一説によると、春は鶏の体調が最もよい季節といわれているので、「春の卵は美味」と聞きます。料理家の松田美智子さんに、ほんのりスパイスと塩味がしみ込んだ、なんちゃって塩卵のつくり方を教えていただきました。
春の卵は美味

日本では俳句の季語として、西洋でもイースターに象徴されるように、卵の旬は春でした。いまでも、一説によると春は鶏の体調が最もよい季節といわれているので、「春の卵は美味」と聞きます。
卵は、割ったとき、黄身の周りの白身がプルンと盛り上がっているものが、新鮮です。時間が経つと白身が水のようになって、流れ出るような感じになります。
また、白身が白濁しているものほど、新鮮。新鮮な白身にはガスがたっぷり含まれているため、白身にガスが溶け込んで白濁しているのです。時間が経つと白身から炭酸ガスが抜け、弾力を失って透明感のある水のようになってしまうそうです。ちなみに、有精卵、無精卵がありますが、市販の卵は、ほとんどが無精卵です。
以前、養鶏所を取材したときにお聞きしたのですが、卵の黄身の色は、エサに由来しているため、エサ次第で色は自由に変えられるそう。また黄色の色の濃さと、味とは、基本的に関係がないそうです。
私はアニマルウェルフェアの観点からも、栄養面からも、できるだけ、健康に育てられた卵を選ぶようにしています。小さくておいしさの詰まった土佐ジローは、私の好きな卵のひとつです。
なんちゃって塩卵のつくり方

塩味のついたゆで卵。
しょうがと八角でほんのりスパイスを効かせて。
材料
● 卵(水洗いする) | 4個 |
● A | |
・水 | 1.5カップ |
・八角 | 1/2かけ |
・塩 | 大さじ3 |
・しょうがの薄切り | 1かけ分 |
つくり方
1 卵を15分室温におく。鍋にAを入れて火にかけ、卵を入れ、中火で煮立つまで、箸で優しくかき混ぜ、黄身を真ん中に安定させる。


2 ふつふつしたら、弱火にして10分ゆで、そのまま置き、冷めたらゆで汁ごと、密封容器に入れ、冷蔵庫におく。1~2日置くと塩味が入る。
保存期間:冷蔵庫で約1週間保存可能
〈料理/松田美智子 撮影/山田 耕司〉

松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を1993年より主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった保存食づくりを基本に、いまの時代に無理なく楽しめる季節の仕事を提案。著書に『丁寧なのに簡単な季節のごはん』(小学館) amazonで見る など。