• 朝の過ごし方が、その日一日の流れを決定づけます。暮らし上手な女性たちには、それぞれ自己流の工夫がありました。今回は、花生師の岡本典子さんを訪ねます。
    (『天然生活』2016年5月号掲載)

    部屋の風通しをよくして植物と一緒に呼吸する

    市場に花材の仕入れがある日は、起床時間が午前3時前。それがない普通の日でも、午前4時台にはベッドを脱出。「花の仕事は、朝が早い」と噂には聞きますが、まさに「早起き鳥」と呼ぶにふさわしい暮らしぶりの岡本さん。

    「逆にいうと、私の場合、『午後はオマケ』くらいな感じで、夕方には早々にスイッチが切れてしまいます。だから午前中をいかに効率よく動くかが、その日の出来栄えを決めるといっても過言ではなく、私にとって朝は、とても大切な時間帯なんです」

    目覚めて一番にすることは、寝室の2階からリビングダイニングがある1階に下り、庭に面した窓を開け放し、部屋の空気の入れ替えを。そして、テーブルにあるろうそくに火を灯します。

    「植物は二酸化炭素を吸って光合成をしますよね。勝手なイメージですが、炎で部屋の空気を浄化するとともに、二酸化炭素が出ることで、なんとなく家の植物たちに『ごはんをあげている』感覚です。草花が気持ちよく育つ環境をつくることは、私たち人間にとっても心地よい気がして」

    ほんの10数分のことですが、植物も人も深く呼吸ができるような時間をもつことで、気分もキリリと引き締まり、新しい一日のスタートを気持ちよく切ることができるのです。

    洗濯機をまわしはじめたら、部屋の掃除や片づけと並行して、家の中の植物や花の手入れを開始します。鉢や花瓶の数も相当なもので、ひとつひとつじっくり見つめながらの世話はかなりの手間ですが、それでも「植物から生きるエネルギーをもらっている」と断言する岡本さんにとっては、欠かすことのできない日課なのです。

    画像: 「よく、『植物がすぐ枯れちゃう』と相談を受けますが、枯れる前に手を打つ、ふだんからよく見ることが大切なんです」

    「よく、『植物がすぐ枯れちゃう』と相談を受けますが、枯れる前に手を打つ、ふだんからよく見ることが大切なんです」

    岡本典子さんの朝の時間割

    4:00 起床、身支度、1階の窓を開けて喚気し、キャンドルを灯す

    窓を開けて換気をしてキャンドルを灯す

    画像1: 4:00 起床、身支度、1階の窓を開けて喚気し、キャンドルを灯す

    冬のどんなに寒い日も、雨の日も、必ず一度、窓を開け、部屋全体の空気の入れ替えを行い、キャンドルに火を灯す。「新鮮な空気と火で、部屋の中を浄化するイメージです」。こうすることで、夜のうちに眠っていた部屋も目覚め、新たに呼吸を始めるかのよう。

    画像2: 4:00 起床、身支度、1階の窓を開けて喚気し、キャンドルを灯す

    4:10 洗濯機をまわす

    朝一番に洗濯機をまわす

    画像: 4:10 洗濯機をまわす

    身支度と換気をしたら、まずは洗濯機をまわしておく。朝一番にセットしておけば、外出前にすみやかに干すことができ、ときには旦那さまに「干すのだけお願い」と頼むことも可能。「家事はできるだけ家族を巻き込みたいので、手伝いやすいよう工夫することも大事ですね」

    4:20 植物や花の手入れ

    家じゅうの植物や花の手入れ

    画像1: 4:20 植物や花の手入れ

    「朝の早い時間帯に大好きな植物に触ることで、気持ちも上がりますし、光合成が行われるのは主に午前中なので、朝のうちに世話をするのは植物にとってもベストなんです」。最低でも30分、余裕があるときは午前中いっぱい時間をかけて、じっくり植物と対話を。

    画像2: 4:20 植物や花の手入れ

    4:50 リビングの片づけと掃除

    リビングは朝のうちに片づける

    画像: 4:50 リビングの片づけと掃除

    前の晩に子どもたちがリビングに持ち込んだおもちゃや毛布などを元の位置に片づける。「ソファや机の上など『面積の大きい部分』を意識してすっきりさせると見た目にもすがすがしくなるよう」。朝のうちに、ある程度、部屋を整えておくと、夕方に帰宅してからの家事がスムーズ。

    5:00 足湯をする

    ハーブや柑橘を入れて足湯

    画像1: 5:00 足湯をする

    戸建ては室温が下がりやすく、花の仕事もどうしても冷えるので、足湯をするのは長年の習慣。朝のうちに行うと、血行がよくなり、体から目覚めて、一日を活動的に過ごせるように。食事に使った柑橘類の皮や庭で摘んだローズマリーなどを入れ、香りからもリフレッシュ。

    画像2: 5:00 足湯をする

    5:15 朝食とお弁当づくり、晩ごはんの簡単な仕込み

    朝食の準備と夕食の仕込み

    画像: 5:15 朝食とお弁当づくり、晩ごはんの簡単な仕込み

    たとえばサラダなら、多めにつくって「朝食用」「夕食用」のお皿に分け、盛りつけまで行っておく。スープなら2食分をまとめて仕込んでおく。2食続いても飽きない秘訣は、彩りになる食材をふんだんに加え、見た目からも楽しげにすること。「花と同じく、色って大事ですよね」

    5:30 テーブルセッティング

    テーブルセッティングをきちんと

    画像1: 5:30 テーブルセッティング

    この日は中近東のアンティークの布をテーブルセンターとして敷き、「ころがしりんご」と呼んでいる姫りんごを彩りに。朝食前のテーブルセッティングは、岡本さんの朝の大切な習慣のひとつ。きれいな朝の光は、花のアレンジの想像もかき立てられるそう。

    画像2: 5:30 テーブルセッティング

    5:40 2階を換気し、子どもを起こす、ベッドまわりの整頓

    2階を換気し、子どもを起こす

    画像: 5:40 2階を換気し、子どもを起こす、ベッドまわりの整頓

    階段の途中にある窓を開けて、2階の部屋たちも換気を開始。「新鮮な空気が入ってくると、子どもたちの目覚めもスムーズになり、家全体のめぐりもよくなるみたいです」。子どもたちが布団から離れたら、ついでにベッドまわりもさっと整えておくと、夜も気分よく眠りにつける。

    6:00 家族4人で朝食

    朝食は取り分けスタイルで

    画像1: 6:00 家族4人で朝食

    「わが家はどちらかというと、夕食よりも朝食がメイン。器も料理に合わせて選びます」。中央にスープ、サラダ、パンなどを置き、それぞれが取り分けるスタイルにしているので、子どもたちも自然に器を出したり、盛りつけなどを手伝うようになったそう。

    画像2: 6:00 家族4人で朝食

    6:30 後片づけ、洗濯物を干す、部屋の掃除の続き、夫・息子を送り出す

    7:00 保育園の送迎、そのままアトリエへ出勤

    画像1: 7:00 保育園の送迎、そのままアトリエへ出勤


    <撮影/柳原久子(https://water-fish.co.jp/) 取材・文/田中のり子>
    画像2: 7:00 保育園の送迎、そのままアトリエへ出勤

    岡本典子(おかもと・のりこ)
    「Tiny N」主宰。短大の園芸科卒業後、渡英し、4年間、花を学ぶ。テレビ、雑誌、広告、展示会、店舗の空間スタイリングなどで活躍。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです


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