• 食べるもので、わたしたちの体はつくられています。どんなふうに食べものをいただくかは、どんなふうに生きていくか、未来の風景に繋がっています。そこかしこに咲く、食べられる草を紹介しながら、生きる知恵と力を紹介します。今回は、春の七草のひとつで、ぺんぺん草とも呼ばれる「ナズナ」をいただきます。さぁ、自然に生きる草花を摘み、自然なごはんをいただきながら、自然な生き方へ。

    ナズナの葉の摘み方

    画像1: ナズナの葉の摘み方

    葉っぱは、花を咲かせるためにある。それを教えてくれる花が、ナズナです。

    花を咲かせた途端、葉っぱは退化して、みるみるうちに枯れてしまうのが、ナズナの特徴。

    ぺんぺん草という名前の由来になった、ハート型のものを “葉” と勘違いしている方もいますが、それは、種が入ったサヤです。

    花が咲いたナズナの根本を見ると、どこにも葉っぱは見当たりません。すべての力を花に捧げて土に還ったのです。

    葉っぱをいただくときは、花が咲く前に摘みます。

    すべての植物がそういうわけではありませんが、花を咲かせた葉っぱは栄養(香りや味)がなく、硬くなっているものが多いから。

    大地の力も、お日様の力も、十分に蓄えた葉をいただくなら、花が咲く前に摘むのが一番です。

    画像2: ナズナの葉の摘み方

    ナズナは、わたしたちが暮らす、身近なところに生えています。日当たりが好きなので、空き地や畑、庭など、高い建物がないところを探してください。

    タンポポに似た、ギザギザの葉をしていますが、花が咲く前は見分けが難しいかもしれません。真ん中に白い小さな蕾を見つけたら、ナズナの可能性は高いです。

    画像3: ナズナの葉の摘み方

    ナズナ茶漬けのつくり方

     洗った葉を食べやすい大きさに切り、ごはんの上に置く。

     梅干しや鰹節など、お好みの具をアレンジして、ほうじ茶などのお茶をかけていただく。

    クレソンのような苦味を含む味には、日本人の食生活に不足しがちなビタミンB2を豊富に含んでいますが、最近のナズナは味がないものもあります。

    生えているところの土の状態で、味が違いますので、いろんなところのナズナの味を食べてみてください。

    ◇ナズナ アブラナ科ナズナ属

    2月から6月にかけて、白い十字の花を咲かせる。ペンペングサ、シャミセングサの別名を持ち、春の七草でも、ナズナの名前で親しまれるほど、古くから日本に自生。

    ビタミンA・B・C、鉄やカルシウムなどのミネラルを多く含む、スーパーフード。日本では、七草粥に入れるが、油で炒めても、お味噌汁の具に入れてもよい。サラダとして食べる習慣は世界各地でみられ、中華料理にも使われる。

    中国の『本草綱目』には、「五臓を利し、目を明にし、胃を益す」とある。ナズナに含まれるコリンは脂肪をとかす働きが強く、肝臓によいという。

    ◇美しい大地、きれいな水にするためにできること

    草を摘むときに、枯れた葉や食べない部分は、その場でとって、その場で土に還しましょう。家にコンポストがある方は、家で土に還せますが、できるだけ、ゴミ箱に捨てないように。ゴミ箱に捨てたものは、海や山あいに埋め立てられ、自然を汚したり、自然のバランスを崩します。ほとんどの都道府県が、捨てる場所に限りがでて、美しい森や海を削っています。

    ゴミ箱に捨てる前に、土に還そうという意識を大切に!

    ◇摘み草をいただくコツ

     水をためたボールに葉を入れてきれいになるまで洗いましょう。

     毒草もあるので、食べられる草とわかるものだけを摘みましょう。

     除草剤がかかっていないことを確認できる場所の草を摘みましょう。

     摘むときは「ありがとう」の気持ちを込めて。食べなかった草は、土にかえしましょう。


    <写真・文/かわしまようこ プロフィール写真/大沼ショージ>

    画像: ◇摘み草をいただくコツ

    かわしまようこ
    幼少の頃から雑草が好きだった記憶をもとに、草を摘みながらこころと体を調え、潜在意識に触れる雑草教室やリトリートを開催。最近は、絵本づくりと草を使った商品づくりをはじめ、虫さされのかゆみを抑えるオオバコオイルが大人気。著書に『道ばたに咲く』など。


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