• コロナ禍でマスクを着けている時間が長くなっています。アメリアでウイルス学、ワクチン学の研究に携わり、現在は栃木県那須烏山市の「七合診療所」で所長として地域医療に従事する本間真二郎先生に、理想的な呼吸方法を教えていただきました。
    (『天然生活』2021年12月号掲載)

    “鼻呼吸”と“腹式呼吸”の仕方について

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    24時間、当たり前のようにしている呼吸。実は、この呼吸と健康にはとても大きな関係があることを知っていますか? 今回は、健康の鍵となる呼吸の仕方についてお伝えします。

    ひとつ目は鼻呼吸です。鼻には加温や加湿、浄化などの働きがあり、空気中の有害物質が体内に侵入するのを防ぐフィルターの役割を果たしています。

    一方、口は本来食べ物の通り道であり、呼吸する器官ではありません。喉の奥には免疫の要であるリンパ節が集中していて、外界からの異物を食い止める働きをしていますが、口呼吸をしていると刺激物や異物が常にリンパ節を直撃するため、免疫力が低下してしまいます。

    また口呼吸は、口の中の常在菌=口腔内フローラの乱れを引き起こす大きな原因のひとつ。口腔内フローラは腸内細菌と同様、健康にとって非常に重要であり、その乱れは全身のさまざまな病気につながることがわかっています。

    このように、口呼吸をやめて鼻呼吸を心がけることが健康にとってはとても大切なのです。普段から意識するほか、福岡県の内科医、今井一彰先生が提唱している「あいうべ体操」もおすすめ。ゆっくりと力を込めて「あー」「いー」「うー」「べー」と発音するのを朝晩20回ずつ繰り返すだけのものです。

    画像: “鼻呼吸”と“腹式呼吸”の仕方について

    ふたつ目は腹式呼吸です。横隔膜を上下に動かす呼吸法ですが、難しいことはなにもありません。とにかく「ゆっくり、長く吐く」ことを意識するだけでいいのです。吸気と呼気が1:2以上になるのが理想で、息を吐き切ったら、吸うのは自然と空気が入ってくるのに任せます。

    深い腹式呼吸は体を休息、回復モードにさせる副交感神経を優位にしますが、パソコンに向かうことが多い現代人は猫背になりやすく、そのため呼吸も浅くなりがちです。

    また、さまざまなストレスにより交感神経に偏りすぎている人がほとんど。交感神経と副交感神経のバランスが悪いと免疫系の乱れや冷え、消化吸収の働きの低下など、あらゆる体の不調につながります。普段からゆっくりと息を吐き切ることを意識しましょう。

    マスク生活をしていると、どうしても浅い口呼吸になりがちですが、これではかえって免疫力を低下させかねません。

    最近ドイツで「子どもがマスクを着用した場合、3分以内にマスク内の二酸化炭素濃度が安全基準の6倍になる」という研究報告も発表されました。マスクによる弊害も認識し、可能なときはできるだけ外すようにしたいものです。

    〈取材・文/嶌 陽子〉


    画像: “鼻呼吸”と“腹式呼吸”が健康の鍵に|本間真二郎先生の病気にならない暮らし方

    本間真二郎(ほんましんじろう)
    小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。現在は同市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。著書に『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー)など。2児の父。



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