• 4月20日から5月4日ごろの二十四節気七十二候
    日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
     

    4月20日 11時24分
    二十四節気・穀雨(こくう)

     

    実りをもたらす恵みの雨が降るころ

    この時期に降る雨はめぐみの雨。

    「百穀を潤す」といわれ、旧暦では農作業開始の目安とされ、“種まきにちょうどよい”季節にあたります。

    神社では、奥宮から里宮に“農の神様”を招き、無事に農事が終わることや豊作を祈願するさまざまな春祭りが行われます。

    また、この時期に咲く花にはすべて、春の恵みをもたらす女神様が宿っているのだとか。

    玄関やリビングに花を生け、春の運を呼び込んでみてはいかがでしょう。

    穀雨の期間の七十二候

    4月20日から4月24日ごろ
    穀雨初候・ 葭始生[あしはじめてしょうず]

    画像: 4月20日から4月24日ごろ 穀雨初候・ 葭始生[あしはじめてしょうず]

    五穀豊穣の証、「アシ」が芽吹くころです。

    アシは、日本の神話にもその存在が記されており、古くから人々の暮らしにとても身近な植物で、五穀豊穣の証であったとされています。

    高さ2メートルにもなるイネ科の多年草で、その茎は、風や光を調節するすだれやよしずの材料として、いまも使用されています。

    4月25日から4月29日ごろ
    穀雨次候・ 霜止出苗[しもやみてなえいずる]

    画像: 4月25日から4月29日ごろ 穀雨次候・ 霜止出苗[しもやみてなえいずる]

    「八十八夜の別れ霜」と称されるように、「終霜日」も近いころ。

    苗がみるみる成長し、野山が見渡す限り、緑の海のようになります。

    晩春の風は大根や梨の花の甘い香りを運び、山菜や薬草として知られるウドやせりなどの特有の香りは、春の終わりを感じさせます。

    庭木の手入れや植物の消毒、トマトやキュウリの植え付けもこの時期が適しています。

    虫がわかないように、土の手入れも重要な時期です。

    4月30日から5月4日ごろ
    穀雨末候・ 牡丹華[ぼたんはなさく]

    画像: 4月30日から5月4日ごろ 穀雨末候・ 牡丹華[ぼたんはなさく]

    「百花の王」と称される、華麗でゴージャスな牡丹の花が咲き始めるころです。

    「立てばシャクヤク、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」ともいわれるように、牡丹は美しさの象徴としても表現されてきました。

    春も終わりが近づき、力強い日差しが感じられるようになる季節です。

    * 二十四節気

    四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。

    * 七十二候

    七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。

    ◇ ◇ ◇

     

    *本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
    *二十四節気、七十二候の日付は2022年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。

    <イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>

    井上象英(いのうえ・しょうえい)
    暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。


    画像: 二十四節気・穀雨(こくう)|井上象英の暮らしのこよみ

    井上 象英
    「365日、暮らしのこよみ」(学研プラス)
    定価:1,870円

    井上 象英「365日、暮らしのこよみ」(学研プラス)|amazon.co.jp

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    『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。



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