猫ちゃんと暮らす
ギー(オス)とモモ(メス)が我が家にやってきて1年半以上が経った。
圧倒的な存在感だったにゃあちゃん(8キロの白黒猫)が天国へと旅立ち、ロスから立ち直れないところに、希望の光のようにやって来た。
たまたま黒猫と白猫で、まるでにゃぁちゃんが分割されて2匹になったようだった。
やんちゃで人なつこいギーと怖がりで人見知りのモモは出身地(保護された場所)も違うし性格も正反対なのだが、仲がいい。縁があって我が家にやってきた可愛い猫ちゃんたちだ。
2匹の連携プレイはなかなかのもので、ギーがドアノブに飛びついて、ドアをあけて2匹で移動したり、捕まえてきた蝉をギーが追いかけるのを後ろから桃がサポータートとして見守ったり。
2匹はうまくやってると思っていたのに、数ヶ月前に変化が起きた。
弱虫のモモが、ギーに「フーッ」と威嚇するようになったのだ。なのに、ギーが近づくと、ビビってそこら中にオシッコを撒き散らしながら逃げる。
私は「ひぇ~~!」と思ったが、猫に叱っても無駄。ひたすら雑巾掛けの日々が始まった。それよりも「床に物を置いたらあかんで~。」と言われているようだった。
そのうち、お店の帳簿やらがはいった重要書類箱の上もコースに入ってしまい、おしっこまみれになってしまった。
「今時紙の書類を保存するってもう古いんちゃうの?」と言われているようだった。
積み上げたタオルの上におしっこをされた時には「ちゃんとカゴの中にいれときや~。」という意味だなって納得した。
猫ちゃんたちの追いかけっこのおかげで我が家はどんどん片付いてきた。
そのうち仲直りして、床もきれいになったことだし、一段落って思っていたら、激しい追いかけっこが始まった。
「お!もうおしっこ漏らしてない。成長したな。」と安心して、洗濯物を干そうとしたら、洗濯物が匂うではないか!
「こ・これは!」とタオルを取り上げた時にポロっと丸い茶色いものが床に落ちた。ギーに追いかけられたモモが洗濯機に逃げ込んで思わず排出してしまったようだ。
そういえば洗濯槽を洗ってなかったな。そういうことか、と気を取り直して長時間コースで洗濯槽を洗い、ウンチフレーバーの下着とタオルも何度も洗った。
床も洗濯機もきれいになったことだし、書類はコンピューターに保存できたし、猫ちゃんはやっぱりエライ!
怠惰な私には猫ちゃんは必要なのだ!とこの天使たちと暮らす喜びをひしひしと感じたのであった。
森田三和(もりた・みわ)
大阪芸術大学デザイン学科卒。グラフィックデザイン、テキスタイルデザイン、雑貨店等の仕事を経て、高校生の頃から気まぐれに焼いていたパンに夢中になる。1997年に「MIA’S BRED」(ミアズブレッド)をオープン。
著書に、『ミアズブレッドのパンとサンドイッチ』(扶桑社)amazonで見る 、『サンドイッチブルース』(ループ舎)などがある。