• 手紙文化愛好家のむらかみかずこさんに、ふだんの手紙をより印象的にするコツを伺いました。基本の決まり事を知り、飾らない言葉で綴れば、自分の気持ちや相手を思う心がまっすぐ届きます。
    (『天然生活』2013年8月号掲載)

    添え状やお礼状など、短い手紙を書く機会は意外と多いもの。ポイントを押さえて、より印象的に。

    画像: ふだんの手紙は気負わず率直に|気持ちが伝わる手紙の書き方

    便箋・一筆箋で

    便箋一枚でも、手書きの手紙をもらうと心が和みます。旅行のお土産や贈り物を渡すとき、借りたものを返すときなど、日常のちょっとした機会に、気軽に書いた手紙を添えてみましょう。

    事務的になりがちな仕事上のやりとりも、手書きのメッセージを添えると雰囲気が和らぎ、気持ちよく仕事ができます。

    コツは、相手を気遣う内容を加え、ていねいな言葉遣いで書くこと。短くても、相手を思う気持ちが十分に伝わります。

    贈り物に添える手紙(親戚へ)

    画像: 贈り物に添える手紙(親戚へ)

    名前は正確に

    相手の名前を正しく書くことは、最も大事なマナーです。「髙木」など、特別な字を使う名前、「島田」「嶋田」など、間違えやすい漢字の場合は、とくに注意を。

    まずは季節のあいさつを

    季節に触れる一文を通して、身のまわりの風景や近況を伝えましょう。

    相手を気遣う言葉を添える

    「お元気ですか」「調子はいかがですか」など、相手の健康を気遣う言葉は、「自分のことを気にかけてくれている」と、うれしく感じられるもの。手紙の雰囲気も柔らかくなります。文末に、「どうぞご自愛ください」などの言葉を書き添えても。

    快気祝いへのお礼の手紙(夫の上司へ)

    画像: 快気祝いへのお礼の手紙(夫の上司へ)

    マイナスの内容もプラスの言葉で

    病気やトラブルなどの話題は、できるだけ明るい言葉で書くように心がけると、前向きで印象のよい手紙に。とくに、手紙の後半は全体の印象を左右するので、ポジティブな内容で締めくりましょう。

    縦書きは、より改まった印象

    縦書きで綴ることで、相手を敬う気持ちを自然に伝えられます。

    感謝の気持ちを率直に綴る

    「ありがとうございます」など、感謝がストレートに伝わる一文があると、手紙の印象はグッとよくなる。冒頭にお礼の言葉を書けば、「感謝の気持ちを真っ先に伝えたい」という思いが伝わります。

    資料に添える手紙(仕事相手へ)

    画像1: 資料に添える手紙(仕事相手へ)

    あいさつをていねいに

    「お世話になっております」は、日頃の感謝の気持ちも含まれたフレーズ。文頭に「いつも」や「大変」をつけると、よりていねいになります。最近、会った相手には、「先日はありがとうございました」としても。

    次につながる一文を

    仕事の場合、やりとりが一度だけでは終わらないことが多いはず。次の会合や約束につながるフレーズを加えると、手紙を通して、仕事相手に熱意が伝わり、お互いの関係を良好に保つ潤滑油になります。

    相手を立てるお願いの仕方を

    相手の負担を配慮する謙虚さが伝わると、好印象。協力も得やすくなります。

    画像2: 資料に添える手紙(仕事相手へ)

    自分らしい季節のあいさつ

    手紙に季節のあいさつを書くのは、季節感を演出することで相手をもてなす、日本人ならではの心遣いです。

    ふだんの手紙では、「向夏の候」など形式的なものではなく、自分の言葉で書きましょう。

    その際、お互いに関するエピソードや相手の好きなことを思い浮かべると、自分らしい一文になり、相手も楽しく読むことができます。

    ・今年もお花見が楽しみな季節になりました。

    ・桜がようやく咲き始めましたね。お嬢さんのご入学、おめでとうございます。

    ・菜の花、新じゃが、タラの芽……食卓にも春がやってきました。

    ・さわやかな風にさそわれて、今年はじめて、半袖のシャツを着て出かけました。

    ・そろそろ梅しごとの季節ですね。

    ・ゴールデンウィークのお出かけで、早くも日焼けをしました。

    ・去年は、あじさいを見に、鎌倉へ出かけましたね。

    盛夏

    ・夏真っ盛り。ビール日和がつづきますね。

    ・○○さんのお庭では、今年もひまわりの花が元気に咲いているでしょうか。

    ・夜風が気持ちいい今日この頃です。

    ・夏の思い出は、できましたか。

    ・朝晩、すっかり過ごしやすくなりました。

    ・夏がかけ足で過ぎていきましたね。

    ・金木犀の香りが、秋の空気に漂いはじめました。

    ・温かいコーヒーとチョコレートがおいしい季節になりました。

    ・庭のコスモスが、秋風にゆれています。

    ・朝晩の冷え込みが厳しいこの頃、昨日は、鍋いっぱいにスープを作りました。

    ・冬野菜が甘みを増して、おいしくなりました。

    ・○○さんのおしゃれなコート姿が目に浮かびます。

    年末

    ・街はクリスマスイルミネーションが華やかです。

    ・年末年始のご予定は決まりましたか。

    ・今年のカレンダーとも、もうすぐお別れですね。

    ・○○さんの仕事納めはいつですか。今年もあと少し、頑張りましょうね。



    <取材・文/神坐陽子 イラスト/サノマキコ>

    むらかみかずこ
    一般社団法人手紙文化振興協会 代表理事。いまの時代に合う気持ちが伝わる言葉や手紙の書き方を提唱。手紙・文章の書き方の通信講座を運営するほか、全国各地に手紙の書き方講師を育成。著書・監修書多数。

    サノマキコ/イラスト
    神奈川生まれ、神奈川在住。主な活動は、雑誌や書籍等に生活や健康に関するイラストを描くこと。毎年「GINZA HAKKO 木の香」にてグループ展を開催。次回開催予定は2021年1月26日(火)~1月31日(日)
    ウェブサイト
    https://sanomakiko.com
    インスタグラム
    https://instagram.com/sanomakiko_illustration?igshid=wcmk5b6kjgzs


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