• 保護犬とはぐくむポジティブで豊かな暮らしをご紹介。イラストレーター・オカタオカさんが、2020年7月に家族として迎えた臆病な元保護犬「アビー」との一喜一憂の日々をつづります。今回は、オカタオカさんがアビーの成長を見守るなかで、改めて感じたことについてお話します。

    アビーの行動から“保護犬”それぞれの成長スピードについて考える

    徐々に散歩に慣れ始めた元野犬のアビー

    前回は散歩を始めてからのアビーの変化についてでしたが、今回はもうちょっと詳しくお話しします。
    画像: 雨でも散歩に行けるようにカッパ購入

    雨でも散歩に行けるようにカッパ購入

    アビーは朝より夜の散歩の方が好きです。

    朝と夜で歩く速度も違います。朝はいろんなものに注意を払いながら慎重に歩くためなかなか前に進みませんが、夜は警戒心が少し和らぐのか、わりと前のめりに歩きます。

    画像: 踏切は全然怖くない様子

    踏切は全然怖くない様子

    野犬はおもに夜行動するため、元野犬だったアビーにとって明るい時間はきっと危険という認識なのだと思います。

    今でこそ朝も楽しそうにしていますが、朝の散歩でしっぽが上がるようになったのは夜よりもだいぶ遅れてからでした。

    とはいえはじめは朝であれ夜であれ、警戒心いっぱいで差し出されたフードにすら怖がるほどだったのですが、散歩を重ねるうちにいつのまにか外でもフードを食べられるようになりました。

    画像: 抱っこはまったく嫌がらない(嫌がるそぶりを見せないだけかも)

    抱っこはまったく嫌がらない(嫌がるそぶりを見せないだけかも)

    その頃になると我々も散歩にだいぶ慣れ、それまで夫婦そろって散歩に行っていましたが、ひとりずつ行くことも増えてきました。

    そのタイミングで僕は(なぜか妻に内緒で)おすわりの練習を始めたのです。

    おすわりの練習

    一般的なおすわりの教え方は、フードを犬の頭上に掲げる→それを犬が目で追いかけ自然と座る形になる→その動作におすわりという言葉を結びつけるですが、その方法ではまったくうまくいかず……。

    あれこれ試行錯誤した結果、アビーの横に座ってお尻のあたりをトントンと叩くとたまに座ることが判明したので、その瞬間を逃さずフードを与えるという一連の動作を繰り返しました。

    画像: おすわりの練習

    するとわずか1週間くらいでなんとなくですがおすわりができるようになったのです!

    妻にそのことを自慢げに伝えたのは言うまでもありませんが、あまりの習得の早さにもしかして天才!?と思ってしまった親バカな我々なのでした。

    家では相変わらずのビビり犬

    画像: 口に落ち葉つきがち

    口に落ち葉つきがち

    日に日にしっぽのふり幅もだんだん大きくなり、電信柱や草むらでいろいろなにおいを夢中で嗅ぎまわりとても楽しげなアビー。

    しかしどうしたものか家に戻った瞬間まるでスイッチが切り替わるのかのように急にビクビク犬に戻ってしまうのです。

    画像: この姿勢そしてこの目で監視するアビー(笑)

    この姿勢そしてこの目で監視するアビー(笑)

    玄関ではグルグルと回りどうも落ち着かない様子で、首輪やハーネスを外す音に驚き、足をふき終わると足早に自分の定位置に戻ります。そしてそこから身をすくめ不安げな表情で我々をしばらく監視するのです。

    画像: ご飯もまだ恐る恐る

    ご飯もまだ恐る恐る

    え、今まで一緒に楽しく散歩してたよね? と毎回ちょっと傷つく我々……。

    画像: 留守番時も定位置から全然動かない

    留守番時も定位置から全然動かない

    そんな家と外でのギャップに当初はやきもきしていましたが、それにも慣れてきたある日、来るわけないよな~と思いながらもフードを持ってアビーを呼んでみたのです。

    すると今まで近寄るどころかできる限り距離を取っていたアビーがゆ~っくりと立ち上がりこちらへのそのそ歩いてきたのです!

    僕にとってはまさに青天の霹靂で、とてもうれしくて感激したのを覚えています。

    それと同時に外ではできるのにどうして家ではできないの? とアビーに期待しすぎて、ゆっくりマイペースなアビーの性格を少し蔑ろにしていたところがあったのではと反省もしました。

    画像: 徐々に近くでも眠るように

    徐々に近くでも眠るように

    やはり“保護犬”の中にもさまざまな性格の子がいて、成長のスピードも犬それぞれ。そんな当たり前のことを改めて感じたのです。

    とはいえ過保護にしすぎるのもよくないし、その見極めがとても難しいのですが、まずはアビーのペースを最優先にして寄り添っていこうと思います。



    画像: (撮影/濱田紘輔)

    (撮影/濱田紘輔)

    オカタオカ
    犬と車が好きなイラストレーター。宮崎生まれ、鹿児島育ち。現在は東京都在住。桑沢デザイン研究所卒業。雑誌や書籍などを中心にイラストレーションを手がける。バンド“すばらしか”の加藤寛之とのポッドキャスト番組『クルマのふたり』も配信中。
    インスタグラム:
    @okataoka(イラストレーション) @abbie_in_the_life(保護犬日記)

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    『保護犬と暮らすということ(別冊 天然生活)』

    『保護犬と暮らすということ(別冊 天然生活)』

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    amazon.co.jp

    犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。

    保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。



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