• 3月21日から4月4日ごろの二十四節気七十二候
    日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
     

    3月21日 0時33分
    二十四節気・春分(しゅんぶん)

     

    春のお彼岸の中日

    太陽が真東から昇って真西に沈むころです。

    昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に昼と夜の長さが逆転します。

    春分の日は、国民の祝日で春のお彼岸の中日。

    昔は山から降りてくる田の神様を田んぼの中のほこらにお招きし、土地の神や五穀の神様をまつる社日に種まきをしたとされています。

    農作業開始の重要な時期となります。

    春分の期間の七十二候

    3月21日から3月25日ごろ
    春分初候・ 雀始巣[すずめはじめてすくう]

    画像: 3月21日から3月25日ごろ 春分初候・ 雀始巣[すずめはじめてすくう]

    スズメが空を飛び回り、巣作りを始める季節。

    スズメは民話にもよく出てくる、人々に身近な鳥。

    家の軒や屋根に群集し、わらで巣を作ったものです。

    今でも電線に並んで止まり、チュンチュンと鳴く姿は本当にかわいらしいもの。

    成長をあたたかく見守りたいですね。

    3月26日から3月30日ごろ
    春分次候・ 桜始開[さくらはじめてひらく]

    画像: 3月26日から3月30日ごろ 春分次候・ 桜始開[さくらはじめてひらく]

    桜前線が北上し、桜の開花が次々と始まるころです。

    開花の知らせは、連日の天気予報でも話題にのぼるようになります。

    満開の桜は見るものの心を浮き立たせ、散りゆく桜吹雪は、そこはかとなく切なさを感じさせます。

    時代は変われど、人の心を魅了するその美しさとはかなさは永遠のようです。

    3月31日から4月4日ごろ
    春分末候・ 雷乃発声[かみなりすなわちこえをはっす]

    画像: 3月31日から4月4日ごろ 春分末候・ 雷乃発声[かみなりすなわちこえをはっす]

    春に鳴る雷は「春雷」といい、本格的な春の訪れを告げる空の声と称されます。

    激しい雨を伴う夏の雷や稲妻と違い、その音は、高い積乱雲の上で遠慮がちに鳴るので、遠くて聞こえづらいかもしれません。

    しかし離れているように感じられても、ときとしてにわか雨やヒョウを降らすことがあるので、油断は禁物です。

    農家の方々にとって雷は「虫出しの雷」といい、野焼きの準備に入る頃合いを見極める兆し。

    雷鳴に耳をそばだてるようになる季節です。

    * 二十四節気

    四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。

    * 七十二候

    七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。

    ◇ ◇ ◇

     

    *本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
    *二十四節気、七十二候の日付は2022年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。

    <イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>

    井上象英(いのうえ・しょうえい)
    暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。


    画像: 二十四節気・春分(しゅんぶん)|井上象英の暮らしのこよみ

    井上 象英
    「365日、暮らしのこよみ」(学研プラス)
    定価:1,870円

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    『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。



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