(『天然生活』2022年6月号掲載)
天然素材で刺激を少なく。ヘナ染めは「髪の草木染め」
近年、「やさしい白髪染め」として注目されているのが、植物染料の「ヘナ」です。質の高いホームケア製品やヘナ専門のサロンも増え、トライしやすい環境に。
「ヘナはアーユルヴェーダにも使われている植物。刺激が少なくアレルギーが出にくいことが大きな魅力です。さらに頭皮と髪のトリートメント効果もあり、使うほど髪のハリやコシが出てきます」
一方で、色のバリエーションの少なさや髪のごわつきなどにより、好みが分かれる側面もあります。
「ヘナだけだと白髪部分がオレンジに染まるため、白髪が多いとためらう人も。その場合はハーブをブレンドすれば色の調整ができます。また、染めたあとに髪が強くきしむので驚くかもしれません。最初は、ヘナ専門のサロンで染めてもらうと安心です」
ヘナで染める
ヘナはハーブの一種。葉に含まれる赤色色素が髪のケラチンタンパク質にからみついて発色し、白髪がオレンジに染まります。
黒やダークブラウンに染めるにはヘナにナンバンアイ葉(インディゴ)などのハーブを混ぜますが、ブレンドされた市販品を使うと簡単。ヘナパウダーは配合成分を確認して、植物100%のものを選びましょう。
ヘナ、ここが気になる
Q 染めるのに時間がかかるのでは?
A 40分〜1時間くらいが目安です。
ヘナの場合、最初は染まりが弱くても、数回重ねることで深く染まっていきます。おく時間がいくら長くても頭皮や髪に負担はありませんから、自宅染めなら、読書や料理をしながらのんびりと待つのがおすすめ。
Q 一度ヘナ染めしたら、ずっとヘナ染めに?
A 1~2回ならアルカリカラーにも戻せます。
ヘナ染めは繰り返すごとに色素が髪の内側に定着し、アルカリカラーを発色させることが難しくなります。「ずっとヘナでいく」覚悟がもてない人は1~2回試して様子を見て。
ヘアカラートリートメントなら併用が可能です。
Q ヘナ染めは明るい色にならない?
A 白髪の量で髪全体のトーンが決まります。
ヘナで染まるのは白髪のみ。白髪の量で髪全体の色のトーンが決まります。
黒髪は表面にオレンジのニュアンスがつく程度なので、白髪が少ない人は全体の印象はあまり変わらず、白髪が多いとオレンジが強い色みになります。
Q 髪がきしむというのが心配です……。
A 最初はきしみますが、緩和されます。
ヘナ経験が浅いうちやインディゴを含む染料の場合はとくにきしみ「ヘナショック」といわれるほど。でもヘナ染めを繰り返すうちに気にならなくなります。
また、インディゴ入りで染めた直後の髪は緑色。数日で黒っぽい色に。
準備するもの
● ヘナパウダー適量
(使用量の目安/根元リタッチ20〜30g、ショート30〜50g、ボブ〜ミディアム50〜70g、ロング70〜90g)
● 使い切り手袋1セット
● ヘアカラー用のハケ(ミディアム以上の場合)
● ステンレスボウル
● スプーン(大)
● 水スプレー
● 湯(40〜60℃)ヘナパウダーの量の3〜4倍くらい
● シャワーキャップ(温熱効果のあるアルミ製が◎)
● キッチンペーパー
● 濃い色のタオル
● 泡立たないシャンプー
おすすめのヘナパウダー
有機栽培のハーブを使ったトリートメント効果の高いパウダー。さまざまなハーブを組み合わせて繊細な色を実現。5色展開。
耕作放棄地を活用して栽培から手がけた国産ヘナ100%。カップでパウダーを溶いて使うスタイルも新しい。
白髪の量によってほかのハーブも加えて
白髪が多い人は、ヘナだけだと全体がオレンジになるため、インディゴなどを混ぜて染める。
ヘナは白髪をオレンジに染めるので、白髪が少なければオレンジのハイライトのようになる。
染めてみましょう
白髪染めとトリートメントを兼ねたヘナ染めは、セルフケアにも向いています。ヘナもインディゴもアレルギー性は低いものの、パッチテストは必要です。
ヘナペーストをつくる。ステンレスボウルにヘナパウダーを入れ、お湯を足してスプーンで溶く。お湯は少しずつ加え、ダマをつぶしながらケチャップくらいの硬さのペースト状にする。
手袋をはめ、ヘナペーストを塗りやすくするため、乾いた髪の全体に水スプレーを吹きかけて、染める予定の場所を湿らせる。毛先まで染める場合は全体を湿らせておく。
手(髪の長さがミディアム以上の人はハケがおすすめ)にペーストを適量取り、染まりづらい生え際や根元からペタペタとたっぷりのせていく。泥パックをするように頭皮にも塗る。
続いて分け目。ハケのとがった部分、もしくは手で髪を分けてペーストをたっぷりのせ、少しずつ分け目をずらしながら同様に塗っていく。頭頂から後頭部は2~3回に分けて塗る。
キッチンペーパーを3cm幅に切ったものを3枚つくり、イラストのように生え際にのせる。乾いてはがれないように、その上から軽く水スプレーをする。
塗り終わったら、ペーストが全体に行き渡るように手でしっかりともみ込む。表面が乾いてきたらスプレーで水分を足す。
キッチンペーパーの部分も覆うように、髪全体に濃い色のタオル(ラップでも)をかぶせ、その上からシャワーキャップをかぶる。そのまま40分~1時間ほど放置する。
いつもの3倍くらいの時間をかけて、根元からしっかり流す。ヘナ単体の場合は、すすぐだけでも。インディゴ入りのパウダーを使ったら、アミノ酸系のシャンプーか泡立たないシャンプーで洗うとよい。2~3日は色落ちしやすいので、同様に洗う(ヘナ単体で染めた場合も)。汚れてもいいタオルでふく。
ヘナ染め後のケア
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頭皮パックや洗い流さない使い方も。
<監修/伊熊奈美 撮影/林 紘輝 取材・文/熊坂麻美 イラスト/ヤマグチカヨ>
伊熊奈美(いくま・なみ)
美容エディター、毛髪診断士 認定指導講師、毛髪技能士。美容全般のなかでも毛髪科学分野とヘアケアに精通。30代前半から白髪に悩み、ホームケアからサロンケアまであらゆる方法にトライしてきた。つややかな髪はケアの賜物。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)。インスタグラム@namiikuma_hairista
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです