• 体や心の不調は、老廃物などの毒がたまっているのが原因。リンパストレッチで筋肉を刺激して、すっきり毒出しを。日本ホリスティックセラピー協会会長の加藤雅俊さんに「このリンパ節を流せばデトックスできる」という“体の5大リンパ節”を流す、5つのゆるいストレッチを教わります。
    (『天然生活』2023年4月号掲載)

    “筋肉”を刺激し、余分な毒をデトックス

    すぐに体調を崩す、体がだるくて重い、なんとなく気分が沈んだりイライラしたりする、ということはありませんか。

    「そんな体や心の不調は、体に余分なもの=毒がたまっているのが原因です」というのは、薬に頼らない予防医療を提唱する日本ホリスティックセラピー協会長の加藤雅俊さんです。

    ● 「体」の毒
    過労や睡眠不足、ストレスなどが原因で老廃物がたまり、体の毒=疲労物質であるファティーグ・ファクターが発生。だるさや疲れを引き起こします。

    ● 「心」の毒
    ストレスなどから神経伝達物質のノルアドレナリンが過剰発生。原因もわからず不安になる状態が続くなど、心が不安定になります。

    このような体と心の毒がダムのようにたまってしまう前に、体の外に流すのがリンパストレッチです。

    「体の中であまり使わない場所に毒がたまりやすいもの。リンパストレッチで普段は動かさない筋肉に刺激を与えることでリンパの流れを活性化。ファティーグ・ファクターなどの老廃物や脂肪など、余分な毒を体の外に流すようにします。筋肉を動かすと、神経伝達物質のセロトニンが分泌するので、心の安定も得られます」

    体の「5大リンパ節」とは?

    体にはリンパの集中する「5大リンパ節(脇、鎖骨、胸、おなか、そけい部)」があります。5大リンパ節は体の末端の手足から心臓に向かって流れる細いリンパ管が合流する重要ポイントです。

    この5大リンパ節のまわりの筋肉をストレッチでしっかり伸ばすことで、効率的にリンパの流れを活性化し、デトックス効果を高めることができるというわけです。

    リンパストレッチを始める前の準備

    リンパストレッチを始める前に、腹式呼吸と鎖骨のリンパマッサージをすることで、ストレッチの効果を高めます。

    〈腹式呼吸〉
    腹式呼吸で体の中に酸素を取り込むと、血液のめぐりがよくなり、リンパの流れもスムーズに。

    〈鎖骨のリンパマッサージ〉
    鎖骨まわりにはリンパが最終的に心臓に戻る直前の出口ポイントがあります。ここを手でやさしくマッサージして、リンパを流れやすくします。

    画像: リンパが多く集まる左の鎖骨の溝に沿って、手でやさしく5往復さする。力を入れすぎないように注意。同じように右の鎖骨も5往復マッサージする

    リンパが多く集まる左の鎖骨の溝に沿って、手でやさしく5往復さする。力を入れすぎないように注意。同じように右の鎖骨も5往復マッサージする

    画像: 湯船で、体が温まった状態で鎖骨をリンパマッサージしてから、入浴後にリンパストレッチ。より効果がアップする

    湯船で、体が温まった状態で鎖骨をリンパマッサージしてから、入浴後にリンパストレッチ。より効果がアップする

    【左右 各10秒×3セット】
    脇の下のリンパを流すストレッチ

    画像: 【左右 各10秒×3セット】 脇の下のリンパを流すストレッチ

    普段あまり動かすことのない脇の下を意識して、しっかり伸ばすようにします。

    脇の下にある深い部分の筋肉を刺激することで、リンパの流れが活性化。全身の血行がよくなり、低血圧や高血圧の症状を改善するのにも役立ちます。

    ストレッチをするときは手を伸ばすだけでなく、股関節からぐっと上半身を横に倒すことを意識するのがポイントです。

     肩幅に足を開き、背筋をまっすぐにして立つ。首だけを左側にゆっくり曲げる。

     右腕を上に伸ばし、みぞおちを中心に、ゆっくりと上半身を左側に傾けて10秒キープする。反対側も同様に行う。

    【10秒×5セット】
    のリンパを流すストレッチ

    画像: 【10秒×5セット】 胸のリンパを流すストレッチ

    胸の前側に広がっている筋肉を大きく伸ばして、胸と鎖骨のリンパを流します。

    胸のリンパの流れがスムーズになると免疫機能が高まり、菌やウイルスから体を守ってくれます。また、リンパ節のフィルター機能を高める効果もあります。

    ストレッチをするときは、腕を上げる前にしっかり両手を下に引き下げて、胸を開いてから行うことがポイントです。

     足を肩幅に開き、リラックスしてまっすぐに立つ。体の後ろで手を組んだら下に引っ張る。

     肩甲骨を背中の中心に引き寄せるように胸を張る。このときできれば組んだ腕を引き上げる。この状態で10秒キープしたら、まっすぐ立ったまま、腕を下して肩の力を抜きリラックスする。

    【左右 各10秒×3セット】
    おなかのリンパを流すストレッチ

    画像: 【左右 各10秒×3セット】 おなかのリンパを流すストレッチ

    おなかは内臓や腰、そして下半身からのリンパがたくさん集っています。

    なかでもおなかと胸の境目あたりには、下半身、左の上半身からのリンパが集まる太いリンパ管の起点となる部分があります。

    ストレッチをするときは、腕を回すのではなく、腰を落としておへそをひねるように。内臓機能が高まり腸の働きを整えるので、便秘や下痢も改善します。

     あごを軽く引き背筋をまっすぐにして立ったら、左足を前に出し、足を前後になるべく大きく開く。両腕は肩の高さに上げて伸ばす。

     上半身を左側にひねり、キツイと感じるところまで脇腹をねじる。10秒キープする。反対側も同様に行う。

    【10秒×5セット】
    胸・おなかのリンパを流すストレッチ

    画像: 【10秒×5セット】 胸・おなかのリンパを流すストレッチ

    おなかから胸、鎖骨のあたりにはたくさんのリンパ節が集中するゾーン。それらを一気に伸ばすことで、体全体のリンパを活性化できます。

    とくに、内臓まわりのデトックスには効果的です。時間がないときは、このストレッチだけでもぜひやるようにしましょう。

    腰が浮きやすいので、そういうときは手を遠くについて腰をしっかり床につけて行います。

     うつ伏せになり、あごを床につける。手のひらを床につけ、手足の指をしっかり伸ばす。

     手のひらを胸の脇に移動して、顔を正面に向けて、ひじを伸ばしながら上半身を起こす。

     背中を反らし胸を張り、10秒キープ。頭を上げてお尻の方に向けるとより効果が深まる。

    【左右 各10秒×3セット】
    そけい部のリンパを流すストレッチ

    画像: 【左右 各10秒×3セット】 そけい部のリンパを流すストレッチ

    そけい部にある腰まわりの大きな筋肉が収縮することで、足先やふくらはぎ、太ももと、下半身から集まったリンパ液を心臓に送り届けることができます。

    デスクワークが多いとそけい部が曲がったままで、リンパの流れも滞りがちに。そけい部をしっかり伸ばして刺激を与えることで、膀胱炎や頻尿などの尿トラブル、むくみや冷え、疲れにも効きます。

     左ひざを立て、右ひざを床につける。肩や腕の力を抜き、足はなるべく前後に広く開く。

     足を前後に開いた姿勢のまま、両手を左ひざの上に置く。

     腰を落として、そけい部から太ももを伸ばす。10秒キープしたらの姿勢に戻り、力を抜く。反対側も同様に行う。

    リンパストレッチをより効果的にするコツ

    1.適度に水分を補給する

    ストレッチの前後や最中は積極的に水分をとることで、代謝をアップさせます。水分をとることで汗や尿をしっかり出して、老廃物をデトックスしましょう。ただし、冷たい水は胃に負担がかかるので、常温の水を飲むようにします。

    2.ゆっくり伸ばす

    リンパストレッチでは、ゆっくりと筋肉を伸ばし「これ以上伸びない」というポイントで10~20秒キープするのがコツ。筋肉が完全に伸び切った状態をつくることでリンパの深い部分が刺激されます。勢いをつけてやると筋肉を痛めるので注意を。

    3.自分のペースで続ける

    リンパストレッチは続けることで効果が出ます。たまに種類や回数を多くやるより、1日1つ、1セット1分でもいいので、とにかく毎日続けることが大切です。ただし、疲れたり体調が悪かったりするときは、無理をしないようにします。

    4.食後1時間はやらない

    食事をすると食べ物を消化するために血液が胃に集まるもの。でも、そのタイミングで体を動かすと、本来胃に集まるはずだった血液が筋肉に集まってしまうことに。消化に十分な血液が足りなくなり、消化不良の原因となります。



    〈イラスト/祖父江ヒロコ 取材・文/工藤千秋〉

    加藤雅俊(かとう・まさとし)
    日本ホリスティックセラピー協会会長。薬剤師・体内環境師®・薬学研究者。食事、運動、心のケアで「薬に頼らず若々しく健康でいられる方法」を研究。食事と運動の両方をみる予防医学として、テレビや雑誌で話題となる。『1日1分!毒出しリンパストレッチ』(日本文芸社)など多数の著書があり、累計発行部数240万部を超える。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.