• もし被災して避難生活が続いた場合、配布される食事だけでは栄養が偏りがちになります。そんなときに役立つのが、身近に生えている食べられる野草です。なかでも、手に入りやすく、栄養価が高く、おいしいのがタンポポ。そんなタンポポの摂り方と美味しい料理方法を、『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか⁉の非常事態で「死なない技術」』 (扶桑社ムック)の著者で、自衛隊危機管理教官の川口拓さんに解説してもらいました。

    アウトドアでも都市近郊でも手に入る、栄養満点の食材

    画像: タンポポは、日本中どこでも手に入りやすい野草。栄養価も高く、世界中で薬草としても愛用されてきた。通年利用でき、全草が食用可能な、とてもありがたい野草だ

    タンポポは、日本中どこでも手に入りやすい野草。栄養価も高く、世界中で薬草としても愛用されてきた。通年利用でき、全草が食用可能な、とてもありがたい野草だ

    サバイバル食の王様と呼ばれる食べ物が、入手しやすく、しかも栄養も豊富な野草です。

    都市での災害対策では、食料を備蓄しておくことが重要ですが、身の回りの食べられるものを知っていれば、 食料に関する心配がかなり軽減されます。

    自力で食物を得るというと、多くの人は狩りや罠で動物を獲ることを考えるかもしれません。もちろんそれができればいいのですが、現実的には経験のない人が動物を捕獲するのは非常に困難です。

    しかし、自然の中には動物のほかにも立派な食べ物があります。それが野草です。

    野草は、近寄っても逃げないので、採取に要するリスクやエネルギーに対し、リターンも多いのもいいところ。

    ときに雑草といわれることから、貧相なイメージがあるかもしれませんが、市販の野菜の何十倍ものミネラルを含むものもあります。

    画像: 生命力の強いタンポポは、日本中の川辺、草原、街中の空き地などいたるところに生息している

    生命力の強いタンポポは、日本中の川辺、草原、街中の空き地などいたるところに生息している

    そんな、食べられる野草はたくさんありますが、まずは都市近郊でも入手しやすいタンポポを紹介しましょう。

    タンポポはタンパク質やビタミン、ミネラルを多く含み、栄養豊富。サバイバルの本や講習では、よくサバイバリストのベストフレンドと紹介される野草です。

    私はタンポポを食べると、心と体にエネルギーが満ちていくのを感じることができるのです。

    画像: 通年採ることができるのが、タンポポの魅力。水辺に近く日当たりがよく、冷たい北風が当たらないところなどを探してみよう

    通年採ることができるのが、タンポポの魅力。水辺に近く日当たりがよく、冷たい北風が当たらないところなどを探してみよう

    いろいろ役立つ、タンポポの使い方

    画像: いろいろ役立つ、タンポポの使い方

    炒め物

    スタンダードな食べ方。茎、葉、花、根の全部をこれで食べることができます。醬油や味噌などで味をつけるとおいしく、ご飯にも合いますよ。

    画像: 炒め物

    タンポポコーヒー

    根を細かく刻んで乾かし、炒ってからコーヒーと同じようにドリップしたり、煮出したりします。コーヒーのような風味を楽しめます。

    画像: タンポポコーヒー

    タンポポ茶

    花や葉を洗い、沸かした湯に入れて10分ほど蒸らします。写真は花のお茶でほんのり甘い味わい。肝臓や腎臓の働きをよくする作用があるともいわれています。

    画像: タンポポ茶

    タンポポオイル

    花を洗って完全に乾かしてからオリーブオイルに漬けます。2~3週間すると、調理、ドレッシング、外用薬にも使えるオイルができます。

    タンポポの味噌炒めをつくる

    画像: 油でタンポポを炒め、味噌で味付け。酒のあてにもいいし、ご飯のおかずにもいい。本当においしく いただけるので、キャンプでぜひつくって食べてみてほしい

    油でタンポポを炒め、味噌で味付け。酒のあてにもいいし、ご飯のおかずにもいい。本当においしく
    いただけるので、キャンプでぜひつくって食べてみてほしい

    タンポポの代表的な食べ方で、私も大好きな料理を紹介しましょう。それがタンポポの味噌炒め。味付けとして、味噌を使うのがポイント。野草食なんて味気ないと思う人にも、ぜひ食べてみていただきたい味わいです。

    つくり方はとても簡単。葉と茎、根を切って炒め、味噌で味付けするだけ。タンポポのほのかな苦味と味噌の風味が相まって、繊細で奥深い味が堪能できます。また、自然の恵み100%ならではのエネルギーに満ちていて、食べると力が湧いてくる感じがします。

    紹介したように、タンポポにはいろいろな食べ方があります。すべての部分が食べられ、味に強いク
    セがない野草なので、自分なりに工夫して新しいレシピを生み出すのも楽しいと思います。

    つくり方

    1 タンポポを採取。根を傷つけないように、根元の周辺を放射状に掘ってからやさしく引き抜く。

    画像1: つくり方

    2 根の部分を1cmほどの長さに切る。茎と葉も同様に切るが、もう少し長く、 2~3cmでいいだろう。

    画像2: つくり方

    3 全部を鍋に入れたら、油を少量垂らして、根がしんなりして食べやすくなるくらいまで炒める。

    画像3: つくり方

    4 ここで味噌を投入してかき混ぜる。量は好みで。ここではご飯の上に載せるので、少し濃い味付けにしている。

    画像4: つくり方

    5 ご飯を炊く。火力が強い焚き火で炊くご飯はふっくらしていてとてもおいしい。

    画像5: つくり方

    6 炒めたタンポポをご飯の上に載せれば完成。もしご飯が炊けなくても、これだけでおいしくいただくことができる。

    画像6: つくり方

    非常時こそ調理しよう

    画像: 焚き火で使えるゴトクなど、焚き火料理向けにつくられているキャンプ道具も多い

    焚き火で使えるゴトクなど、焚き火料理向けにつくられているキャンプ道具も多い

    人は温かい食べ物に元気づけられます。手を加えず食べられる非常食は便利ですが、状況が許せば非常事態であっても料理をし、温かい食事を取るようにしたい。

    おすすめの料理法は、鍋。具材をすべて放り込んで煮るだけだから簡単だし、スープを飲めば食
    材の栄養を余すことなくいただくことができます。

    ご飯やうどんを入れることもできるし、鍋ひとつですべてが完結するというのがとてもありがたいのです。

    画像: 焚き火では太めの薪を2本置いてゴトク代わりにすることが多い。写真右の方法は違っていて、焚 き火の手前の地面に鍋を置き、横から加熱。焚き火との距離を変えて火加減を調整している

    焚き火では太めの薪を2本置いてゴトク代わりにすることが多い。写真右の方法は違っていて、焚
    き火の手前の地面に鍋を置き、横から加熱。焚き火との距離を変えて火加減を調整している

    鍋を載せるゴトクも、火加減を調節する機能もない焚き火で料理をするときには少しコツがいりますが、ワイルドな焚き火料理を楽しみながら習得していただきたい。

    無料で手に入るスーパーフード、食べられる野草たち

    タンポポ以外にも、おいしく食べられる身近な野草はたくさんあります。現代食には、おいしくても食べられてもその後調子が悪くなるものがたくさんありますが、私は野草を食べると力が湧いてくるのを感じます。野草食は極めて優れたサバイバル食なのです。

    私が考える食べられる野草の条件は次の3つ。

    毒草でないこと、消化可能であること、まずすぎないことです。

    少し乱暴かもしれませんが、この3つの条件を満たしていれば、野草図鑑などで食用と
    なっていなくても食べることは可能だと思っています。

    野草を覚えるときには、まず毒草から。次はよく見かけるものを覚えていくといい。そういう身近な草花は、非常時にも手に入れやすいものだからです。

    下で紹介している4つの野草は日本の広い地域で生息しています。

    普段、意識していないとわからないかもしれないですが、あなたの近所でもきっと見つかるはずです。

    オオバコ

    画像: オオバコ

    道端や公園によく生えている。炒め物にしたり、刻んで炊き込みご飯にしたりします。天日干ししてお茶にすることもあります。

    ギシギシ

    画像: ギシギシ

    新芽はクセがなくぬめりがあり、オカジュンサイと呼ばれます。味噌汁やスープに入れると美味。ゆでておひたしにするのもおすすめです。

    アカツメクサ

    画像: アカツメクサ

    全国の道端や草地、河川敷などに生息。ピンク色のきれいな花が咲きます。この花もサラダにしたり、スープに入れたりして食べることができます。

    ツユクサ

    画像: ツユクサ

    夏季に青い小さな花を咲かせる野草。クセが少ないので、葉や茎をおひたしにして食べられます。スープの具にもいい。花もサラダとして食べられます。

    野草を採取するにあたっては、いくつか注意があります。まず、あまり道路に近い場所で採らないこと。道路に近いと車の排気ガスを浴びている可能性が高いし、除草剤や殺虫剤がまかれている可能性もります。また、犬の糞尿で汚染されていることもあり得ます。当然、禁止されている場所や人の敷地で採ってもいけません。

    <文/川口 拓、原 太一(Great Rhythm) 写真/原 太一(Great Rhythm)>

    川口 拓(かわぐち・たく)

    1990年代よりカナダ、アメリカのサバイバルスクールでサバイバル技術やネイティブアメリカンの古来の教えを学び、2001年にブッシュクラフトやサバイバルの技術を伝える自然学校「WILDANDNATIVE」を設立。地球とのつながりを感じる自然体験プログラムを実施している。2013年に一般社団法人「危機管理リーダー教育協会」を設立。執筆活動、テレビや雑誌などのメディア協力も積極的に行い、技術を広く共有している。CMLEブッシュクラフトインストラクター養成トレーナー、Japan BushcraftSchool校長、Japan Urban Survival School校長、自衛隊危機管理教官、自衛隊サバイバル教官


    『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか⁉の非常事態で「死なない技術」』(川口拓・著/扶桑社ムック)

    画像: 災害時にも役立つ「タンポポ」のおいしい食べ方。まさか!?の非常事態で「死なない技術」

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    非常事態で死なないためにやるべきことの優先順位は、この死ぬまでの時間の短さで決まっていく。また、非常時では考えなくむやみやたらに動いてはいけない。もちろん危険を回避するのが最優先だが、まずは止まって考えて、観察して、計画を立てて、リスクのすくない行動をとらなければならない。この本では、そんな、死なないための基礎からスタートして、「死なないための基礎知識」「死なないための技術」そして、実際の非常事態を想定した「死なないための行動術」を紹介していく。



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