• 料理研究家のウー・ウェンさんの、六花亭帯広本店探訪。1階で思う存分、お買い物を楽しんだあとに、2階の喫茶室へ伺いました。光が気持ちよく差す窓辺の席で、ウーさんが注文したのは……?

    「自然なおいしさと気持ちのよい接客」

    2階へ上がっていくと、平日お昼前後の喫茶室は、すでに若い人から常連さんと思しきご年配の方々まで、大勢のお客さんが、それぞれ思い思いのひとときをゆったりと楽しんでいらっしゃいました。

    運よく空いた窓際の席で、ウーさんは、さっそく「ダージリンティー」と、コルネ状に焼かれたパイ生地の中に生カスタークリームがたっぷり詰まった「サクサクパイ」をいただくことに。

    「本当にメニュー名のとおりサクサクなのだけど、クリームがとってもおいしいのね。自然な甘さだから、最初にふわーっと香りが立ったあとにやわらかな甘みがくるの。お茶もテーブルまで来て注いでくださるなんて、その心遣いがうれしいわ」

    画像: シンプルながらも気品を感じるテーブルウェア。ティーカップはロイヤルコペンハーゲン、プレートは大倉陶園のもの

    シンプルながらも気品を感じるテーブルウェア。ティーカップはロイヤルコペンハーゲン、プレートは大倉陶園のもの

    お買い物で疲れたウーさんに染み渡る、温かい紅茶と素朴でおいしいおやつ。一息入れて、スーッと疲れが飛んだあとにふと周りを見渡して気づいたのは、背筋をしゃんと伸ばして働く、スタッフみなさんの姿でした。

    「みなさんとても生き生きとしていて、素晴らしいんですよね。そしてそれは誰から指図されたわけでもない、それぞれの方の自発的なおもてなしだということが、きちんと伝わってきます。

    みなさんの接客が、決してマニュアルどおりでないことは、聞かなくてもわかりますよ。心のこもった接客は、ちゃんと響くものです」

    画像: パイのサクサクした食感を大事にしているため、注文を受けてからクリームを詰め、賞味期限はなんと3時間という徹底ぶり

    パイのサクサクした食感を大事にしているため、注文を受けてからクリームを詰め、賞味期限はなんと3時間という徹底ぶり

    実際、店長に伺うと「お菓子の説明に関しては、全店共通の資料がありますが、接客に関してのマニュアルはないんです。シスター制度というのがあって、新人はまず先輩について経験を積んでいくのですが、そこで見て学び、また自分自身が周りを見て、どうしたらお客様がくつろげるか、ということをそれぞれ考えるように促しています」とのこと。

    普段は甘いものをほぼ取らないというウーさんですが、その心地よさとおいしさにすっかりお気に召した模様です。すると、ふと視線を上げた先に、近くのテーブルにいらしたお客さんのパンケーキが目に入りました。聞けば、帯広本店限定のメニューなのだとか。

    「うふふ、これも頼まなくっちゃね」

    画像: 別に添えられたメープルシロップをたっぷりかけて、固めに泡立てられた生クリームと一緒にいただけば、至福のおいしさ

    別に添えられたメープルシロップをたっぷりかけて、固めに泡立てられた生クリームと一緒にいただけば、至福のおいしさ

    注文を受けてから、生地を一からつくり始めるという「リコッタパンケーキ」は、卵白をしっかり別立てしてつくるスフレタイプ。

    「もっちりとしていて生地がとてもおいしい。こちらもやっぱり自然な甘さだから、香りのよさが引き立っていますね。とってもおいしいわ。

    六花亭のおやつは、東京で買えるものもあるし、お土産をいただいたりすることもあるから、もちろんこれまで食べたことはありました。でもこちらに来てみて、おいしさだけじゃない、別の感動が沸き上がっています」

    真摯で誠実なお菓子づくりと心からのおもてなしにすっかり魅了されたウーさん。最後に店長に「また絶対来ますね!」と力強く宣言して、お店を後にしたのでした。

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    訪れたのは…

    ウー・ウェン
    料理研究家。ウー・ウェンクッキングサロン主宰。中国・北京出身で1990年に来日。雑誌や書籍にて一般家庭でもつくりやすい中国料理を紹介し、人気を博す。著書に、『体と向き合う家ごはん』(扶桑社)、『本当に大事なことはほんの少し』(大和書房)など多数。

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    SHOP DATA
    六花亭帯広本店
    住所:北海道帯広市西2条南9丁目6
    電話:0120-12-6666
    営業時間:9:00~18:00
    喫茶室営業時間:11:00〜16:30(LO16:00) ※毎週水曜定休
    ※季節によって変動あり

    〈撮影/古瀬 桂 取材・文/遊馬里江〉




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