• 山形県の大朝日岳の山麓で祖父の代から養蜂業を営み、日本で初めて蜜ろうキャンドル製造に着手した安藤竜二さんに「型抜き蜜ろうキャンドルの作り方」について教えていただきました。
    (安藤竜二・著『手作りを楽しむ 蜜ろう入門』より)

    ビギナーズラックから始まった
    キャンドル作り

    私が初めて作った蜜ろうキャンドルは、アルミホイルの芯を使った「型抜きキャンドル」でした。

    今思うとビギナーズラックだったのでしょう。

    粗野なつくり方でも、立派なキャンドルができたのです。

    さっそく、薄暗くなった夕方に灯してみました。

    すると、やさしい光りが部屋中に広がり、その炎の力強く美しい輝きにすっかり魅了されてしまったのです。

    ここでは、型抜き蜜ろうキャンドルのつくり方を紹介します。

    材料もキャンドルクラフトショップなどで市販され、誰でも手軽に購入することができます。

    いろいろ試しながら、ご自身のキャンドル作りを楽しんでください。

    型抜きキャンドル(バケツ型)の作り方

    画像: 型抜きキャンドル(バケツ型)の作り方

    キャンドル用の型は、キャンドルクラフトショップなどで、お好みの素敵なものを簡単に購入できます。

    ただし、ほとんどがパラフィンキャンドル用なので、蜜ろうキャンドルには太すぎる型が多いです。

    石油系のパラフィンろうは着火力が強く、太いキャンドルでもうまく灯すことができるのです。

    蜜ろうキャンドル用には、なるべく直径5cm以内の細い型を選ぶといいでしょう。

    あるいは、小さな試飲用カップやゼリー、プリンの型など、身の回りに代用できる器もたくさん見つかりますから、それらを使うのも楽しいです。

    ここでは、小さなプリンカップを使ってバケツ型キャンドルの作り方を紹介します。

    準備するもの

    材料 (口径4cmのキャンドル×2本分)

    ●蜜ろう 100g

    画像: 蜜ろうの形状はいろいろです。こちらは溶かして使いやすい、薄い板状の蜜ろうを砕いたタイプです。ペレット状で販売されているものもあります。

    蜜ろうの形状はいろいろです。こちらは溶かして使いやすい、薄い板状の蜜ろうを砕いたタイプです。ペレット状で販売されているものもあります。

    ●灯芯 2本(または、座金付き灯芯 2本)

    画像: 灯芯は、うちでも使っている「D型」と呼ばれる円筒形に編まれた芯が、蜜ろうには最も合っているようです。ただ、灯り方にこだわりがないのなら、身近なさまざまな糸で試してみてもよいでしょう。

    灯芯は、うちでも使っている「D型」と呼ばれる円筒形に編まれた芯が、蜜ろうには最も合っているようです。ただ、灯り方にこだわりがないのなら、身近なさまざまな糸で試してみてもよいでしょう。

    ●座金 2個

    画像: 座金は、万一消し忘れて火事を起こさないよう自動的に消火する安全装置です。すでに灯芯に付いた状態で販売しているタイプもあります。

    座金は、万一消し忘れて火事を起こさないよう自動的に消火する安全装置です。すでに灯芯に付いた状態で販売しているタイプもあります。

    道具

    ●プリンカップ(口径4cm程度の小さめのもの)

    ●ミルクパンなどの小鍋(ステンレス、アルミ、ホーロー製のものを。鉄や銅は、蜜ろうが変色するので不可。耐熱性があって注ぎ口が付いていれば、たこ焼き用の粉つぎなどでも)

    ●温度計

    ●小さなハンマーもしくは木の棒など

    作り方

     プリンカップの高さよりも2~3cm長めの灯芯に、座金を取り付けます。ペンチで座金の金具をしっかりおさえて、灯芯を固定させます(「座金付き灯芯」の場合は、この工程は省略します)。

    画像1: 作り方
    画像2: 作り方

     灯芯を、プリンカップの底の真ん中に蜜ろうを使って固定します。米粒ほどの蜜ろうを、指先もしくはドライヤーなどで温めて座金の裏に貼り付け、温かいうちにプリンカップの底に押し付けて圧着させます。強力に接着しますので、蜜ろうを流し込んだ時にずれることはありません。

    画像: 蜜ろうを、 指先もしくはドライヤーなどで温めて座金の裏に貼り付けます。

    蜜ろうを、 指先もしくはドライヤーなどで温めて座金の裏に貼り付けます。

    画像: 蜜ろうが、温かいうちにプリンカップの底に押し付けて圧着させます。

    蜜ろうが、温かいうちにプリンカップの底に押し付けて圧着させます。

     灯芯を割り箸で挟んでカップの上で固定します。

    画像3: 作り方

     鍋に入れた蜜ろうを、湯せんもしくは極弱火で溶かし、75℃くらいに冷めたらプリンカップに流しこみます。

    画像4: 作り方
    画像5: 作り方

     常温において完全に固まったら、小さなハンマーや木の棒などで軽く型を叩いて剥離させ、キャンドルを型から取り出します。

    画像6: 作り方
    画像7: 作り方

     蜜ろうが固まると、上部に穴が開き凹みますので、追加で蜜ろうを注いで埋めます。私は、ナイフをバーナーで熱して蜜ろうのかけらを押し当て、溶かして注ぎ入れています。

    画像8: 作り方

     芯先を1.5cmくらいに切って完成です。使い終わった鍋は、熱をかけてキッチンペーパーで蜜ろうを拭き取れば、きれいに拭えます。

    画像9: 作り方

    残ろうも最後まで使い切る

    底に付けてある座金は、安全に消火するためのものです。

    しかし、座金の高さ、灯芯が蜜ろうを吸い上げられず、ろうが残ってしまいます。

    小さな命のミツバチがもたらした蜜ろうが残ってしまうのはもったいないです。

    画像: 座金は消化装置ですが、ろうが残ります。この残ろうも再利用してぜひ使い切ってください。(撮影/安藤竜二)

    座金は消化装置ですが、ろうが残ります。この残ろうも再利用してぜひ使い切ってください。(撮影/安藤竜二)

    残ろうは、ドライヤーであたためると柔らかくなり、粘着力が出ます。

    小さくチップ状にして、灯芯にくっ付ければ、みの虫のような即席のキャンドルが作れます。

    ぜひ最後のひとかけらまでお楽しみいただけましたら幸いです。



    <撮影/奥山敦志>

    画像: 撮影/渡辺和哉

    撮影/渡辺和哉

    安藤 竜二(あんどう・りゅうじ)

    1964年生まれ。1983年より父のもと養蜂を学んだ後、1988年に日本ではじめての蜜ろうキャンドル製造に着手。「ハチ蜜の森キャンドル」を立ち上げ、営む。ハチ蜜の森キャンドル代表。アシナガバチ畑移住プロジェクト主宰。(公社)国土緑化推進機構認定「森の名手・名人」。山形県養蜂協会監事。著書に『知って楽しむ ハチ暮らし入門』(農山漁村文化協会)がある。

    http://mitsurou.com/

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    『手作りを楽しむ 蜜ろう入門』(安藤 竜二・著/農文協)|amazon.co.jp

    『手作りを楽しむ 蜜ろう入門』(安藤 竜二・著)

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