小さい猫
家に650gの子猫がやってきました。
彼女は兄弟猫達と沼に捨てられていたようです。
保護された時には1人ぼっちになってしまい、彼女自身も命が危なかったのでした。
写真や身の上話に涙腺がウルウルとしてしまい、元気になっていく姿の強さにコロナ禍で不安になっていた私は惹かれていたのだと思います。
小さい頃から猫や犬は飼ったことがなかったので、保護猫サイトを見ては踏み出す一歩がなかったのに……踏み出してしまったのでした。
そうして始まった生活。
あれ? 猫って一日の大半を寝ているんじゃなかっただろうか?
全然寝ないで遊んでくれ~かまってくれ~と鳴いてくるけれど。
ゴロゴロと喉をならしながら手を思いっきり噛んでくるけど。
思い描いていた猫生活とはちょっと違う~~。
子猫がかかりやすい病気のダブル罹患で消毒とシャンプーの日々。
きっとテレビで見た子猫を保護猫カフェに置いていった人も
思っていた猫生活とは違ってたんだろうと重ねてしまっていました。
まだ生まれて1カ月半だしやんちゃなのも言っても通じないのも仕方ない……。
あっもう忘れかけていたけど、この状況、息子が赤ちゃんや子供の時にそっくり。
猫にも当たり前だけど感情があって、それを表現するのに鳴き方が全然違うこと。
この二つに気づいてからはなんだか気持ちが軽くなって楽しくなってきました。
静かな時は寝ているかいたずらしている時です。子供も猫も同じ。
そんな風に思えるようになった自分がいました。
違うのは成長スピードでなんか昨日よりも大きくなってない?
出来ること増えてない??
そして生まれてから4カ月(家にきてからは3カ月)1500g以上になり、
子猫と言うよりは小さい猫になり、少しは寝るようになり、
病気も治ってだんだんと落ち着いてきました。
相変わらず思うような猫ライフとはちょっと違うけれど、
どんどん可愛くて愛おしい気持ちになっている自分がいます。
彼女(猫)は今日も肩に飛び乗り髪の毛を毛繕いしてくれて愛情を示してくれています。
ちょっと痛いけど温かくて幸せ。
あ~何かひとつ乗り越えられたかもしれません。
瀬戸口しおり(せとぐち・しおり)
料理家。野菜本来の味わいを生かした、シンプルでありながら個性あふれるレシピで人気を集める。著書に『わたしの作りおきおかず』(アスペクト)など。