• 自分の息子に、頭がよくて才能あふれる子に育ってほしいと思うのは、誰もが持っている親心です。ゲームや動画など、子どもを夢中にさせるコンテンツがあふれるなかで、「息子に読書体験と睡眠時間をしっかりと与えることで、脳の発達は大きく変わってくる」と語るのは、脳科学者の黒川伊保子先生です。今回は、【男性脳】の研究から、黒川先生に男の子の脳の発達と読書、睡眠とのかかわりについて教えてもらいました。

    冒険ファンタジーが、男の子の脳を発達させる

    画像: 冒険ファンタジーが、男の子の脳を発達させる

    子どものセンスや頭のよさは、どうやって育つのか。素敵な息子に育てるための秘訣について、脳科学者の黒川伊保子先生はこう解説します。

    「頭のよさや運動神経のよさ、芸術センス、コミュニケーションセンス、戦略センスなどのあらゆるセンスのよさを司るのは、脳内にある神経線維ネットワークです。

    これは9歳から12歳までの3年間に劇的に増えるといわれているのですが、起きている体験を元に眠っている間に成長します。だから、人生のこの時期に脳を成長させるには『体験』と『眠り』が非常に重要になってくるのです」

    しかし、日本で小学生として生活している以上、日常生活で大きな刺激を受けるような「体験」をすることはあまりありません。そこで重要なのが、ファンタジー物語を子どもに与えるということです。

    「冒険ファンタジーの扉をあければ、日常生活では決して体験できないような、あらゆる不幸と挫折を乗り越える知恵と勇気がみちあふれています。こうした読書は、『脳に与える体験』です。読書をする子は読書をしない子に比べて、脳への入力作業が何倍にもなります。

    映画やドラマ、ゲームの中にも冒険ファンタジーは満載ですので、是非それらも楽しんでほしいのですが、『文字情報をイメージに変換する読書』は、脳のあらゆる場所を刺激して成長させます。だからこそ、読書を基調として、ファンタジーを体験していくことをおすすめします」

    もしもファンタジーが苦手な子ならば、歴史モノもおすすめです。とにかく、日常とは別の世界で、自分と等身大の主人公があらゆる挫折に立ち向かうストーリーに触れることで、男の子の脳は大きく成長していくのだそうです。

    「読書は楽しい」という刷り込みは、絵本の読み聞かせで養われる

    画像: 「読書は楽しい」という刷り込みは、絵本の読み聞かせで養われる

    しかし、本が苦手という子どもに無理やりに本を読ませても、文字の内容が頭に入ってこなければ、意味がありません。では、本が苦手な子どもに本を読んでもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

    「本好きへの道は、残念ながら一朝一夕では成り立ちません。まず、第一歩としては、赤ちゃんのときから絵本を読みきかせることが大事です。

    本を読む行為は、けっこう面倒くさくて、かったるいもの。読書好きの人でも、読み始めが億劫で、しばしば苦痛になることがあるくらいです。しかし、本は面白いと本能的に信じているから、読み進められるのです。

    だからこそ、人生の早い時期に、絵本を通じて、脳に『本を読むのは面白い』という刷り込みをしておくことが大切なのです」

    また、「ことばの感性」というものは、発音の体感がつくり出すものだと黒川先生は続けます。そこで大切なのが、読み聞かせです。

    「8歳の言語機能完成期を過ぎれば、文字を見ただけで、直接『リアル』をつくり出す能力が完成します。逆にいえば、それまでは読書にリアルが足りません。

    だからこそ、小学校低学年までは国語の時間に音読をさせますが、実は脳科学上は非常に大事なカリキュラムです。ぜひ、自分の息子さんが自分で音読できるようになるまでは、読み聞かせをしてあげてください」

    8歳を過ぎた子どもを読書好きにさせる手段とは?

    画像: 8歳を過ぎた子どもを読書好きにさせる手段とは?

    しかし、8歳を過ぎた息子に、新たに絵本を読み聞かせるのはなかなか難しい話です。もし、8歳を過ぎて、子どもたちに「本を読む体験はおもしろい」という考えを抱いてもらえなかった場合は、どうしたらよいのでしょうか。

    「その場合は、親が本を楽しむ姿を見せるのが、一番の手です。親が子どもの目のつく場所で、寸暇を惜しんで本を読んでみせましょう。

    その中にファンタジーをさりげなく入れておき、さりげなく『おいしいもの』を薦めるように、その本を薦めましょう。『これおいしいから、ちょっとだけ食べてみて』というように、『すごくおもしろいから、ちょっとだけ読んでみて』と。

    その際、薦める本として間違いがないのは、ハリー・ポッターシリーズ。あと、うちの息子がイチオシしていたのは、ジョナサン・ストラウドのバーティミアス・シリーズです」

    夜にゲームをする子は脳が成長しない上に、身長も伸びない

    画像1: 夜にゲームをする子は脳が成長しない上に、身長も伸びない

    そして、「体験」のほかに、神経線維ネットワークを成長させる大きな要素となる眠りについて。

    こちらは、小学生で7時間程度の睡眠で済む子もいれば、大人でも8時間以上眠らないと落ち着かないという人もいるように個人差が大きいので、それぞれが適正な睡眠時間を見つけることがカギになるとか。

    「朝起きたときに、まるでゾンビのようになっている子は、質のよい充分な睡眠がとれていない可能性が高いので、睡眠時間や睡眠環境について見直してみるとよいでしょう。

    なお、睡眠環境で注意したいのは、真夜中の携帯端末の凝視です。真夜中の網膜への光刺激が、成長ホルモンや生殖ホルモンの分泌を阻害することがあるからです。

    これらのホルモンは真夜中だけに分泌するわけではありませんが、ホルモンの中枢司令塔である脳下垂体が視神経と直結していて、『夜の闇』や『朝日』などの光の強弱でバランスを整えており、影響を受けてしまうのです」

    9歳以降は男の子がゲームに夢中になる時期ではありますが、そこは何とか夜のゲームだけでも回避させるのが肝心なのです。さらに、睡眠の質は、脳の発達だけではなく、身長にも大きな影響を与えます。

    「男子は女子よりも少し遅れて、14歳あたりに身長を伸ばす最大のチャンスがやってきます。男子の身長を160cm台から180cm台に伸ばすチャンスは、人生でほんの1~2年しかありません。

    実際、『早寝する男子と夜更かしをする男子では、身長が約7cmは違うよ』と男の子たちに伝えると、身長のために夜のゲームを諦める子も多いです」

    こうした黒川伊保子先生が語る、才能あふれる息子の育て方については、『息子のトリセツ』(黒川伊保子=著 扶桑社)に詳しくつづられています。


    黒川伊保子さん

    画像2: 夜にゲームをする子は脳が成長しない上に、身長も伸びない

    脳科学・人工知能(AI)研究者。1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、コンピュータ・メーカーにてAI開発に従事。2003年より株式会社感性リサーチ代表取締役社長。語感の数値化に成功し、大塚製薬「SoyJoy」など、多くの商品名の感性分析を行う。また男女の脳の「とっさの使い方」の違いを発見し、その研究成果を元にベストセラー『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(共に講談社)、『娘のトリセツ』(小学館)を発表。他に『母脳』『英雄の書』(ポプラ社)、『恋愛脳』『成熟脳』『家族脳』(いずれも新潮文庫)などの著書がある。

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    『息子のトリセツ』(黒川 伊保子・著)

    『息子のトリセツ』(黒川伊保子・著/扶桑社)

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    ※男性が、自分を知る本としても活用できます

    『息子のトリセツ』(黒川 伊保子・著)


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