• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、9月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる発酵食品が注目されています。また、おうちで過ごす時間が増え、保存食づくりを始める人も。今回紹介するのは、「栗の渋皮煮」です。

    栗の薬膳的効能ついて

    縄文時代の遺跡から炭化した栗が発見されているほど、栗は古くから利用されてきました。

    中国では「栗子(りっし)」という生薬(そのまま製薬の原料とするもの)としても使われていて、体を温め、胃腸の調子をよくしたり、気(生命エネルギー)を補ったりするとされています。

    五臓(肺・心・脾(ひ)・肝・腎(じん)の5つの内臓)のうち、とくに「腎」に働きかける力が強いので、老化防止、アンチエイジングに役立ちます。

    中国では昔から、朝晩に生のままの栗を食べて、腎臓を強化する習慣があるそうです。

    栗は虫がわきやすいので、収穫したら早めに調理しましょう。

    【保存食】栗の渋皮煮のつくり方

    画像: 【保存食】栗の渋皮煮のつくり方

    手間も時間もかかるけれど、栗の季節になると毎年どうしてもつくりたくなる渋皮煮は、私の母の自慢の一品。

    ご褒美のように一粒ずつ大事にいただきます。

    一般的には砂糖で煮ますが、私は健康のためにみりんで代用しています。

    砂糖を使う場合は、鬼皮(外側の厚い皮)をむいた栗の重さの60%ぐらいの砂糖を目安に加減してみてください。

    材料(つくりやすい量)

    ● 栗10個
    ● 本みりん適量
    ● 重曹小さじ1

    つくり方

     ボウルに熱湯を入れ、栗を15分ほどひたす。渋皮(繊維状の薄い皮)に傷がつかないように気をつけながら、鬼皮を包丁で少しずつ削りながらむく。

     栗を鍋に入れ、材料が少しかぶるくらいの水と重曹の1/3を加えて強火にかける。沸騰したら中火にしてアクを取り、10分ほどゆでる。

     鍋に流水を加えながら、水をかえる。栗に流水が直接当たると渋皮に傷がつくので注意。渋皮に残っている筋を手でやさしくこすって取りのぞく。

    画像1: つくり方
    画像2: つくり方

     水と重曹を新しくして、を2回繰り返す。最後に重曹を抜くために、水だけで5分間煮る。

     鍋から栗を手ですくって水気を切り、洗った鍋に並べて、材料が少しかぶるくらいのみりんを加える。キッチンペーパーで落としぶたをして中火にかけ、煮立ったら弱火にして10分ほど煮る。そのまま冷まし、煮沸消毒した密閉性の高い容器に煮汁と一緒に保存する。

    ※冷蔵庫で約1週間保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。

    インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
    YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」



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