの補給にもなるチョコレート、断水で口をゆすげないときのストレス緩和にもなるキシリトールガムなど、実用的かつ好みの味のおやつを数種類用意しておくとよいそう。

    最近よく耳にするローリングストック法とは?

    「災害後、運よく近所のスーパーやコンビニが開いていたとしても、水や食料品、乾電池は、あっという間に売り切れてしまいます。人と争うように必需品を買いに走るのは避けたいところ。災害の前に、十分な食料と防災のための日用品をそろえておくと安心です」

    食の備蓄は、最近の基本的な考え方である“ローリングストック”と呼ばれる方法を取り入れて。

    「非常袋の非常食を食べようとしたら賞味期限が切れていた……とならないように、日々食べているものを多めに買い置きし、ふだんどおりに食べながら不足分を買い足していくのがローリングストック法。非常時でも日常に近い生活を送ることが、より快適な避難生活につながります」

    非常食は、栄養価が高く高カロリーのものを選ぶのがよいので、ふだん、カロリーの低い食品を選びがちな人は注意しましょう。

    日用品に関しては、ラップやポリ袋など、アイデア次第で多用途に使えるもの、電気が止まったときに役立つ明かりや情報源になるラジオ、健康と清潔を保つためのグッズなどをそろえておくべき、と永田さん。

    「突然やってくるその日のために、万全の備えを」

    防災のための日用品

    永田さんが理事長を務めるNPO法人「プラス・アーツ」の“自宅での避難生活に役立つ最新防災グッズ”から、選りすぐりの15点を紹介します。

    食品用ラップフィルム

    画像: 食品用ラップフィルム

    配給食の保存はもちろん、お皿に敷いて食事をすれば、洗う水の節約に。また、ケガをしたときには応急用の包帯代わりにもなる。耐熱性や耐水性の高いものを選んで。

    大判ハンカチ

    画像: 大判ハンカチ

    大量に舞う粉じんよけマスクや出血した際の止血用の当て布、体をふくタオルとして、さまざまな使い方ができる大判ハンカチ。常に複数枚、用意しておくと安心。

    新聞紙

    画像: 新聞紙

    骨折時の添え木代わりや、割れたガラスを包むとき、また、緊急トイレをつくる際の吸収材としても活用できる新聞紙。回収時に全部出さず、常に3日分くらいはストックを。

    ポリ袋

    画像: ポリ袋

    大きなポリ袋はバケツやリュックにかぶせて、水の運搬用に。レジ袋は骨折時の吊り手用の三角巾代わりに、耐熱性のある高密度ポリエチレンの小さな袋は調理用にも使える。

    携帯ラジオ

    画像: 携帯ラジオ

    “情報が不足し、いまの状況がわからない”というのはパニックの大きな要因のひとつに。できれば手回し発電やソーラー充電ができる携帯ラジオを、1家庭に1台常備。

    LEDランタン

    画像: LEDランタン

    室内照明として部屋全体を明るく照らし、余震が起きても火事の心配がないLEDランタン。リビング、キッチン、トイレと、3つは必要。乾電池の予備も忘れずにストック。

    ヘッドライト

    画像: ヘッドライト

    頭にフィットして、両手を自由に使えるヘッドライトは、災害時に欠かせないアイテム。暗闇での作業が格段にスムーズに。LEDタイプを家族の人数分、用意しておくのがいい。

    口腔ケア用ウエットティッシュ

    画像: 口腔ケア用ウエットティッシュ

    水道が止まって歯みがきができなくなると肺炎などの感染症にもかかりやすくなるので、要注意。歯みがきのほか、箸やカトラリーをふいたり手をふいたりと、多用途に使える。

    大判型のウエットタオル

    画像: 大判型のウエットタオル

    断水などで水を自由に使えないときの必需品がこれ。体がさっぱりすると、気持ちも上向きに。ひとり、1日に1〜2枚必要なので、1カ月分だと約50枚必要と心得て。

    簡易トイレ

    画像: 簡易トイレ

    便や尿の水分を強力に吸収・凝固し、消臭効果もある簡易トイレがあると、災害時は安心。使用後は可燃ごみとして処理可。洋式便器や組み立てボックスに取り付けて使う。

    底が厚い運動靴

    画像: 底が厚い運動靴

    ガラスなどの破片でケガをしないためにも、家族分の運動靴を備えておくこと。水害で長靴を履くと、長靴内に水が入って、足元をとられることがあるため、注意して。

    革の手袋とほうき

    画像: 革の手袋とほうき

    軍手や布の手袋だと割れた食器やガラスなどで手を切る心配があるため、丈夫な革手袋を用意したい。また、電気を使えない期間の掃除は、ほうきや粘着クリーナーを中心に。

    電池

    画像: 電池

    携帯ラジオやランタン、ヘッドライトなど、電池を使用するグッズのために、セットでストックしておきたい乾電池。どれにどのサイズが必要なのか、その把握も怠りなく。

    暑さ・寒さ対策

    画像: 暑さ・寒さ対策

    子どもや高齢者がいる家庭では、とくに大事。低体温症や熱中症にならないよう、冬場は毛布やカイロ、夏場はタオルを。タオルは水を含ませて首に巻けば、ひんやりする。

    トイレットペーパー

    画像: トイレットペーパー

    災害時に真っ先にスーパーからなくなるというトイレットペーパー。携帯用トイレで使うのはもちろんのこと、いろいろな場面で活躍するので、ふだんから多めにストックを。

    防災のプロ永田さんが持ち歩く防災グッズを公開

    画像: 防災のプロ永田さんが持ち歩く防災グッズを公開

    国内・海外出張も頻繁にあるという永田さん。そんな永田さんがいつも持ち歩いている防災グッズは?と、バッグの中身を見せていただきました。

    「まずは充電器。少し重くても、スマホやパソコンの充電のために欠かせません。また、停電に備えて、コンパクトなLEDヘッドランプもいつもバッグに。輪ゴムとポリ袋は、物を入れるほか、応急処置の手袋代わりに。大判ハンカチも必ず持ち歩いています」

    画像: そのほか、閉じ込められたときの命綱になる笛、非常食としてのシリアルバーや飴、防災ハンマー付きのキーホルダーも持ち歩く

    そのほか、閉じ込められたときの命綱になる笛、非常食としてのシリアルバーや飴、防災ハンマー付きのキーホルダーも持ち歩く

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    <監修/永田宏和 イラスト/平井きわ 取材・文/宇野津暢子>

    永田宏和(ながた・ひろかず)
    1968年、兵庫県出身。防災プロデューサー。NPO法人「プラス・アーツ」理事長。防災に関する企画、運営、講演を数多く手がけ、防災教育の普及に取り組む。企業の防災アドバイザーも務める。
    http://www.plus-arts.net/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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