(『手ぬいでちくちく、暮らしの布小物』より)
シンプルなハンカチやTシャツにあしらえば、オリジナルの作品に
昔のお母さんたちはわが子が病気になったり事故にあったりしないように願い、わが子の着物に「背守(せまもり)」と呼ばれる刺しゅうを施したのだそう。
そんな風習にならい、わたしも子どもたちが幼い頃は、外で目いっぱい遊んでいろんな体験ができるようにと願いを込めながら、保育園着に刺しゅうをしたものです。
園で名前代わりにあてがわれたモチーフを刺してあげたときも、とても喜んでくれましたっけ。
難しく手のかかる印象の刺しゅうですが、玉止めやなみ縫いなどの簡単な技法だけでできる、こんなワンポイント刺しゅうはどうでしょう。
シンプルなハンカチやTシャツにあしらえば、あっという間にオリジナル作品のでき上がり。小さなほころびやシミを隠すのにも一役買ってくれます。
使う糸は刺しゅう糸でも、太番手の手縫い糸を使っても。ウールの入った糸を使うとふっくら素朴な印象になりおすすめです。
ちょこっと縫いもの
ワンポイント刺しゅうの方法
材料
● 刺しゅうをしたい布 | |
● 刺しゅう糸(2本取り) |
※広い面積の布なら刺しゅう枠をすると刺しやすいが、枠より小さい場合は布の下に石などを入れると刺しやすい。
刺しゅうの方法
1 小花柄の刺しゅうをする。布にチャコペンで絵を描く。まずは茎の部分を茶色の木綿糸で刺していく。玉結びをし、茎の先から1目刺す。
2 1で刺した縫い目の長さ半分くらいの位置で、糸と糸の間に針を刺す。
3 1、2をくり返して刺し進める。
4 茎の最後の部分まで刺したら、布を裏に返して玉止めをする。ほかも同様に刺して3本の茎をつくる。
5 花の部分を黄色のウール糸で刺していく。玉結びをして、布の下から針を出す。
6 針に糸を1〜3回巻きつけ(糸の太さによる)、針を引いて布の上に結び目をつくる。
7 6の結び目のすぐ横に針を刺し、6と同様に結び目をつくるのをくり返す。
8 こんもりした花の模様ができたら完成。あと2個も同様に刺す。
9 完成。ほかの刺しゅうについても、線をつくりたいときは茎と同様に、点をつくりたいときは花と同様に刺す。
本記事は『手ぬいでちくちく、暮らしの布小物』(家の光協会)からの抜粋です
〈撮影/新居明子〉
美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
手づくり暮らし研究家。京都の町家に夫と長女、長男の4人で暮らす。長女のために洋服作りを始めたのがきっかけとなり、2008年からFU-KO basics.として作品を制作販売する。「ものを作る、幸せのかたちを作る」をテーマに、手づくりのある暮らしを提案。『FU-KO basics.着るたびに、うれしい服』『FU-KO basics 心に残る、子ども服』(ともに日本ヴォーグ社)など著書多数。最新著書『手ぬいでちくちく、暮らしの布小物』(家の光協会)はすべて手ぬいでつくる初めての本となる。
インスタグラム:@minowa_mayumi
ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
YouTube:https://www.youtube.com/@fu-kobasics.8036
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針と糸と布さえあれば、誰でもすぐにできるのが手縫いのいいところ。場所を取らず、すき間時間を活用でき、家の中でできる趣味として新たに始める人が増えています。
美濃羽まゆみさんの作品のいちばんの魅力は、大人っぽくも可愛らしくもあるセンスのよい布使いと、デザインのチャーミングさ。
鍋つかみやエプロン、ティッシュケースなど家の中で使う小物から、お出かけの時に使えるバッグやポーチ、簡単な洋服まで、初心者でも簡単につくれるように丁寧につくりり方を紹介。手芸は苦手だけど、なにかつくってみたいという初心者さんにおすすめの1冊です。
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