• 『天然生活』誌上に、2012年11月号から2014年3月号まで掲載された、人気連載「松田美智子の季節の仕事」。その中から、「黒豆」を取り上げた記事を紹介します。今回は、シンプルな「黒豆のゆで方」と、お正月用の「黒豆の煮方」です。
    (『天然生活』2013年1月号掲載)

    黒豆 | 11月~

    豆は上菓子の扱いで。  松田美智子

    元気でまめに働けますように、の願いを込めた黒豆は、おせち料理に欠かせません。

    でも、砂糖が贅沢だった昔どおりのやわらかくて甘い黒豆はちょっと苦手という方も多いのではないでしょうか。

    「和菓子づくりを上菓子司『岬屋』さんに習ったときのことです。乾燥したままの小豆を直接、熱湯の中に入れてゆで、あんをつくりました。まず熱湯で表面を加熱することで、豆の風味が逃げないのです。だから、岬屋さんのあんは香り高い。目からうろこの発見でした。その手法を応用して黒豆を煮ることを思い立ち、実験してみると、いい具合です。これまでの、やわらかすぎるか、かために煮ると味が入りにくい、という悩みが解消され、豆らしいほっくりとした歯ごたえと香りを残しながら、やさしい甘さに煮上がりました。その後、土鍋で素材の味を損なわずに煮る、いまの方法にゆき着きました」と松田美智子さん。

    砂糖を加える前のゆで上がった状態で、豆とゆで汁に分けて冷凍保存しておくと、正月用の黒豆だけでなく、シチューやパンなど料理にも広く使えて便利なことも教えてくれました。年末の忙しいときに、最後の仕上げだけで黒豆が煮上がるのもうれしい点です。

    この暮れは、いいことづくしの “土鍋煮” にチャレンジしてみてください。


    黒豆のゆで方

    黒豆は甘いもの、という先入観を捨てて、ほっくりとゆでただけの豆を持っておくと、さまざまに使えて便利です。

    材料(つくりやすい分量)

    黒豆 300g(ゆでた状態で約4カップ)

    つくり方

    〈黒豆をゆでる〉

    1. 直径20~24cm、深さ15cm以上の土鍋、または鋳物ホウロウの鍋に八分目まで水を入れ、ぼこぼこと完全に沸かした中に黒豆を入れる。
    2. 鍋中で豆が少し踊るくらいの状態を保ち、上にシブが浮いてきたらすくう。すくうつどに同量の水を加えるという作業を繰り返し、水量を変えずに30分ほどゆでる。
    3. 食べてみて、ほどよい歯ごたえは残っているが、十分に豆の風味が出て、自然の甘味を感じられるようになったらOK。ふたをしてそのまま冷ます。冷めたら、皮が破れないように豆を手ですくい、煮汁と分ける。すぐに使わない場合は、豆と別々に冷凍保存する。
    画像: 土鍋に完全に湯を沸騰させた中に、ざっと汚れをぬぐっただけの乾燥した豆を入れる。沸いてきたら火を弱め、軽く豆が踊るくらいの火加減を保つ

    土鍋に完全に湯を沸騰させた中に、ざっと汚れをぬぐっただけの乾燥した豆を入れる。沸いてきたら火を弱め、軽く豆が踊るくらいの火加減を保つ

    画像: すぐにシブ(豆から出るあくや気泡)が出てくるので、シブをすくい、同量の水を戻すようにして、水量を変えずに、30分ほど豆をゆでる

    すぐにシブ(豆から出るあくや気泡)が出てくるので、シブをすくい、同量の水を戻すようにして、水量を変えずに、30分ほど豆をゆでる

    画像: ゆでた黒豆を保存する場合は、豆とゆで汁に分けること。こうすると、豆だけ、汁だけ、と使い分けられる。甘く煮た豆は汁ごと冷凍するといい

    ゆでた黒豆を保存する場合は、豆とゆで汁に分けること。こうすると、豆だけ、汁だけ、と使い分けられる。甘く煮た豆は汁ごと冷凍するといい


    正月用の黒豆の煮方

    豆の風味と歯ごたえを残してゆでた黒豆に、少しずつ甘味を入れていくこの方法だと、短い時間で煮上がります。

    画像: 正月用の黒豆の煮方

    材料(つくりやすい分量)

    • ゆでた黒豆 4カップ
    • ゆで汁 4カップ
    • 三温糖 1/2カップ+1/3カップ
    • 酒 1/2カップ
    • 薄口しょうゆ 大さじ1と1/2~2

    つくり方

    〈正月用に黒豆を仕上げる〉

    1. 直径24cm程度の浅型の土鍋にゆで汁を入れ、700mlまで煮つめる。ゆでた黒豆を加え、三温糖1/2カップと酒を加え、不織布のキッチンペーパーを二重にして紙ぶたをし、ふつふつと沸くくらいの弱火で20分、煮ふくめる。ふたをして火を止め、ひと晩おく。
    2. 翌日、弱火にかけて常温にもどし、三温糖を加え、弱火で15分ほど煮る。
    3. しょうゆを加え、さらに弱火で15分ほど煮る。ふたをして火を止め、粗熱を取る。冷蔵庫でそのままひと晩おくと、さらに味が入る。煮汁ごと冷凍保存可能。冷蔵なら3~4日。
    画像: ゆでた豆を、煮つめたゆで汁、三温糖、酒でふくめ煮し、ひと晩おいた状態。再度、火にかけるときに水分がひたひたまでなければ水を足す

    ゆでた豆を、煮つめたゆで汁、三温糖、酒でふくめ煮し、ひと晩おいた状態。再度、火にかけるときに水分がひたひたまでなければ水を足す


    <料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>

    松田美智子(まつだ・みちこ)
    日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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