• サワードゥを知っていますか?
    小麦粉やライ麦粉に水を混ぜ合わせて、自然発酵させた天然酵母、それがサワードゥです。これを元種にしてパンをつくります。サワードゥでつくったパンは、粉の風味を強く感じられ、ほんのりとした酸味もあり、かみしめるほどにおいしいパンです。料理家の真藤舞衣子さんに、小麦の全粒粉を使ったサワードゥのつくり方と、サワードゥを使ったイタリアパン「チャバタ」の焼き方を教えていただきます。材料も手順も驚くほどシンプル。家庭でも手軽に続けられます。
    (『はじめてのサワードゥ ブレッド』より)

    What is サワードゥ ブレッド?

    サワードゥ ブレッド 5つの特徴

     粉と水だけの発酵種

    発酵種のサワードゥは、粉と水が材料。余計なものが入らないシンプルなパンづくりです。

     育てる楽しみ

    サワードゥは毎日目に見えて変化していきます。まるで植物を観察し、育てるような感覚です。

     おいしい酸味

    サワードゥの発酵過程で増える乳酸菌のおかげで、ほどよい酸味を感じられるパンに。

     季節や家によって、味が変わる!?

    気温や湿度、空気中に浮遊している菌。その違いが、パンの風味に現れることも。

     こねないパン

    こねる代わりにじっくり時間をかけて発酵させるから、粉の持つおいしさを最大限に引き出します。

    全粒粉サワードゥのつくり方

    サワードゥは「ライ麦粉や小麦粉に水を混ぜる」を5~10日繰り返して完成させます。

    毎日半分捨てながら継ぎ足しする方法もありますが、捨てるなんてもったいない! と思い、私の場合は、捨てずにエサやり(粉と水を足すこと)を続けてつくります。

    画像: 全粒粉サワードゥのつくり方

    全粒粉サワードゥは、ライ麦と並び、発酵しやすいサワードゥです。

    プチプチとした歯ごたえと香ばしさが特徴で、素朴な味わいが楽しめます。

    point

     毎日、同じ時間にエサやりをする

     25~30℃の暖かいところにおく

     雑菌が入らないよう、清潔な容器やへらを使う

     混ぜるときは下から全体に混ぜる

    最初に用意するもの

    材料

    ● 強力全粒粉50g
    ● 水(浄水)40mL

    道具

    ● 保存容器 容量1.2L程度のもの

    ● ゴムべらまたはスプーン

    準備

    ・ 保存容器、ゴムべらなどは煮沸するか、アルコールで拭くか熱湯をかけて消毒する。

    つくり方

    *夏は早めに完成し、冬は少し時間がかかるというように、温度や環境によってでき上るまでの日数に違いがあります。香りや膨らみ加減もあくまで目安です。

    1日目

    保存容器に分量の強力全粒粉、水を入れる。ゴムべらで粉っぽさがなくなるまでよく混ぜる。草っぽい香り。

    ふたをのせ(きっちり閉めない)、常温におく。

    画像1: つくり方

    2日目

    見た目の変化はあまりない。草の香りが強くなっている。

    強力全粒粉50g、水40mLを加え、全体に混ぜる。ふたをのせ、常温におく。

    3日目

    少し気泡が出てきて、干し草のような強烈な香り。

    強力全粒粉50g、水40mLを加え、全体に混ぜる。ふたをのせ、常温におく。

    画像2: つくり方

    4日目

    上からも気泡が出てきて、混ぜると中にも気泡があるのがわかる。においは干し草の強烈な香り。

    強力全粒粉50g、水40mLを加え、全体に混ぜる。ふたをのせ、常温におく。

    5日目

    急に膨らんできて、気泡も増える。香りは少し酸っぱく変化。

    強力全粒粉50g、水40mLを加え、全体に混ぜる。ふたをのせ、常温におく。

    6日目

    さらに膨らんできて、横から見ても上から見ても気泡が全体に出てきたらでき上がり。香りは少し酸っぱい。

    ゴムべらで持ち上げると、水分を含みながらもポソッと切れるくらい。

    画像3: つくり方

    ◎ 完成後すぐにパンづくりに使える。保存は冷蔵庫へ。週に二度はエサやり(強力全粒粉50g+水40mLを加えて混ぜる。粉と水はそれぞれ半量ずつでもOK)をし、安定する1か月後からは週に一度のエサやりを。パンを仕込む前日に冷蔵庫から出し、エサやりをして元気にしてから使う。

    ◎ 冷蔵保存後、気泡が少なくなった場合は「サワードゥの上部を半分くらい取り除き、強力全粒粉50g、水40mLを混ぜる」を2~3日繰り返すと、復活する。取り除いたサワードゥは、パンケーキやクッキーにするといい。

    チャバタのつくり方(全粒粉サワードゥを使って)

    画像: チャバタのつくり方(全粒粉サワードゥを使って)

    その形から、イタリア語で「チャバタ(スリッパの意)」と名づけられたとか。二次発酵なしで、切りっぱなしで焼けるので手軽です。

    外はサクッと、中はもちっ!

    材料〔4個分〕

    ● A
    ・全粒粉サワードゥ100g
    ・水120mL
    ・塩4g
    ・砂糖8g
    ● 強力粉150g
    ● 打ち粉適量

    つくり方

    混ぜる

     ボウルにAを入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせる。強力粉をふるい入れ、カードで少しずつ、粉っぽさがほぼなくなるまで混ぜ合わせる。

     ラップまたはぬれぶきんをかけ、10分ほど常温におく。

    一次発酵

     カードで生地をすくい上げ、5~6回折りたたむ。

     保存容器に入れ、ふたをして冷蔵庫の野菜室に7~24時間おき、約1.2〜1.5倍に発酵させる。

    成形

     に打ち粉をふり、保存容器の四つの壁面にカードを差し込み、容器を逆さにして生地をこね台に取り出す。

     生地の下に手を入れ、気泡をつぶさないように軽くのばして長方形にし、奥と手前から生地を折って三つ折り、向きを変えて三つ折りにし、合わせ目をとじる。

    焼く

     下段の天板(またはバット)に湯適量(分量外)を入れ、オーブンを250℃に予熱する。

     の生地を裏返し、カードで4分割する。

    画像4: つくり方

     天板にオーブンシートを敷いてをのせ、ざるや茶こしで打ち粉をしてナイフで斜めに1本、 7~8mm深さにクープを入れる。

    10 の天板をオーブンに入れ、庫内の上部と側面に向かって水適量(分量外)を霧吹きで4~5回吹きつけ、250℃で20分焼く。

    *電気オーブンの焼き時間を基本としています。ガスオーブンは火力が強いので、温度を10℃下げた方がいい場合があります。機種によって焼き加減に差がありますので、ご家庭のオーブンのクセをつかみましょう。

     

    本記事は『粉と水だけの自家製酵母で作る はじめてのサワードゥ ブレッド』(文化出版局)からの抜粋です





    〈撮影/竹内章雄 スタイリング/池水陽子 文/飯村いづみ〉

    画像5: つくり方

    真藤 舞衣子(しんどう・まいこ)
    料理家。東京生まれ。会社勤めを経て、京都の大徳寺内塔頭にて1年間生活をし、その後フランスのリッツ・エスコフィエに留学し、ディプロマを取得。菓子店勤務後、カフェ&サロン「my-an」をオープンし、料理家に。現在は料理教室やレシピ開発、テレビやラジオで活躍。おもに発酵料理を得意とし、料理を通じて環境を考えた暮らし方や食育を提案。著書は『ボウルひとつで作れる こねないパン』『和えもの』(主婦と生活社)、『からだが整う発酵おつまみ』『はじめてのみそ作り』(立東舎)など。今年6月には、最新刊『粉と水だけの自家製酵母で作る はじめてのサワードゥ ブレッド』(文化出版局)が発売された。

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    『粉と水だけの自家製酵母で作る はじめてのサワードゥ ブレッド』(真藤 舞衣子・著)

    『粉と水だけの自家製酵母で作る はじめてのサワードゥ ブレッド』(真藤 舞衣子・著)

    『粉と水だけの自家製酵母で作る はじめてのサワードゥ ブレッド』(真藤 舞衣子・著)

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    粉に水を混ぜて、室内に放置するだけで完成するサワードゥ。

    自然の力を借りて、一から発酵させるというおもしろさ、また、自宅で本格的なパンが焼けることから、病みつきになる人が急上昇中のパン作りです。

    サワードゥの丁寧な解説と、毎日の食生活に取り入れたいベーシックなパンのレシピを紹介しています。



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