• 新型コロナウイルス感染症への警戒が続き、家庭でできる対策法も徐々に広まってきているものの、慣れないことに戸惑いを覚えている人も多いのではないでしょうか。「ウイルスの特徴をとらえれば、ナチュラルな洗浄剤を使って対策できます」というのは、ナチュラルクリーニング講師・本橋ひろえさん。『天然生活』ではおなじみの洗浄剤(*1)を使い、ふだんの洗濯・手洗い・掃除の延長でできることを教えていただきます。今回は、使う機会も増えた布製マスクを、ナチュラルな洗浄剤だけで効果的に洗う方法について伺いました。
    *1 「洗浄剤」とは、重曹やクエン酸など、合成洗剤以外の洗浄成分のあるものを指します。
    (『天然生活』2020年7月号掲載)

    布マスクの洗浄には「界面活性剤」である無添加石けんを

    ウイルスは大きく2種類に分かれ、そのうち、新型コロナウイルスは、脂質の膜で覆われた「エンベロープウイルス」に属します。不活化させて、感染力をなくすには、脂質の膜を壊すことが効果的です。そのため、マスクを洗うときには、界面活性剤の力を活用してほしい、と本橋さん。

    「界面活性剤は、あぶら汚れの表面に吸着して汚れを引き離して包み、小さな粒にして水に混じり合わせ、取り除く働きがあるからです」

    界面活性剤は大きく分類して、石けんと、合成界面活性剤の2つに分かれます。「合成界面活性剤は、洗濯用や台所用などの合成洗剤の主成分で、少量でも、薄めても効果が持続するので、しっかりすすがないと残留しやすいという特徴があります。マスクは口を覆うものでもありますから、手や顔もやさしく洗える石けんの使用をおすすめします」

    石けんは天然の油脂とアルカリが原材料で、シンプルな構造で分解しやすく、手肌を洗うのにも適しています。布マスクの洗浄には、洗濯用の固形石けんが一番おすすめ、と本橋さん。

    「液体や粉末のものに比べて、石けんの濃度が一番高く、洗浄力に優れているからです。選ぶときは、表示をよく読んで。人工香料や蛍光増白剤、酵素などの成分を含むものは、マスクに化学物質が残留したり、雑菌が繁殖したりする原因に。無添加のものを選びましょう」

    アイロンの熱の力で消毒&除菌

    布マスクの新型コロナウイルス対策には、洗浄だけでなく、消毒もセットで行う必要がある、と本橋さん。

    消毒といえば、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を使う方法が広く伝えられていますが、

    「消毒効果は十分なのですが、強アルカリ性で、取り扱いには細心の注意が必要。吸い込んだり、肌に付着したり、目に入ったりすると危険ですし、酸性の洗剤・洗浄剤に混ざると、有毒な塩素ガスが発生。すすぎが十分でないと、成分が布に残る可能性も。また、塩素系漂白剤にもさまざまな製品があり、製品によって成分の濃度が違うため、薄める分量がまちまちなのも難しいところ。布マスクの場合、色落ちや生地の劣化も心配です」

    ナチュラルな洗浄剤である酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を使えば、上記のような危険性はありませんが、カビや雑菌の除菌やあぶら汚れの除去に効果はあっても、新型コロナウイルスの消毒効果についてはまだ解明されていません。

    では、安全で手軽に消毒ができる方法は、ほかにないのでしょうか?

    「あります。それはアイロンを使う方法です。アイロンは、低温でも80~120°ぐらいの熱を加えられるので、洗ってタオルで水けをきったマスクの両面に、完全に乾くまでの間しっかりかければ、十分な消毒効果が得られます。生地に適した設定温度で行いましょう。

    また、アイロンの熱には、マスクの洗い残しの汚れに、生乾きの間に増殖し、においのもとにもなる雑菌を抑える効果があります。それに、布マスクは洗って乾かすと縮みやすいのですが、濡れた状態でアイロンをかけると、縮み防止にもなりますよ」

    布マスクの洗い方

    具体的に手順を説明していきます。

    用意するもの

    固形石けん、クエン酸、清潔なタオル、アイロン、アイロン台、洗面台(または清潔な桶)

     ぬるま湯にしっかり沈めて汚れを落とす

    清潔な洗面台(または桶)にぬるま湯をため、布マスクを浸す。手のひらで押さえて沈め、湯をよく含ませて、マスク表面の汚れを落とす。

    画像: 1 ぬるま湯にしっかり沈めて汚れを落とす

     両面に固形石けんを塗って押し洗いする

    の湯を抜き、マスク両面に固形石けんをまんべんなく塗りつける。メイクなどの汚れがついている場合はもみ洗いし、そのほか10回ほどやさしく押し洗いをする。

    画像: 2 両面に固形石けんを塗って押し洗いする

     ぬるま湯でにごらなくなるまですすぐ

    洗面台(または桶)にぬるま湯をため、のマスクを浸し、手のひらで静かに押しながらすすぐ。湯を数回替え、にごらなくなるまで行う。

    画像: 3 ぬるま湯でにごらなくなるまですすぐ

     クエン酸で石けんかすを落とす

    湯がにごらなくなったら、クエン酸ひとつまみを加えて溶かし、マスクに含ませる。「クエン酸には、石けんかすを取り除き、黄ばみを防ぐ効果があります」

    画像: 4 クエン酸で石けんかすを落とす

     タオルで挟んで水けをきる

    マスクを手で絞って水けを軽くきったあと、清潔なタオルで挟む。上から手のひらで軽く数回押さえながら、マスクの水けをきる。

    画像: 5 タオルで挟んで水けをきる

     アイロンで、完全に乾かす

    アイロン台にのマスクを載せる。マスクの生地に適した温度に設定したアイロンで、抑えるように完全に乾くまで、両面にかける。

    「耳にかけるひものゴムは熱に弱いので、注意してかけましょう」

    画像1: 6 アイロンで、完全に乾かす

    <監修/本橋ひろえ イラスト/ホリベクミコ 構成・文/秋山香織>

    画像2: 6 アイロンで、完全に乾かす

    本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
    北里大学衛生学部化学科卒業。化学系企業で合成洗剤の製造などを担当し、結婚を機に退社。自身も子どももアトピー体質だったことから、改めて洗剤に興味を持ち、化学的根拠に基づき、合成洗剤を使わず、ナチュラルな洗浄剤で行う掃除・洗濯を提唱。著書に、『ナチュラル洗剤そうじ術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ナチュラルおそうじ大全』(主婦の友社)など。続編の『ナチュラルおせんたく大全』が5月末ごろ発売予定。


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