• 日々の暮らしを豊かにする趣味や、長く愛用できるものにお金をかけたいという、家事アドバイザー・山﨑美津江さん。心豊かに暮らすための「締めどころ」と「使いどころ」の家計のルールを聞きました。
    (『天然生活』2023年10月号掲載)

    家計簿が教えてくれる、お金の「締めどころ」と「使いどころ」

    各地で家事に関する講演を行ったり、『婦人之友』をはじめ、さまざまな雑誌やテレビに出たりなど、幅広く活躍している、家事アドバイザーの山﨑美津江さん。

    何にお金をかけて、何にかけないかは人から教えられるものではなく、一人ひとりが生活のなかから見出していくもの。その助けとなってくれるのが「家計簿」なのだといいます。

    45年以上家計簿をつけ続けている山﨑さんに、心豊かに暮らすための「締めどころ」と「使いどころ」の家計のルールを聞きました。

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    前回のお話はこちら▼

    https://tennenseikatsu.jp/_ct/17724324

    山﨑美津江さんの「心豊かに暮らすための家計のルール」

    ルール01
    暮らしの道具は、長く愛着を持てるものをそろえる

    画像: 趣のあるダイニングテーブルやチェストなどは、主にイギリスのアンティーク。「テーブルはシンプルなデザインや天板のサイズを変えられるのがお気に入り」

    趣のあるダイニングテーブルやチェストなどは、主にイギリスのアンティーク。「テーブルはシンプルなデザインや天板のサイズを変えられるのがお気に入り」

    インテリアを整えるのが好きな山﨑さん。リビングには少しずつ買い集めたアンティーク家具や古時計が並びます。

    「家は毎日過ごす場所だから、飽きがこないもの、質が良いものを買うようにしています。多少、値が張ってもずっと使いつづけるので、結果的にはむだ遣いしないことに」

    好きなものに囲まれて暮らせば心が豊かになるうえ、家をきれいに保とうというモチベーションもわくのです。

    画像: 壁にかかった古時計は新婚時代に購入。「当時の私にとっては高価でしたが、美しさにひかれて」。それから約50年後のいまもインテリアに欠かせない存在

    壁にかかった古時計は新婚時代に購入。「当時の私にとっては高価でしたが、美しさにひかれて」。それから約50年後のいまもインテリアに欠かせない存在

    ルール02
    日々の暮らしを豊かにする趣味にはお金をかける

    画像: ギターを弾くのは仕事部屋。「オンライン会議の終わりに『蛍の光』を弾くこともあるの」と茶目っ気たっぷり

    ギターを弾くのは仕事部屋。「オンライン会議の終わりに『蛍の光』を弾くこともあるの」と茶目っ気たっぷり

    ギターは山﨑さんの結婚前からの趣味。朝起きたときや寝る前などに好きな曲を弾いて楽しんでいます。

    「コロナ禍で外出が制限されたときも、よくギターを弾いていました。辛いことや嫌なことがあったときもギターを奏でると心が落ち着くんです」

    いま自宅にあるギターは4本。気持ちを安定させ、毎日を豊かにしてくれるものだと知っているからこそ、無理のない範囲でしっかりお金をかけます。

    画像: いま家にあるのはクラシックギター2本とフォークギター2本。左奥は体のサイズに合わせてオーダーメイドしたもの

    いま家にあるのはクラシックギター2本とフォークギター2本。左奥は体のサイズに合わせてオーダーメイドしたもの

    ルール03
    欲しいものは3回自分に問いかけて、それでも欲しいと思ったら購入する

    画像: 3年がかりで探したラグ

    3年がかりで探したラグ

    「昔は“お買い得”などの言葉につられて衝動買いし、失敗したこともよくありました」

    最近は服や家具を買う際は慎重に。気になったものがあっても家に帰って自分のインテリアやワードローブに合うかを慎重にシミュレーションし、もう一度見に行きます。これをさらに繰り返した末に買うかどうか決めることに。

    「再度行ったときになくなっていたら、ご縁がなかったのだと思うようにしています」

    画像: 「ソファより掃除が楽」な長椅子。サイズをよく測ってから購入

    「ソファより掃除が楽」な長椅子。サイズをよく測ってから購入

    画像: 苦労して見つけた調味料入れはサイズがぴったり

    苦労して見つけた調味料入れはサイズがぴったり

    ルール04
    むだな買い物をしないために、ラベリングで管理する

    画像: 壁面収納のひとつには食材がずらり。「わが家はいま夫婦ふたり暮らしで、買い物は夫が担当。ここを開けて残量などを確認してからスーパーに出かけます」

    壁面収納のひとつには食材がずらり。「わが家はいま夫婦ふたり暮らしで、買い物は夫が担当。ここを開けて残量などを確認してからスーパーに出かけます」

    食材や日用品のストックを把握できず、同じものを買ってしまう。冷蔵庫の中にあるものに気づかず、食べ切らないうちに傷んでしまう。こうした日々の積み重ねから、家計にむだが生まれます。

    そこで山﨑さんは徹底的に見える化を実行。中身を書いたラベルを貼り、自分も家族も、ひと目でわかるようにしています。

    「容器も半透明にしているので残量もわかり、よけいなものを買わずにすみます」

    画像: 一目瞭然の冷蔵庫。「直前おかず」とは早く食べ切りたいおかずのこと

    一目瞭然の冷蔵庫。「直前おかず」とは早く食べ切りたいおかずのこと

    ルール05
    クラウドファンディングを活用し、応援しながら購入する

    画像: 2個で割引だったスキミング防止機能付き財布は、夫とひとつずつ使用

    2個で割引だったスキミング防止機能付き財布は、夫とひとつずつ使用

    山﨑さんがときどき買い物をしているのが「マクアケ」というクラウドファンディングのウェブサイト。

    さまざまな企業が紹介する新商品の開発費用を支援し、見返りとしてその商品を受け取れるというシステムです。

    「面白くて便利な商品が見つかるし、小さな企業を応援したい気持ちも。開発に込めた思いも知ることができるので、単に買い物をするよりよいお金の使い方ができる気がします」

    画像: 「マクアケ」で購入したパソコン台。「角度をつけられるのがポイント」

    「マクアケ」で購入したパソコン台。「角度をつけられるのがポイント」

    ルール06
    ポイントは無理せずためて、こまめに使う

    画像: 持っているポイントカードは、行きつけのスーパーなどのもの数枚だけ

    持っているポイントカードは、行きつけのスーパーなどのもの数枚だけ

    持っているポイントカードはふだん行くスーパーなどのものだけ。無理してためたりすることはありません。

    「ポイントって、結局は欲望を再生産させるためのものでしょう。それに振り回されるのはおかしいと思うの。

    長くためておくと変な欲も出てきそうだから、なるべくためずに使うようにしています。1カ月もためないんじゃないかしら。ポイントを使い切ると、不思議と心が軽くなりますよ」


    〈撮影/林 紘輝 取材・文/嶌 陽子〉

    山﨑美津江(やまさき・みつえ)
    家事アドバイザー。1948年、東京都生まれ。長女を出産後に「全国友の会(月刊誌『婦人之友』の読者の会)」に入り、整理収納や掃除など、家事の技術を磨く。家事について各地で講演を行ったり、『婦人之友』をはじめさまざまな雑誌やテレビに出たりなど、幅広く活躍中。著書に『再出発整理』(婦人之友社)など。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    天然生活2024年11月号の特集は「私流、お金をかけない楽しい暮らし」。

    野菜や保存食をつくったり、シェアしたり。

    支え合い、自然とともに営む暮らしからは真の豊かさとは何なのかが伝わってきます。

    俳優の財前直見さん、手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさん、布作家の早川ユミさんに、周囲とつながりながら支え合う新しい暮らし方を取材しました。

    ぜひご覧いただけましたら幸いです。

    画像: 76歳、夫婦ふたり暮らし「心豊かに暮らす」ための家計のルール。お金の“使いどころ”と“締めどころ”を見極めて/家事アドバイザー・山﨑美津江さん

    天然生活 2024年11月号
    https://shop.tennenseikatsu.jp/items/91553830



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