• 何かを手に入れるときは、思いきって “第一希望” を選ぶ。そのときは、高価さにドキドキするけれど、それは必ず、20年後、30年後、さらには世代を超えた、わが家の定番になるのです。今回は、「身に着けるもの」についてのお話を伺いました。遊び心のある変わり種のキッチングッズも紹介します。
    (『天然生活』2016年11月号掲載)

    好きな服も、スタイルもずっと一緒

    年を経ていくことで、変わることを受け入れる

    洋服に関しても、好みはほとんど変わっていません。白いシャツ、リネン、そしてコンバース。

    「自分が好きで、似合う間は、これでいいと思っています。ただ、年を重ねるにつれて少しずつ、変わっていくケースもあります」

    たとえば、愛用してきた「プチバトー」のTシャツ。身に着けたある日、なんとなくの違和感が。

    「そこで、『あ、これはもう、私には違うんだな』と納得したんですね。とはいえ、アイテムとしてのTシャツは変わらず大好きですから、いまの自分に合うものをあれこれ試しているところ」

    手に入れるなら、気に入ったものを。たとえ、それが若い時分には背伸びが必要でも、思いきって手を伸ばし、長く使う。一方で、それがいまの自分らしくないと感じたら、すっきり手放す。

    こだわるけれど、固執はしない。それが、物を厳しくジャッジしつつ、不思議と風通しのいい粕谷さんの暮らしの秘訣なのかもしれません。

    制服のように白いシャツ

    画像: 昔から、白いシャツが好き。丈の長さ、衿の有り無しなど、デザインに少しずつ違いはあるけれど、どれも、身に着けていて落ち着ける。見せてくれたものはすべてfogのもの。手触りのいいものが好み

    昔から、白いシャツが好き。丈の長さ、衿の有り無しなど、デザインに少しずつ違いはあるけれど、どれも、身に着けていて落ち着ける。見せてくれたものはすべてfogのもの。手触りのいいものが好み

    アクセサリーはダイヤのピアス一択

    画像: 50歳の誕生日に、ご主人から贈られたのはダイヤのシンプルなピアス。フォーマルなシーンはもちろん、カジュアルなスタイルにも合う。「アクセサリーはあれこれ買わず、このピアスだけにしようと思っています」

    50歳の誕生日に、ご主人から贈られたのはダイヤのシンプルなピアス。フォーマルなシーンはもちろん、カジュアルなスタイルにも合う。「アクセサリーはあれこれ買わず、このピアスだけにしようと思っています」

    靴といったらコンバース

    画像: 学生時代から、履きつぶしては買い替えつづけてきたコンバース。なぜか、いつもハイカット。「色も、生成、紺、グレーの3色と決まっていて。服もこの3色ばかりなので、どんなコーディネートにもぴったり合います」

    学生時代から、履きつぶしては買い替えつづけてきたコンバース。なぜか、いつもハイカット。「色も、生成、紺、グレーの3色と決まっていて。服もこの3色ばかりなので、どんなコーディネートにもぴったり合います」

    リネンは一年中

    画像: 好きな素材は、肌触りの気持ちいいリネン。夏はさらりと一枚で、冬は重ね着をしながら、一年中、楽しんでいる。この秋、手に入れたのは「fog」のエメリコート。羽織っただけでさまになるデザインで、重宝している

    好きな素材は、肌触りの気持ちいいリネン。夏はさらりと一枚で、冬は重ね着をしながら、一年中、楽しんでいる。この秋、手に入れたのは「fog」のエメリコート。羽織っただけでさまになるデザインで、重宝している

    なくても困らないけど、あったら楽しいニッチな道具

    ときに、“かわいい個性派” も、笑って受け入れる

    画像: 単純作業は大得意、の道具たち。いまや手放せないほど手になじんだ個性派は、主に、ご主人が海外で見つけて持ち帰ってくるのだとか

    単純作業は大得意、の道具たち。いまや手放せないほど手になじんだ個性派は、主に、ご主人が海外で見つけて持ち帰ってくるのだとか

    さて、ばっちり実用的かつ、物としての魅力にあふれたスタメンに囲まれた粕谷家ですが、実は、個性が強すぎる変わり種メンバーも。

    彼らの生息地帯は、主にキッチン付近。それは、ご主人が持ち帰ってくる、実にニッチな道具の数々です。

    あちこちの引き出しから、出てくる、出てくる、「いったいこれは、何のために使うのやら?」の、ぱっと見では、その用途を想像すらできない、謎めいた風体の面々。

    「一番バカバカしいのは、これかな? スイカの種を、取るためだけのフォーク。なんだかどれも、笑えるでしょう? でも、長年の相棒のような信頼できる調理道具に囲まれているからこそ、この個性的な面々も、 “むだ” ではなく、 “面白い” 存在と思えるんですよね。これはこれで、やっぱり大切。意外に、その用途に限れば、驚くべき能力を発揮するしね」

    周りを、長年愛せる実力派で固めておく。そのなかに、くすっと笑える遊び心のあるメンバーも潜ませておく。

    小さな暮らしを、楽しみながら心地よくまわすコツ。それは、こんなスパイス的存在をも笑って受け入れる、穏やかなゆとりとユーモアなのです。



    <撮影/嶋本麻利沙 取材・文/福山雅美 構成/fika>

    粕谷斗紀(かすや・とき)
    スタイリスト・吉本由美さんのアシスタントを務めたあと、独立。子育てをしながら、幾つかのブランドのプレス業を行う。現在は普段使いのリネンを提案する「フォグ リネンワーク」にてプレスとして勤務。夫、長男、長女との4人家族。
    http://www.foglinenwork.com

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです


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