• 口が大きく開く袋に、持ち手が2本。そんなシンプルな基本形が、デザインアレンジの幅を広げてくれるトートバッグ。シックで実用性が高い作品に定評があるデザイナーのかわいきみ子さんの手にかかると、より自分らしく使いやすく。今回登場するのは、「ハンドメイド!?」と驚かれること必至のレザーを用いたタイプ。さらに、はぎれを活用したはさみケースのつくり方もご紹介します。
    かわいきみ子・著『好きな布、ほしいサイズ、シーンに合わせて使える わたしのトートバッグ』より

    「布好きで縫い方もあまり悩まないから、バッグは布で仕立てることが多いですね。でもこの前、こんなのもつくってみたんです」

    そう話しながら、資料を入れたトートバッグから取り出したのは、メタリックレザーのミニトート。仕事用の材料を探しているときに、立ち寄った革材料店に並んでいたカットレザーでつくったそう。扱いやすいサイズ感と品のいいシルバーカラーから、デザインや使い道が湧いてきたといいます。

    「確か、50cm角もなかったのですが、かえってイメージしやすくて。小ぶりならポーチのように使え、持ち手があればそれだけでも持てる。貴重品が入る大きさのバッグインバッグにしてもすっと取り出せるかな、と思いました」

    裁ち端がほつれないから始末が不要で、薄手なら皮革用の針やシリコン押え金に替えれば家庭用ミシンで縫える。もし、気に入ったのがファーレザーだとしても、皮革用の針を用いて手縫いできるという、初心者でもトライしてみたくなるポイントも教えてくれました。

    そして、話を伺っているうちに気になったのは、天然生活2020年6月号「使いやすく美しい みんなの裁縫箱」で紹介していたアイテムのひとつ。シルバーのはさみケースが、そのメタリックレザーでつくったバッグの革と似ていたのです。

    「実は、バッグをつくり、残った部分を使いました。気に入って選んだ材料ですし、何かにできないかな、あれこれ考えてとことん生かしたい性分なんです」と笑うかわいさん。

    難しいと思われがちですが、コツさえわかれば、“レザーで手づくり”も夢ではありません。

    画像: まるで既製品!
トートバッグを革で手づくり。はぎれではさみケースも
デザイナー・かわいきみ子さん
    画像: 落ち着いた輝きを放つシルバーのラムレザーからイメージを膨らませた、アクセサリー感覚で使えるスリムバッグ。裁ち端の始末がいらない革の特性を生かしてポケットは切り込みを入れ、ナイロン地の袋布とミシンで縫い合わせ。

    落ち着いた輝きを放つシルバーのラムレザーからイメージを膨らませた、アクセサリー感覚で使えるスリムバッグ。裁ち端の始末がいらない革の特性を生かしてポケットは切り込みを入れ、ナイロン地の袋布とミシンで縫い合わせ。

    画像: ラムファーのトートは装いのおしゃれ感を高めながら、気負いなく持てるミニサイズの薄型。思わずプレゼントしたくなるモダンさで、パッケージとして使って贈ればサプライズ感がアップ。ファーレザー同士や裏袋との縫い合わせは手縫いで。

    ラムファーのトートは装いのおしゃれ感を高めながら、気負いなく持てるミニサイズの薄型。思わずプレゼントしたくなるモダンさで、パッケージとして使って贈ればサプライズ感がアップ。ファーレザー同士や裏袋との縫い合わせは手縫いで。

    How To Make
    革でつくる「はさみケース」のつくり方

    画像: 『天然生活』2020年6月号で裁縫道具入れをご紹介くださったデザイナー・かわいきみ子さん。そのなかでも、ひと際目を引いたのは、数々のはさみと、それを入れたかわいいケースたち。今回は、裁ちばさみの「スタイリッシュな白い持ち手に合わせて、銀色の皮革で」つくった、「はさみケース」(写真左から3番め)のつくり方をご紹介します。

    『天然生活』2020年6月号で裁縫道具入れをご紹介くださったデザイナー・かわいきみ子さん。そのなかでも、ひと際目を引いたのは、数々のはさみと、それを入れたかわいいケースたち。今回は、裁ちばさみの「スタイリッシュな白い持ち手に合わせて、銀色の皮革で」つくった、「はさみケース」(写真左から3番め)のつくり方をご紹介します。

    材料

    薄手のラム革適量(※)
    牛乳パック(はさみで切れる薄さのクリアファイルなどでも可)10×10cm程度
    60番ポリエステルミシン糸適量

    ※革や糸は、はさみの大きさに合わせてご準備ください。
    ※皮革をミシンで縫うときは、押え金は「シリコン押え」に、針は「皮革用ミシン針16番」に換えてください。

    つくり方

    ※つくり方のなかの数字の単位はすべてcm(センチメートル)です。

     <型紙をつくる>

    紙を二つ折りにし、ケースをつくるはさみを置く。持ち手より下の0.5~0.7cm外側に、ケースの型を描き、カットする。図を参考に、カットした紙にはさみを入れて大きさを確認し、ゆるすぎたり、きつかったりする場合は、調整する。

    画像1: つくり方

     <ケースを裁断する>

    1の型紙を開き、革の裏に重ねる。上端と両脇は型紙に沿って、下端は1cm足したところに印をつけ、革をカットする。

    画像2: つくり方

     <ケースを縫う>

    革を外表に折り、底を両面テープで固定する。図のようにスリット分2.5cmを残して、脇と底をミシンで縫い(縫い始めと縫い終わりに返し縫いはせず、糸端を指定の長さ残す)、底の余分な革をカットする。

    画像3: つくり方

     <糸端の始末をする>

    縫い始めの糸端を太めの針に通し、スリット止まりに3~4回巻き縫いをする。続けて、図のように巻き縫いした針穴を3~4回往復してループの束をつくる。その束をまとめて結び、先端を切りそろえる。縫い終わりの糸端は、太めの針に通して革の際で玉止めし、内側に入れて底から引き出し、余分を切る。

    画像4: つくり方

     <刃先ガードをつくり、ケースに入れる>

    刃先ガードとして、図を参考に、牛乳パックを切る。図のように脇と底で折ってセロハンテープで留め、ケースに入れる。

    画像5: つくり方

    <撮影/中垣美沙(裁縫道具)、砂原 文(トートバッグ) 取材・文/高井法子 イラスト/たまスタヂオ>

    かわい きみ子(かわい・きみこ)
    テレビや書籍、雑誌、個展にて、洋裁と手芸の幅広い手法を取り入れた作品を発表するデザイナー。 『イチバン親切なソーイングの教科書』(新星出版社)をはじめとする、初心者にもやさしい、数々の入門書やワークショップで人気を集める。4月に『女の子と男の子のおでかけ服』(主婦と生活社)が発売したばかり。5/16発売の新著『わたしのトートバッグ』(家の光協会)では、素材、サイズ、用途いろいろのトートバッグのつくり方を多数紹介している。


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