• 庭では、植物だけでなく人も育つ―。ハーブ研究家のベニシアさんがつくる8つのガーデンには、人と自然を結ぶ幸せな “つながり” がありました。
    ※写真について:1996年に大原の古民家に引っ越ししてから、本格的に庭づくりを始めたというベニシアさん。ハーブがこんもりと生い茂る心休まるガーデン
    (『天然生活』2014年8月号掲載)

    “太陽” という照明で彩られる夏の色

    画像: 美しい楓の木が見事に調和した東側の庭。夏はジャパニーズ・ガーデンのアジサイやワイルドストロベリー、コテージガーデンのアナベルなどの “白” がさわやか

    美しい楓の木が見事に調和した東側の庭。夏はジャパニーズ・ガーデンのアジサイやワイルドストロベリー、コテージガーデンのアナベルなどの “白” がさわやか

    イギリス生まれのベニシアさんがスペイン、フランス、インドなど世界各国で生活したのち、安らぎの地として選んだのが京都・大原。

    鳥の鳴き声が心地よく響き、緑に満ちあふれたその場所には、自然をこよなく愛する彼女の生き生きとした暮らしがありました。

    築約100年の古民家をぐるりと囲むのは8種類のガーデン。

    「もともとあった梅や楓、椿などの立派な日本の木と調和する庭にしたくて」とベニシアさん。

    故郷の花を植えたイギリス風「コテージガーデン」、キキョウやミヤコワスレなど日本の草花で彩られた「ジャパニーズ・ガーデン」のほか、「スパニッシュ・ガーデン」「ワインガーデン」「フォレストガーデン」など、それぞれにテーマをもたせた庭づくりをしています。

    最近、完成した「オキナワガーデン」は、お風呂場の窓から南国風の景色を望めるようにと、ベニシアさんらしい自由な発想から生まれたもの。「 “空” という天井と “太陽” という照明で、庭たちが季節によって違った部屋に変わっていくのが楽しい」といいます。

    “夏の庭づくり” は、初夏の訪れの前から準備を進めていきます。

    「日本では、ヨーロッパにはない梅雨をどう乗りきるかがポイント。雨が降ったら湿気に弱いセージやラベンダーなどのハーブには傘をさしておくの」とチャーミングに話すベニシアさん。

    植物の特性に合わせた手入れをすれば草花はこたえてくれ、美しい花を咲かせてくれます。また、庭をデザインする際は季節ごとの色も大切です。

    東側の「コテージガーデン」と「ジャパニーズ・ガーデン」にはキリッとした夏の朝日に輝く白やブルーの花を、西側の「スパニッシュ・ガーデン」には強い西日に映える黄色やオレンジの花を植えていきます。

    もちろん、夏でも庭仕事は休みなし。「この庭はどこかに影ができるのがありがたいです。夕方は東側の庭に日陰ができるので、そのタイミングで草むしり。庭は一年中やることがありますからね」

    ベニシアさんのガーデンマップ

    画像: 中心部分が、ご自宅。家を囲むようにして8のガーデンが配置されている。日当たりを考え、場所に合った花を植えていく

    中心部分が、ご自宅。家を囲むようにして8のガーデンが配置されている。日当たりを考え、場所に合った花を植えていく




    〈撮影/梶山 正 取材・文/梅崎奈津子 イラスト/にしごりるみ〉

    ベニシア・スタンリー・スミス
    ハーブ研究家。イギリスの貴族の家に生まれる。19歳のときに貴族社会に疑問をもち、インドなどへの旅を経て’71年に来日。’96年に大原にある築100年の古民家に移住する。自然と共生した生き方が注目を集め、著書も多数。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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