(『天然生活』2021年10月号掲載)
好きな家具を長く使い続ける
リビングのローボードのほか、寝室のチェストやダイニングテーブルも古いもの。家具はアンティークを中心に選んでいるのかと思いきや、キッチンカウンターはなんと夫の作品なのだそう。
家具職人をしているという言葉を聞いて、その完成度の高さに納得です。家具づくりのプロならば、つくり付けの家具にテレビをすっきり収納させるのは難しくないことかと感じますが……。
「すべてDIYだと特有の温かみが出てしまうので、あえてそうしなかったんです。かといってすべて古いものだとサイズや収納量が合わず使いにくいので、キッチンまわりなどは使いやすいサイズ感でつくってもらいました。夫婦ともにアメリカやヨーロッパの古い家やインテリアが好きなので、それを目指して家づくりや家具づくりをしました。色はグレーやダークグレー、家具はろくろ引きの脚やさりげない装飾のある取っ手などにひかれます。海外から取り寄せたパーツカタログを眺めているだけでも幸せな気分になります」
好きな家具を長く使い続けることで、経年変化も楽しみたいといって笑う松井さん。自分の「好き」に忠実に、ブレないこと。特別感のある唯一無二の空間は、そこから生まれているのです。
チェスト
2階のベッドルームに置いているチェストは意外にも日本の古いもの。しかも、ネットオークションにて1万円で手に入れたものだそう。
「引き出しの取っ手や脚の部分のデザインに一目ぼれしました。実物は見られなかったけれど間違いないと思い、ペンキで塗ることを想定して購入しました」
収納の工夫とお気に入り
カットソーなどの衣類は立てて収納すると出し入れしやすい。帽子なども見やすく8割収納を目指して。
使ったペンキは、イギリスの「FARROW&BALL」のつやなし。色の種類の多さと発色のよさが優れている。
キッチンカウンター
キッチンはアイランド式。作業台兼簡易的な食卓にも使えるカウンターは夫が自作したもの。松井さんと夫がともに使いやすいよう、やや高めにしたそう。
「天板はホワイトオークで、土台はチェストと同じペンキで塗りました。重厚感が感じられるようにグレーブラックで引き締めたところがポイントです」
収納の工夫とお気に入り
引き出しには、よく使う小皿やカトラリーをすっきり収納。浅いから取り出しやすく、整えやすい。
カウンターの両サイドにはバーを取り付けて。ざるやカッティングボードは乾かしつつ収納できて一石二鳥。
<撮影/川村恵理 取材・文/結城 歩>
松井由起子(まつい・ゆきこ)
神奈川県相模原市にある日用品や作家ものの器などを扱うお店「PEDLAR」店主。古いもの、新しいものを問わず、長く使い続けたくなる特別なモノを扱う。夫と息子の3人暮らし。
http://www.pedlar.jp/も人気。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです