• いつ起きるかわからない災害。日々の暮らしから「もしも」に備えておきましょう。突然ふりかかる「困った!」への対処を、事前にできるだけ考えて。防災プロデューサーの永田宏和さんに伺います。
    (『天然生活』2020年3月号掲載)

    災害のとき、これが困った!

    実際、災害に遭ってみると、予想もしていなかった「困った!」がたくさんあるもの。できるだけ事前に対処を考えておきましょう。

    CASE 直前になっていろいろと買おうとしたら、どこも売り切れであせった

    大型台風に備えて、上陸直前に備蓄の食料や防災グッズを買おうとスーパーに行ったら、棚はガラガラ、レジは長蛇の列。せめて水だけでもと思っても、500㎖のペットボトルもすべて売り切れ。日頃から備えをしておくことが大切だと痛感しました。

    画像: CASE 1 直前になっていろいろと買おうとしたら、どこも売り切れであせった

    CASE 現金しか使えない!

    支払いはクレジットカードや電子マネー中心で、現金はあまり持たない主義でしたが、災害で停電に。電子決済はすべてNGでATMも使えず、買い物に困りました。公衆電話用の10円玉なども含め、1,000円札と硬貨で5万円くらいは必要だと思います(*)。

    画像: CASE 2 現金しか使えない!

    *災害時、銀行では本人確認ができればキャッシュカード、通帳、印鑑がなくてもお金を引き出せるので、当座の現金があればよい。

    CASE スマートフォンの充電がなくなった!

    連絡手段や情報収集に使っていたら、あっという間にスマートフォンが充電切れ。情報が得られずとても不安に……。電気がないと充電できないモバイルバッテリーや発電効率の悪い手回し充電ではなく、電池交換式の携帯電話充電器が家族分必須です。

    画像: CASE 3 スマートフォンの充電がなくなった!

    CASE マンションでは、停電と断水が一度に起こる

    住んでいるエリアは停電だけで断水はなかったのですが、住んでいるマンションは電気で給水していたので我が家は断水状態に。とくにトイレで水が使えないのは本当に困りました。災害時のマンションの給水システムを事前に確認して対策しておくべきでした。

    画像: CASE 4 マンションでは、停電と断水が一度に起こる

    CASE 避難所に入れない!

    台風の避難勧告が出ても、近くの避難所は大勢が避難して満員で入れず。別の避難所を案内されましたが、そこも受付待ち。結局、不安を抱えながら、自宅に戻りました。大都市の大規模災害では、避難所に行けばなんとかなるというのは甘い考えでした。

    画像: CASE 5 避難所に入れない!

    CASE 子どもと連絡が取れない!

    日中は学校が子どもたちの安全を確保してくれると思っていましたが、放課後の地震で、小学生の子どもの居所がわからずパニックに。携帯電話を持たせていないので、緊急時にどう連絡を取るか、子どもでもわかるように繰り返し話さなくては、と思いました。

    画像: CASE 6 子どもと連絡が取れない!

    ◇ ◇ ◇

    ここ数年、毎年のように起きている大規模な自然災害。

    9年前の東日本大震災をきっかけに防災を考えるようになったという人もいると思いますが、実際は、被害に遭って初めて気づく「困った!」が多くあるのが現実です。

    「とくに迷いがちなのが、いつ避難するかということ。避難勧告が出ても、周りがまだ避難していないからと逃げないケースも多くあります。災害時は自分の命は自分で守るのが大原則。周囲に流されず、冷静に自己判断して行動してください」というのは、防災プロデューサーの永田宏和さんです。

    避難所に行けば安心と思っていても、大都市では満員で入れない場合も想定されます。

    「古い木造住宅でなければ、避難所より自宅で避難するほうが安全で過ごしやすいことも。自宅の耐震性やハザードマップを確認して、災害時の動きを考えて」

    大切なのは、日常に上手に防災を取り入れること。

    備えは、家族構成や生活スタイルの変化、住んでいる地域によっても違ってきます。

    定期的にそのときの「自分たちに合わせた備え」を見直しましょう。

    自宅の備えを改めて確認

    自宅の備え4つの必需品

     水
     照明
     トイレ
     非常食

    災害時に必要な備えの基本は水、照明、トイレ、非常食

    断水や停電でも、1週間は自宅で過ごせるように用意します。

    お風呂の水は常時ためておく、食品やガスボンベ、電池などの消耗品は普段から多めに常備し、使いながら補充するローリングストックを。

    賞味期限、使用期限も定期的にチェックします。

    自宅の備えチェックリスト(1週間分)

     長期保存水(飲み水)… 1人2ℓ×7本

     ランタン…家庭3個

     ヘッドライト…1人1個

     電池(ランタン、ラジオ、充電器用)…それぞれ3回交換分

     非常用トイレ…1人17枚

     消臭ポリ袋…1人17枚

     食品(レトルト、フリーズドライ)…1週間分

     シリアルバー…3日分

     カセットコンロ…家庭1台

     ガスボンベ…家庭4~5本

     携帯ラジオ…家庭1台

     電池交換式携帯電話充電器…1人1個

     新聞紙…1人2日分

     ラップ…1人1本

     ごみ袋(45ℓ)…1人25枚

     耐熱性ポリ袋(中)…… 1人10枚

     クーラーボックス…家庭1~2台

     保冷剤…家庭5~6個

     マスク(50枚)…家庭1箱 ※サイズの合ったもの

     口腔ケア用ウエットティッシュ…1人50~60枚

     防災ウエットタオル…1人7枚

     革(もしくは耐切創)手袋…1人1双

     レインコート…1人1着

     登山用リュック(容量20ℓ以上のもの)……1人1個

     救急セット(薬、ばんそうこう、綿棒、三角巾、減菌ガーゼ、消毒液、包帯、減菌脱脂綿、とげ抜き、マルチナイフ)…1人1セット

     生理用品…2周期分

     ダンボール…2~3箱分

    避難所のこと

    災害時の避難所はいろいろな事情を抱える人が押し寄せ、ひとりのスペースも限られます。慣れない環境でイライラした空気になり、救援物資をめぐるトラブルなども起きがちです。最低限必要なものを持参することは、心の余裕にもつながります。

    避難所に持っていきたいもの

    2~3日分の水(500㎖×4~6本)
    ヘッドライト
    革(または耐切創)の手袋
    レインコート
    マスク
    大判ハンカチ
    すぐに食べられるもの(シリアルバー、ビスケットなど)
    非常用ブランケット(静音タイプ)





    〈監修/永田宏和 取材・文/工藤千秋 イラスト/にしごりるみ〉

    永田宏和(ながた・ひろかず)
    防災プロデューサー。NPO法人プラス・アーツ理事長、デザイン・クリエイティブセンター神戸「KIITO」副センター長。防災教育の普及に幅広く取り組み、数多くの防災イベントの企画・運営、講演、出版などを手がけるほか、企業の防災アドバイザーも務める。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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