(『天然生活』2012年6月号掲載)
つまんで、巻いて。即興の味わいが面白い「出先で仕上げのお弁当」
みんなでお弁当を持って出かけるとき。景色を見にいく、海に行く。表向きの理由はいろいろあるけれど、よくよく思い返してみると……実は、お弁当を食べることそのものが、大きな目的だったりします。
だから、食べるためにいくら手間をかけたってOK。
そのままつまんで、くるくる巻いて、ときには2種類も3種類もおかずを一緒にしたりして。食べながら幾通りにも楽しめる、こんな即興の味わいが面白いお弁当はいかがでしょう。
「行楽弁当は、おかずの数が多いほうが盛り上がる。手間をかけた3品より、そこそこ手のかかる2品と簡単な3品を合わせたほうが喜ばれたりします」と、ふたり。
というわけで今回のお弁当、手がかかるようにみえますが、切ってあえるだけだったり、さっと炒めるだけだったり。華やかさからは想像できない、手間なしレシピもしっかり盛り込んでくれました。
出先で仕上げのお弁当のつくり方
エジプト鶏
じんわりおいしいその秘密は、ひと晩じっくり漬け込んだから。前の晩につくりおきOKな、お弁当向きおかずです。
材料(つくりやすい分量)
● とりもも肉(骨付き) | 280g |
● キドニービーンズ(缶詰) | 230g(豆のつけ汁も150mLとっておく) |
● 玉ねぎ | 1/2個 |
● にんにく | 1片 |
● ヨーグルト | 100mL+100mL |
● 白ワイン | 100mL |
● 砂糖 | 小さじ2 |
● クミンパウダー | 小さじ1 |
● こしょう | 適量 |
● カイエンペッパー | 適量 |
● オリーブオイル | 大さじ1 |
つくり方
1 とり肉は骨の関節を切ってヨーグルト(100mL)をまぶし、ひと晩おく。
2 玉ねぎ、にんにくは、みじん切りにする。とり肉とまぶしておいたヨーグルトを分けておく。
3 鍋にオリーブオイルをひき、にんにく、玉ねぎを炒める。しんなりしてきたらとり肉を加え、表面に満遍なく焼き目をつける。
4 3にヨーグルト(100mL)、白ワイン、キドニービーンズ、つけ汁を加え、弱火で煮込む。
5 1時間ほど煮込み、水けが少なくなってきてとり肉もやわらかくなったら、骨を取り除いてとり肉を崩すようにほぐす。さらに煮込み、水分がほぼなくなったら砂糖とクミンパウダーを加える。
6 味見をして塩けが足りなければ、塩ひとつまみ程度(分量外)を加えて味をととのえる。仕上げに、こしょう、カイエンペッパーをふる。
*とり肉が崩れるほどやわらかくなる前に水分が足りなくなってきたら、適宜、水を足す。
カリフラワーのスパイス炒め
カリフラワーがもつほのかな甘味とスパイスは、名コンビ。そのまま食べてもよし、トルティーヤに巻いてもまたおいしい。
材料(つくりやすい分量)
● カリフラワー | 1/2株 |
● じゃがいも | 1個(100g) |
● しょうが(みじん切り) | 1片分 |
● A | |
・クミンパウダー | 小さじ1/2 |
・コリアンダーパウダー | 小さじ1/2 |
・チリパウダー | 小さじ1/2 |
・ターメリックパウダー | 小さじ1 |
● サラダ油 | 大さじ1 |
● 塩、こしょう | 各少々 |
つくり方
1 カリフラワーは小房に分ける。じゃがいもは皮をむいて芽を取り除き、ひと口大に切る。それぞれ、ひたひたの水で好みのかたさにゆでておく。
2 Aのスパイス類を混ぜ合わせておく。
3 フライパンにサラダ油をひき、しょうがを炒める。香りが立ってきたら、2を入れて軽く炒める。続けて1を加え、さっと炒める。塩、こしょうで味をととのえる。
アボカドペースト
トルティーヤを持っていくなら、これがなくちゃ始まらない。レモンの酸味とタバスコの刺激が、クセになる味。
材料(つくりやすい分量)
● アボカド(完熟) | 1個 |
● 玉ねぎ(みじん切り) | 1/4個分(25g) |
● レモン汁 | 1/2個分 |
● タバスコ | 2〜3滴 |
● 塩 | ひとつまみ |
つくり方
1 アボカドは皮をむき、縦半分に切って種を取り除き、フォークなどでつぶす。
2 玉ねぎを加え、レモン汁、タバスコ、塩を加えて、よく混ぜ合わせる。
マンゴーペッパーベーコン
ベーコンの脂とマンゴーの濃厚な甘味。意外なふたつを結びつけるのは、スパイシーなたっぷりこしょう。
材料(つくりやすい分量)
● マンゴー(缶詰) | 150g |
● ベーコン(かたまり) | 100g |
● オリーブオイル | 小さじ1 |
● 塩 | ひとつまみ |
● こしょう | 少々 |
つくり方
1 マンゴーは2cm幅の斜め切りにする。ベーコンは1cm幅のブロック状に切る。
2 フライパンにオリーブオイルをひき、ベーコンを炒める。
3 ベーコンに焼き色がつき、脂が出たら火を止める。マンゴーを加え、塩、こしょうをふり、全体を混ぜる。
たたきえびとトマトと卵のナンプラー炒め
お弁当に赤の食材が入ると、全体が一気に華やぎます。えびのプリプリした食感を楽しんで。
材料(つくりやすい分量)
● むきえび | 160g |
● 卵 | 2個 |
● トマト(中) | 1個(130g) |
● 酒 | 大さじ1+大さじ1 |
● ナンプラー | 小さじ1+小さじ1 |
● 片栗粉 | 小さじ2 |
● サラダ油 | 大さじ1+大さじ1 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● 香菜 | 2茎 |
つくり方
1 むきえびを粗めの乱切りにし、ボウルに入れる。酒(大さじ1)、ナンプラー(小さじ1)、片栗粉を加え、よくあえる。
2 別のボウルに卵を割りほぐし、酒(大さじ1)、塩を加え、よく混ぜる。トマトは横半分に切って種を取り、6等分する。香菜はざく切りにする。
3 フライパンを火にかけ、温まったらサラダ油(大さじ1)をひく。1のえびを入れて炒め、一度取り出す。
4 ふたたびフライパンを火にかけ、温まったらサラダ油(大さじ1)をひき、2の卵液を入れる。木べらで大きく混ぜ、大きめのそぼろ状になってきたら3のえびをもどし入れ、さっと炒めて火を止める。トマト、ナンプラー(小さじ1)、香菜を入れてよくあえる。
〈撮影/木村 拓 取材・文/福山雅美〉
南風食堂(なんぷうしょくどう)
大学時代の同級生である、三原寛子と小岩里佳による料理ユニット。料理だけではなく、色、音、空間を含めた食のある風景そのものをプロデュースする。著書に『ココナッツオイルの本』『乾物の本』(ともにスペースシャワーネットワーク)などがある。
http://www.nanpushokudo.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです