• 東京から鹿児島・鹿屋(かのや)に住まいを移した料理研究家・門倉多仁亜(タニア)さん。おだやかに流れる時間のなかで、衣食住、もの、これからの生き方……さまざまなことについて考えます。新しい暮らしを前向きに楽しむタニアさんの、花を飾る習慣についてお届けします。
    (『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』より)

    東京から鹿児島・鹿屋へ

    画像1: 東京から鹿児島・鹿屋へ

    10年以上前、夫の実家がある鹿児島県鹿屋市に今の家を建てました。その経緯は、それよりもずっと前に、これから住む家をどうしようかという話になったのがきっかけでした。

    このまま賃貸暮らしを続けるのか、それとも仕事場のある都内にマンションを買うのか、でも都内は高いから関東近郊の素敵な街を検討すべきなのか。夫婦であれこれ話し合った結果、夫はどうしても一軒家に住みたいという希望でした。

    そして家を建てるなら「周りの人たちと繋がりのある土地に建てたい」という気持ちになり、最終的には夫の実家の敷地内に建てることになったわけです。

    ですので、いずれは鹿屋に住むことになるとは思っていました。でも、それがいつかは特に決めていなかったのが、2020年、唐突に決断を迫られました。

    夫は数年前に定年退職して、一足先に鹿屋で暮らしていました。私はふたりで住んでいた東京のマンションにそのまま住み続け、そこで料理教室などの仕事をしていました。お互い東京と鹿児島を行き来しながら、一緒にいたり、ひとりの時間もあり、都会も田舎も満喫できるライフスタイルです。

    画像2: 東京から鹿児島・鹿屋へ

    今から思えば、自由でいいとこどりの贅沢な時間でした。でもそれだけではなく、東京に住むということは私にとってもうひとつ重要なポイントがありました。それは、東京で暮らす両親にいつでも会える安心感です。

    しかし2020年2~3月頃から新型コロナウイルスの感染拡大があり、政府が不要不急の自粛要請を出しました。

    それに従って私も3月の料理教室をキャンセル。しかし1カ月経っても感染の拡がりは治まらず、結局4月から9月までの料理教室もすべて中止することになりました。

    仕事がなくなった3月、とりあえず鹿屋へ帰りました。そしてそれが結果的に、はじめての長期滞在となりました。

    東京に戻れたのは県をまたいでの移動制限が解除された6月中旬頃。東京へ帰ったものの、仕事もないのに東京のマンションの家賃を払い続けることは困難と判断し、8月末に鹿屋へ引っ越しすることになったのです。

    画像3: 東京から鹿児島・鹿屋へ

    人生は何があるかわからないと言いますが、本当にその通りですね。

    幸いにも私はすでに田舎に帰れる家がありました。また、偶然にも2019年に、夫の実家の跡地に料理教室用のアトリエを建てていました。

    ただ、少しずつ生活の拠点を鹿児島へ移していこうと思っていたのが、一気に田舎ライフに。私の新しい冒険はこうして始まりました。

    花を飾って彩りを添える

    画像1: 花を飾って彩りを添える

    植物が置いてあると部屋の雰囲気がガラリと変わりますね。観葉植物でも花でも、生きたものがそこにあるだけでいいものです。

    引っ越してくるまで鹿児島の家には月に一週間程度の滞在だったため、植物を家に置くのはあきらめて、華やかさをプラスしたいときは花を生けていました。

    でも、これからは長く住むことになるので、観葉植物を取り入れてみようかと検討中です。

    冬はあまりそういう気分にならなかったのですが、春が近づいてくると気持ちがグリーンなものにひかれ、何がいいかを考えている最中です。

    私にとっての条件は、手入れが楽なもの。水やりも毎日ではなく、週に一回程度でOKの植物が一番心地いいと思い、まずは東京でも育てていたセロームを買ってみました。

    日当たりどによっても育ち具合が違うので、様子をみながら次の植物選びの参考にします。

    画像2: 花を飾って彩りを添える

    ほかには、花もいくつか飾っています。今の玄関は下駄箱の上にスペースがあるので、そこに何か季節の花を生けてあると素敵ですよね。

    秋には長い間、近くの道の駅で見つけた鉢植えの小さな蘭を置いていました。お手入れがほとんど必要なく、長い間きれいな花を咲かせてくれました。

    年が明けてからは庭に咲いている水仙を生けたり、夏から秋には、お姉さんの畑に咲いている花を摘ませてもらって飾ることも多いです。一番好きなのは百日草とアメジストセージ! 私も種をまいてみたいな~。

    画像3: 花を飾って彩りを添える

    春に向けて球根類もたくさん仕込んでいます。ドイツでは球根類は長い冬を乗り越え、春の訪れを象徴するものだからか、どうしても惹かれてしまうのです。水耕栽培のヒヤシンスは花瓶にのせ、庭の一カ所に数種類の球根も植えました。

    そして、それらが失敗する確率も十分にあるので、年が明けてからはすでに育ち始めているヒヤシンスとムスカリの球根を買ってきて、それぞれお気に入りの鉢に植えています。

    花を飾るのを難しく考える必要はありません。好きな花を一輪、お気に入りの花瓶かグラスに生けるだけ。

    鹿屋だと庭がなくても無人販売の花屋があるので、何かあれば買ってきて楽しんでいます。

    本当はお墓に供えるための花なのでしょうが、そんなのはお構いなし。きれいな色を部屋に添えたいだけなので、好きな花を飾って楽しめばいいと思っています。

    本記事は『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)からの抜粋です


    画像4: 花を飾って彩りを添える

    門倉多仁亜(かどくら・たにあ)
    1966年生まれ。ドイツ人の母、日本人の父をもち、ドイツ、日本、アメリカで育つ。国際基督教大学を卒業後、外資系証券会社に入社。東京、ロンドン、香港で勤務する。結婚後、夫の留学のために再びロンドンへ。長年興味のあった料理とお菓子を学ぶために、ル・コルドン・ブルーへ入り、グランディプロムを取得する。帰国後、料理教室をはじめ、現在は鹿児島県鹿屋市在住。雑誌や書籍などで料理やドイツのライフスタイル全般を紹介する仕事をしている。著書に『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)、『ドイツ式暮らしがシンプルになる習慣』『365日の気づきノート』(ともにSBクリエイティブ)など多数。

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    『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)

    『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(門倉多仁亜・著/扶桑社刊)

    『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)

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    2020年、東京から鹿児島に住まいを移した料理研究家・門倉多仁亜さんの暮らしの日々を綴ったエッセイ集です。鹿児島での生活と新たな習慣、おしゃれと食事のはなし、家族とのつき合い方、コロナ禍で考えたことなど。衣食住にまつわる工夫や、日々の習慣、機嫌よく過ごすための心がけなど、さまざまなテーマで暮らしのヒントをお届けします。 年齢を重ね、環境の変化を前向きに楽しむタニアさんの、ゆとりある、ていねいな暮らしを多数のカラー写真とともに紹介します。



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