• 二十四節気 啓蟄(3月5日〜3月19日)
    日々の暮らしの中にある季節の移ろいを
    白井明大さんの詩・文と當麻妙さんの写真で綴ります。

    草が青い

    休みたい
    ときにも
    用事はあって

    どうやって
    休もうか
    考えてみる

    、て
    言うだけで
    考えてなくて

    ぼんやり
    ただ
    休みたい

    、て
    思ってる

    草が
    青い

    草は
    芽を出して

    あとから
    あとから
    生えてきて

    眠たくて
    ただ
    眠たくて
    眠たくて

    あの
    青い
    草に

    ねそべったら
    気持ちいい
    だろうな

    、て
    春眠
    あかつき

    とも
    かぎらず
    ひねもす
    思い思い

    窓辺の
    ほっと
    ひだまりで
    まどろむ

    あと
    もう少し
    だけ

    あと
    もうもう
    少しだけ

    季節の言葉:草青む(くさあおむ)

    冬ごもりしていた虫たちが、陽気に誘われて土から顔を出す季節、二十四節気の啓蟄(けいちつ)が三月五日からはじまります。

    しだいに暖かくなり、あちらこちらに草が生えて青々とするようすを、草青むといいます。七十二候* では、三月十日~十四日に啓蟄次候「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」が訪れ、虫や草の目覚めに続いて、桃の花の咲く頃へと。

    春眠暁(しゅんみんあかつき)を覚えずといいますが、朝にかぎらず、終日(ひねもす)のほほんと寝ていたいような、そんな気分も春ならでは。

    *七十二候……旧暦で一年を七十二の、こまやかな季節に分けた暦。日付は2020年のものです。

    白井明大(しらい・あけひろ)
    詩人。沖縄在住。詩集に『生きようと生きるほうへ』(思潮社、丸山豊賞)ほか。近著『歌声は贈りもの こどもと歌う春夏秋冬』(福音館書店)など著書多数。新刊に、静かな旧暦ブームを呼んだ30万部のベストセラー『日本の七十二候を楽しむ ー旧暦のある暮らしー 増補新装版』(KADOKAWA)。

    當麻 妙(とうま・たえ)
    写真家。写真誌編集プロダクションを経て、2003年よりフリー。雑誌や書籍を中心に活動。現在、沖縄を拠点に風景や芸能などを撮影。共著に『旧暦と暮らす沖縄』(文・白井明大、講談社)。写真集『Tamagawa』。
    http://tomatae.com/


    This article is a sponsored article by
    ''.