• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、1月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる発酵食品が注目されています。おうちで過ごす時間が増え、保存食づくりを始める人も。今回紹介するのは、「たくあん漬け」です。

    大根の薬膳的効能ついて

    消化を促進する酵素を含む大根は、薬膳でも消化不良、胃もたれなどに有効な食材とされます。

    また、痰の多い咳を改善したり、本来、上半身から下半身へめぐる気が逆流して生じた吐き気や胸焼け、のぼせなどを抑えたりといった効果も期待できます。

    たくあんにすると乳酸菌と大根の辛味成分が反応して、黄色い色素ができます。

    この黄色い色素は抗酸化作用が高く、さまざまな生活習慣病を予防したり、悪玉コレステロールが血管に付着するのを防いだりする作用があります。

    さらに、発酵したたくあんの中には1g中に10億個もの乳酸菌が生息するといわれ、腸内環境を整えるのに役立ちます。

    【発酵料理】たくあん漬けのつくり方

    画像: 【発酵料理】たくあん漬けのつくり方

    たくあんは、干した大根をぬかと塩に漬けて乳酸発酵させた、冬ならではの発酵食品です。

    わが家では、毎年お正月明けに100本の大根を掘りに行き、大きな樽に漬け込んでいますが、ごはんのお供に、お弁当に、お酒のおつまみやお茶請けにと、子どもからお年寄りにまで大好評です。

    一般的な市販のたくあんは砂糖で甘味を補ったり、黄色くするために着色料を使ったりすることが多いのですが、本来のたくあんは甘味も色味も自然のもの。

    大根を2週間ほど干して寒風にさらすことで、水分が抜けてでん粉が糖化し、甘味もうま味もぐっと増しますし、大根の辛味成分と乳酸菌が反応して、黄色い色素成分も生まれます。砂糖も着色料も不要なのです。

    干してぬかに漬けるだけと、とってもシンプルな漬物ですから、ぜひ本物のたくあんを手づくりしてみてください。

    材料(つくりやすい分量)

    ●大根(あれば練馬大根)4本
    ●昆布5cm角2枚
    ●赤とうがらし2本
    ●干した果物の皮(柿、りんご、みかんなど)ふたつかみ程度
    ●ぬか干した大根の重量の15%
    ●塩干した大根の重量の5%

    つくり方

     大根は洗って、葉の中心にある芯葉(しんよう)を取り除く。

    画像: 真ん中にあるのが芯葉(成長点)。取り除くと、大根の栄養分が葉の成長に使われるのを防いだり、スが入りにくくなる

    真ん中にあるのが芯葉(成長点)。取り除くと、大根の栄養分が葉の成長に使われるのを防いだり、スが入りにくくなる

     2本1組にして葉を紐で縛る。雨露が当たらない風通しのよい軒下などに2週間ほど干す。

    画像: 葉の真ん中あたりを縛り、物干しざおなどに引っ掛ける

    葉の真ん中あたりを縛り、物干しざおなどに引っ掛ける

     大根がへの字やUの字に曲がるようになったら、干しあがり。長く保存したい場合は、より長く干して水分を飛ばす。

     昆布は細切りに、赤とうがらしは種を取ってちぎる。果物の皮はキッチンバサミなどでざく切りにする。

     ボウルにぬかと塩、を加えてよく混ぜ合わせる。

     清潔な漬物用容器にをひとつかみ入れて底に敷く。葉を切り落とした大根を保存容器の形に添わせながら、できるだけ隙間をつくらないよう詰める。1段詰めたら、大根が隠れるくらいを入れる。残りの大根も同様に詰める。

    画像: 隙間には干した葉や、大根をカットして詰める

    隙間には干した葉や、大根をカットして詰める

     一番上にをたっぷりかぶせ、ぬかが表面に出ないように切り落とした大根の葉で覆う。干した大根の重量の3倍の重石をのせ、容器のふたをして3週間〜1カ月ほど冷暗所に置く。

    画像: 保存はできるだけ温度変化の少ない涼しい場所で。発酵が進むとどんどん酸っぱくなるので、好みの酸味になったら冷蔵庫に移す

    保存はできるだけ温度変化の少ない涼しい場所で。発酵が進むとどんどん酸っぱくなるので、好みの酸味になったら冷蔵庫に移す

    ※漬け床から出したら清潔な密閉袋などに入れて、冷蔵庫で2〜3週間保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)、『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。



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