• 保護犬とはぐくむポジティブで豊かな暮らしをご紹介。イラストレーター・オカタオカさんが、2020年7月に家族として迎えた臆病な元保護犬「アビー」との一喜一憂の日々をつづります。今回は、迎えたばかりのアビーとの接し方に悩んだお話です。

    保護犬アビーとの共同生活のはじまり

    怯えるアビーに落ち着ける場所を

    画像: 家に来てしばらくは緊張で呼吸が荒く早かった

    家に来てしばらくは緊張で呼吸が荒く早かった

    アビーを迎えて3ヶ月くらいは、毎日頭を悩ませていたように思います。

    迎えたばかりのアビーは、音という音すべてに怯えていました。椅子のきしむ音や調理の音、ドアの開閉音など、僕たちが少し動いただけでもスクッと立ち上がり、部屋のあちこちを行ったり来たり。

    画像: 音もこわければ視線もこわい(オカタオカさん日記より)

    音もこわければ視線もこわい(オカタオカさん日記より)

    アビーはいたずらをするわけでもなくとてもおとなしかったため、保護ボランティアでは柵などをせずフリーにしていたそうです。

    それに習って我が家もそうしたのですが、まったく落ち着かず常にプチパニック状態。

    画像: まずは室内でリードに慣らす(オカタオカさん日記より)

    まずは室内でリードに慣らす(オカタオカさん日記より)

    そんなアビーを見て、これは早急に落ち着ける場所を確保した方がよいと思い、クレートを購入。しかし警戒してなかなか入ってくれず。『犬は狭くて暗い場所を好む』という本やネットで得た知識と違う……と戸惑いました。

    試行錯誤した結果、クレートを柵で囲うようにしてアビーだけのスペースを設けると、やっと入ってくれました。

    しかし喜んだのも束の間、そこから引きこもり生活がはじまったのです……。

    “オリーブ”になるはずだったアビー

    余談ですが話は少し戻り、アビーの名前についてお話します。

    画像: シャンプーを終えてぐったり

    シャンプーを終えてぐったり

    “アビー”は保護ボランティアでの(仮)の名前だったので、僕たちは“オリーブ”に改名しようと決めていました。これは僕たちの好きな映画『リトル・ミス・サンシャイン』の主人公の名前にちなんだものです。

    映画の彼女のように天真爛漫になってほしいという想いに加え、出会った頃のアビーはおなかが少しぽっこりしていて彼女と体型がそっくりだったのです。

    ところが里親募集サイトで見つけてからずっとアビーと呼んでいたので、家に来てからもついついアビーと呼んでしまっていたのです。

    するとクレートに引きこもりっぱなしでコミュニケーションの一切取れない“オリーブ”がその言葉にだけ唯一反応するのです。

    そうなると藁をもつかむような思いでアビーのままにしよう! と妻と意見が一致し、オリーブという名前はお蔵入りとなったのでした。

    画像: 家に少しだけ慣れてきたアビー

    家に少しだけ慣れてきたアビー

    後々気づいたのですが、なんと偶然にも主人公のオリーブを演じる俳優の名前がアビー(*)だったのです。

    みんな色々な想いを名前に込めると思いますが、アビーはアビーになるべくしてなったんだなと、僕の中で変に納得した出来事だったのです。

    * 映画『リトル・ミス・サンシャイン』のオリーブ役の俳優は、Abigail Breslin(アビゲイル・ブレスリン)。ニックネームはアビー(Abbie)。

    なるべくアビーがひとりになれる時間を。しかし……

    画像: クレートの奥でほとんど動かないアビー

    クレートの奥でほとんど動かないアビー

    余談が長くなりましたが、僕たちが同じ空間にいると一切クレートから出てこないので、ペットカメラを設置。別室や外出先でご飯やトイレの様子を見守り、なるべくアビーがひとりになれる時間をつくりました。

    画像: 我々が同じ部屋にいると目の前のご飯も食べれない(オカタオカさん日記より)

    我々が同じ部屋にいると目の前のご飯も食べれない(オカタオカさん日記より)

    同じ空間にいるときは極力気配を消すなどして、こそこそと過ごすように心がけていました。しかしそんな生活がしばらく続くと、徐々にこちらも滅入ってきてしまったのです。

    これではアビーの距離は縮まるどころかむしろ開いている……?

    もしこの状態が長いこと続くとお互いにとってもストレスできっとよくない。

    そう考えた僕たちは、ついに『おさんぽ』に踏み切ることにしたのです。

    画像: トイレは今でも僕らの前ではできません

    トイレは今でも僕らの前ではできません



    画像: (撮影/濱田紘輔)

    (撮影/濱田紘輔)

    オカタオカ
    犬と車が好きなイラストレーター。宮崎生まれ、鹿児島育ち。現在は東京都在住。桑沢デザイン研究所卒業。雑誌や書籍などを中心にイラストレーションを手がける。バンド“すばらしか”の加藤寛之とのポッドキャスト番組『クルマのふたり』も配信中。
    インスタグラム:
    @okataoka(イラストレーション) @abbie_in_the_life(保護犬日記)

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    『保護犬と暮らすということ(別冊 天然生活)』

    『保護犬と暮らすということ(別冊 天然生活)』

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    amazon.co.jp

    犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。

    保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。



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