(『天然生活』2023年12月掲載)
一軒家の循環型オフィス
「いただきます!」とスタッフみんなで手を合わせ、自作の野菜を使ったヴィーガン料理を食べるランチタイム。

ある日のヴィーガンランチ。庭に植えたひと苗のゴーヤーが育ちに育ち、ワンシーズンでなんと150本以上収穫できたそう
国内外へのコンポスト普及のため、多忙を極めるたいら由以子さんが心からほっとする和やかなおいしい時間です。
ランチづくりで出た生ごみは、同社の商品である「LFCコンポスト」に入れます。ここでできた堆肥を使い、庭や2階のベランダには無農薬栽培の野菜やハーブたちが元気に育ち、瑞々しい輝きを放っています。この一部が今日のランチとして食卓にのぼりました。
庭では雨水をためるタンクがあり、木枠コンポストも設置。この一軒家はオフィスとして機能していながらも、まさに循環する暮らしそのものでした。
01_循環する暮らし
収穫して、つくって食べる

築50年の一軒家の台所には、スタッフお手製の調味料や、乾燥させて保存びんに入れているハーブ類が並ぶ
毎日かかさず、スタッフ全員でつくるヴィーガンランチ。コンポストから自分たちでつくって育てた野菜が彩りを添えています。


食事どきに飲むお茶は、庭で収穫したハーブを使用
そのまま切ったもの、あえたもの、揚げたものなど趣向を凝らし、なかには自作の発酵食品も。
「この一食だけで一日機嫌よく過ごせる」とスタッフ談。自然と笑顔になる幸せな時間。
02_循環する暮らし
余った野菜は無料で配る

2階の広めのベランダでもハーブや野菜を育てている。1階の庭と合わせると、その種類は年間150に及ぶ
「毎日出せるわけではありませんが、自分たちで愛情を込めてつくった野菜など、食べきれないものは新鮮なうちにご近所さんにおすそわけしています」

フリーハンドによるキュートな看板もお手製。このような看板の製作は2階のクラフトルームで
野菜やハーブ類、花など提供されるものは、時季によって異なるそうですが、なかなか人気ですぐになくなってしまうとか。この日の提供品は、庭で育ったモロヘイヤとゴーヤー。
03_循環する暮らし
インテリアはリサイクル品を活用

食器や調味料を収納している棚の中を仕切っている木々は、近くの浜辺で拾ってきた流木を活用
家具をはじめオフィスのインテリアは、すべてリサイクル品を活用。
机の高さもバラバラなら、椅子の柄やデザインも異なりますが、そのすべてがずっと前からこの空間に佇んでいたかのように素敵になじんでいます。

トマトの苗木がいい感じに伸びて、いい日よけに

ステンシルが施された椅子と、木目調の折りたたみ椅子。色も形も素材も異なるが不思議と好相性
心なしか金魚鉢で悠々と泳いでいるめだかも、気持ちよさそう。日差しが強い窓辺にはトマトの苗を植えて日よけに。
04_循環する暮らし
コンポストからの野菜づくり

「LFCコンポスト」の使い方を実演しながら解説してくれたたいらさん
ランチづくりで出た生ごみは、「LFCコンポスト」に入れて堆肥化。庭には木枠のコンポストも設置され、その横にはたわわに実った野菜や、瑞々しい葉っぱが元気に育っています。

収穫した種は2階のカルチャーデザインルームで、次なる出番まで保管
コンポストでできた堆肥は、土や安心安全の野菜を育て、私たちの体内に栄養を届けてくれます。
それは栄養循環もできる豊かな暮らしそのものです。
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<撮影/繁延あづさ 取材・文/名原和見>
たいら由以子(たいら・ゆいこ)
ローカルフードサイクリング代表取締役。 安心安全な食のために、土の改善と暮らしを循環させるLFCコンポストを考案。「半径2キロメートルの栄養循環」をめざして、1997年から活動をスタート。2004年に特定非営利活動法人 循環生活研究所、2019年にローカルフードサイクリング株式会社を設立。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです