• 勉強をしない子どもに「いい加減ゲームをやめて、宿題をしなさい!」と注意をしても、子どもはいうことを聞かず、親子のストレスは増すばかり……。子どもの心の発達に詳しい児童精神科医の田中康雄先生によると、子どもの勉強意欲を高めるには、心と体力を理解したコミュニケーションが必要なよう。そんなちょっとした工夫をご紹介します。

    子どもが1日じゅう家でテレビやゲームをしていて、ちっとも勉強しない……と、親たちからの嘆きの声が絶えません。イライラした親に毎日のように「いい加減ゲームをやめて、宿題をしなさい!」と叱られれば、子どもも反抗的な態度をとってしまうもの。

    そこで、子どもの心の発達に詳しい児童精神科医の田中康雄先生に、勉強に集中しやすい環境づくりと親も子も感情を高ぶらせないちょっとしたコツを教えてもらいました。


    宿題になかなか取り組めない子には……

    画像: 宿題になかなか取り組めない子には……

    多くの子どもは、宿題にはなかなか取り組まないもの。まして1日じゅう家にこもっていたら、宿題も後回しになりがちです。そこで、生活にメリハリをもたせるべく、1日を「勉強タイム」「お楽しみタイム」「だらだらタイム」に分けてみたらどうでしょうか。

    できれば午前中を「勉強タイム」にし、今日のノルマを達成してから、「お楽しみタイム」&「だらだらタイム」をもつとよいと思います。

    画像: 休校中の勉強タイムはできるだけ午前中に

    休校中の勉強タイムはできるだけ午前中に

    「勉強タイム」には勉強の邪魔になるものは視界に入らないよう、学習に専念できる環境を一緒につくってください。テレビは消す、段ボールでつい立てをつくって余計なものが見えないようにする、ヘッドフォンで周りの音を遮断する、「ただいま勉強中」というボードやノボリを立てるなど、勉強に集中できる工夫をしてみましょう。

    「お楽しみタイム」は、ゲーム、テレビ、インターネット、読書(マンガもOK)、音楽、運動など、事前に楽しむメニューを用意し、そこから選択するといいでしょう。「だらだらタイム」は「ただいまだらだら中」というボードやノボリを立てて、周りにアピールするのも手。こうした方法は親子でアイデアを出して考えてみてほしいですが、大切なことはそれぞれに費やす時間を決めて、厳守することです。

    1週間ほどやってみてうまくいかないときは、週末に計画の見直しを。「家族会議」と銘打って、家族で話し合いをすることです。親子で話し合いながら、何事もなんとなく楽しむ余裕をもつことが大切ではないでしょうか。


    ゲームをやめるよう注意するとキレる子には…

    画像1: ゲームをやめるよう注意するとキレる子には…

    ゲームをやめるように注意すると暴言を吐いたり、物を投げるなどの衝動的な行動に出る子に対して親が怒鳴ったりすれば、子どもの怒りの感情に火をつけるだけ。子どもがキレないためにも、上手に親が対応したいものです。

    画像2: ゲームをやめるよう注意するとキレる子には…

    ゲームに関しては、「お楽しみタイム」のときだけと決めておきましょう。いつでも先に約束を交わし、ルールを守るべく実行に移すことを心がけます。こうしたやりとりは「交渉術」の練習になります。とはいえ、親と子が敵対関係にならないために、ときには事前に親が今度はこんなふうに交渉してみたらとヒントを与えてあげるとよいと思います。

    ルールを無視して、親が突然「いますぐゲームをやめなさい」と伝えても、子どもは納得できません。ルールは子どもだけでなく、親も守ることが大切です。

    声をかけるときは「ゲームをやめなさい!」と命令するのではなく、「約束の時間になったよ」とか、「あと5分でおしまいだね」と予告するといいでしょう。そして、ゲームをやめられたときは、必ず盛大にほめてくださいね。


    <イラスト ニシハマカオリ 取材・文 株式会社レクスプレス>

    田中康雄
    こころとそだちのクリニック むすびめ 院長。北海道大学名誉教授。児童精神科医。臨床心理士。精神保健指定医。日本児童精神医学会認定医。1958年、栃木県生まれ。1983年に獨協医科大学医学部を卒業後、旭川医科大学病院精神科神経科、同病院外来医長、北海道大学大学院教育学研究院教授、附属子ども発達臨床研究センター教授などを経て2012年より現職。発達障害の特性をもつ子どもとその家族、関係者と、つながり合い、支え合い、認め合うことを大切にした治療・支援で多くの人から支持されている。

    ※ここで紹介したエピソードをはじめ、子どもとのかかわりのなかで不安を感じる親御さんに役立つ田中先生の新刊『発達が気になる子の心がわかる 幸せ子育ての手引き』(扶桑社刊)では、46のエピソードとともに日常の困ったを解決するヒントが紹介されています。

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