• 阿部絢子さんは、コロナ禍になるまで、海外でのホームスティ(暮らし体験)を年1回のライフワークとしていました。ヨーロッパやアメリカ、アジア、オセアニアなど、生活研究家として、暮らしの実像を体験して知りたいという強い思いで、ノートとiPad(撮影用)を持ち、気になることを書き留め、写真におさめるのだとか。そのひとつ、2003年、フィンランドのリサ宅で体験した、エコなやりくり家事についてのお話。
    (『ぶらり、世界の家事探訪』より)

    残りものの惣菜は冷凍

    (フィンランドのホームスティ先でのこの日の)ランチは、ミートボール(フライパンのままで出た)、サラダ、マッシュポテト、パン。

    これも当たり前のように、エリア(ホストファミリーの娘)の手づくりだ。

    そして、残りものの惣菜をどうするのか見ていると、本日のメイン料理のミートボールは、日付を記入して冷凍庫へ。これを1カ月以内に食べきるという。

    画像: 残りものの惣菜は冷凍

    このように、惣菜の残り物はすべて冷凍庫に入れ、残さずに食べきっている。残ったものを冷蔵庫に入れることはしない。

    保存期間が短く、食べきる前に腐らせたり、忘れたりで無駄が多いからだという。賢い。

    私などは、全部食べきれる、と予想して冷蔵庫にしまうが、ついつい、いろいろ予定が狂い、ダメにして無駄にすることが多い。反省。

    リサたちの暮らしには、食べられるものを捨てる、容器や包装のゴミを増やす、水を汚すといった、環境に負荷をかけるような動きが本当に少ない。

    何でも手づくりしていること自体そうだ。見習わねばならないなぁと思う。

    食器洗いの洗剤使いは、親子で異なる

    その日は、食器の洗い方に興味を持った。リサのところには食洗機はない。ふたりとも手で食器を洗う。その方法がふたりで違うのだ。

    エリアは、スポンジに直接洗剤をつけて洗う。リサは、洗い桶にお湯を入れ、そこに洗剤を入れて洗剤液をつくり、この中で洗っていく。汚れの落ちにくい食器はしばらく浸けておく。擦るときに使うのはキッチンブラシだ。

    このように面白かったのが、洗剤の使い方の違い。

    エリアは直接、リサは 薄める。この違いはどうしてか? 年代によるのか、あるいは環境配慮への意識によるのか、または、経済的なことを負担し把握しているかによるのか、興味深かった。エリアもいずれ薄めて使うことになるのかもしれない。

    画像: 食器洗いの洗剤使いは、親子で異なる

    気になることがもう一つある。リサの装いは、毎日同じセーターなのだ。 下はズボンかスカート。このスタイルが続いている。それに、洗濯場はどこにあるのか?

    気になることを書き留める、寝る前のメモ書きをしていたら、あっという間に10時を過ぎる。でも外はまだ明るい。

    本記事は『ぶらり、世界の家事探訪』(だいわ文庫)からの抜粋です

    〈撮影/阿部絢子 イラスト/木下綾乃〉

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    阿部絢子(あべ・あやこ)
    1945年、新潟県生まれ。共立薬科大学卒業。薬剤師の資格を持ち、洗剤メーカー勤務を経て、生活研究家・消費生活アドバイザーの経験を活かした、科学的かつ合理的、環境に配慮した生活全般にわたる提案をしている。また、世界各国の家庭にホームステイをし、その国の暮らし・家事・環境などを研究している。薬剤師として、現在も調剤薬局で働いている。主な著書に『キッチンに一冊 食べものくすり箱』(講談社+α 文庫)、『「やさしくて小さな暮らし」を自分でつくる』(家の光協会)、『ひとりサイズで、きままに暮らす』『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』(ともに大和書房)ほか、多数。

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    『ぶらり、世界の家事探訪〈ヨーロッパ編〉』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

    『ぶらり、世界の家事探訪〈ヨーロッパ編〉』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

    『ぶらり、世界の家事探訪〈ヨーロッパ編〉』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

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