• ホテルで味わう名物スイーツと、おいしさの裏側にあるストーリーをお届け。今回は、文豪たちに愛された御茶ノ水・山の上ホテル「コーヒーパーラーヒルトップ」でいただける〈伝統のババロア〉。特別な空間でゆったりひとり時間を楽しめるホテルでのひととき。宿泊はなかなかできなくても、お茶や息抜きに、甘いものを食べる時間って非日常を味わえますよね。自宅でホテルの味を楽しめる持ち帰り・お取り寄せ可能なお菓子もあわせて紹介します。

    40年前の味を再現した山の上ホテルの〈伝統のババロア〉

    文豪たちに愛された「山の上ホテル」

    画像: 神田駿河台の小高い丘の上に、静かに佇む「山の上ホテル」外観

    神田駿河台の小高い丘の上に、静かに佇む「山の上ホテル」外観

    1954年(昭和29年)に開業した「山の上ホテル」。多くの出版社や古書店が集まる神田の街にあることから、川端康成や三島由紀夫、池波正太郎などに愛され、多くの作家がこのホテルに缶詰になっていました。

    池波正太郎のエッセイに、ホテル内にある天ぷら店の話題がよく登場しているという話を聞けば、常連だったことが手に取るようにわかるようです。

    画像: ホテルと親交の深かったといわれる、池波正太郎の絵が飾られるパーラーの壁

    ホテルと親交の深かったといわれる、池波正太郎の絵が飾られるパーラーの壁

    ありそうでなかったババロア

    2019年の秋、もう一度創業当時の「クラシック」に立ち返ろうと、主に、ロビーやレストランを中心としたホテルのリニューアルが行われました。

    画像: 店の創業時から使われている家具は、リニューアル時にファブリックの張り替えを行った

    店の創業時から使われている家具は、リニューアル時にファブリックの張り替えを行った

    地下1階の「コーヒーパーラーヒルトップ」は、12時間かけて抽出する水出しコーヒーからオリジナルスイーツ、そして本格料理までをいただける喫茶室。

    リニューアルでは、壁面塗装の色変更やタイル使いなど、室内の印象を一新しました。

    また、創業当時、客室に一輪の赤いバラを飾ってお客様をもてなしていたことから、バラのモチーフを各所に使用したり、カーテンやランチョンマットにレースを使うなど、ディテールへのこだわりも追求。

    もちろん、ここでいただけるデザートも「クラシック」の美学に基づき、約40年前にメニューにあった〈伝統のババロア〉を、総支配人の中村さんの記憶を辿りながらつくりなおしたのです。

    画像: 正しくおいしい〈伝統のババロア〉1,210円(税込)※現状、別途サービス料10%

    正しくおいしい〈伝統のババロア〉1,210円(税込)※現状、別途サービス料10%

    「レシピは残っていましたが、当時使っていた材料はいま使っているものとはまったく違うもの。牛乳ではなくて脱脂粉乳、とか、砂糖の種類も違うんです。味や形を現代版に落とし込みながら、少しずつ仕上げていきました」(ペストリーシェフ 安﨑正平さん)

    画像: スプーンを入れると、その軽さにびっくり

    スプーンを入れると、その軽さにびっくり

    完成したババロアは、いちご、ブルーベリー、ラズベリーがクリームの上にちょこんと乗った山型のかたち。

    「当時はテリーヌ型もあったようですが、この形に落ち着きました。昔は横に添えられていたフルーツは、ババロアの上に。卵と牛乳だけでつくるアングレーズソースは、アラベスク模様をつけてババロアを囲いました。当時にはなかった技法だと思います」(安﨑さん)

    画像: ありそうでなかったババロア

    過度に装飾的になりすぎず、どこかほっとする美しさ。口に含むと、バニラビーンズの香りがやさしく広がり、素朴な卵の甘さと溶け合います。空気を含んだ軽い食感は、食後にもペロリと食べてしまえそう。

    いつもより少しだけおしゃれをして、ゆっくりと伝統菓子にスプーンを落としていくひとときは、何にも変えられない幸福な時間です。

    画像: バラのモチーフが美しいシャンデリア

    バラのモチーフが美しいシャンデリア

    画像: よく見るとレースで「HILLTOP」の文字

    よく見るとレースで「HILLTOP」の文字

    画像: 水出しコーヒーは12時間かけて抽出

    水出しコーヒーは12時間かけて抽出

    「nendo」とコラボレーションした新パッケージのオリジナルギフト

    画像: リニューアルを機に新設された「ホテルショップヒルトップ」

    リニューアルを機に新設された「ホテルショップヒルトップ」

    ホテル1階のロビー奥には、オリジナル商品や生菓子を購入できるショップを新設。そこで買える手土産のパッケージは、2020年10月、大胆にリニューアルしました。

    世界的に活躍するデザイナー佐藤オオキ氏率いるデザインオフィス「nendo(ネンド)」とのコラボレーションで、山の上ホテルの世界観と調和しつつ、それを愛した文豪たちへのオマージュを表現しています。

    画像: 「書斎」がテーマのパッケージ

    「書斎」がテーマのパッケージ

    フィナンシェは「文庫本」とまったく同じサイズのボックスに5個入り。

    食べ終えたあとの箱は、大切な小説をしまっておいたり、小物入れにしたりと、用途を選ばず再利用できそうなビジュアルです。

    画像: 「ブック型 文庫本サイズ フィナンシェ」。ヘーゼルナッツ味とチョコレート味の2種入り、1,404円(税込)

    「ブック型 文庫本サイズ フィナンシェ」。ヘーゼルナッツ味とチョコレート味の2種入り、1,404円(税込)

    宿泊の記念に自宅で余韻を味わうのもいいですし、東京土産のお持たせにしてもいいですよね。

    オリジナルギフトは山の上ホテルのオンラインショップでも購入可能です。

    画像: 「nendo」とコラボレーションした新パッケージのオリジナルギフト

    ペストリーシェフ 安﨑さんが手掛けるケーキ類が並ぶショーケースも圧巻。どれも美しく、コーヒーパーラーでいただくデザートとはまた異なるビジュアルもそそられます。

    現代に通ずるアールデコ様式へ

    2019年に行われた大規模なリニューアルでは、建物ができた頃の戦前の設計図を頼りに内装も一新。クラシックだけれど、決して古くささを感じないアール・デコの意匠が、ホテルのすみずみに至るまで再現されたのです。

    画像: 珍しいタイルの床面にホテルのロゴのあしらい

    珍しいタイルの床面にホテルのロゴのあしらい

    「歴史ある文化的な建物でも、ここ最近はどんどん淘汰されていってしまう時代。このホテルが持つ雰囲気を大切に、歴史自体を価値にしていきたいという思いでリニューアルに踏み切りました」と、経営企画室 室長の峯松泰広さんはいいます。

    伝統を守りながら、新たな展開にもチャレンジしていく、温故知新の精神。
    それが確固たるひとつの文化として成立し、唯一無二の空間と味わいを生み出す「山の上ホテル」。ここは、節目節目に訪れたくなる特別な雰囲気をまとっています。

    これからの時季、新緑を眺めながらホテルまで歩くのも楽しそう。都心で過ごす非日常の時間を、ぜひ堪能しに訪れてみてくださいね。

    山の上ホテル
    ・東京都千代田区神田駿河台1-1
    ・JR総武線/東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水駅」徒歩5分
    ・東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」徒歩5分
    ・東京メトロ半蔵門線、都営新宿線・三田線 神保町駅、徒歩6分
    03-3293-2311
    山の上ホテル公式サイト オンラインショップはこちら

    コーヒーパーラーヒルトップ
    11:30~21:00(2021年3月22日~当面の間)

    ※山の上ホテルでは、お客様に安心してご利用いただけますよう 新型コロナウィルス感染予防ならびに感染拡大防止に努め運営を行っております。

    〈撮影/山川修一 取材・文/山下あい〉



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