お笑いコンビ、たんぽぽの白鳥久美子さんは、おばあちゃんっ子だったこともあり、「ばあちゃん仕事」に憧れ、愛してやみません。今日も、手を動かして、暮らしを作る。白鳥さん流の「楽しい小さな暮らし」をご紹介します。今回は、近所の公園に銀杏を拾いに。
落ちている銀杏(ぎんなん)は誰のものですか?
ずっと気になっていたことがあります。
イチョウ並木を通ると道に銀杏が落ちていますよね? あの銀杏は拾っていいんでしょうか?
芸人を始めたばっかりの頃、貧乏でお金がなくて本当に苦労しました。特に食べ物が買えないことが一番辛かった。
電車に乗れなくても歩けばいい、服が買えなくてもあるものを着ていればいい、
ただ食べ物だけは、どうにもこうにも買わないと手に入りません。
そんな時に思ったのです。田舎だったら山に行けば、アケビとかコクワの実とか、タダで手に入る食べ物がいっぱいあったなぁと。
東京でもタダで手に入る食材はないものかしら?
そこで私が目を付けたのが銀杏でした。
当時の白鳥調べですと、東京に落ちている食べられそうな実No.1は銀杏でした。
今更ですがあの日の疑問を解決するべく、ネットで調べてみると、私と同じマインドを持つ貧乏学生が、東京で銀杏拾いに精を出しているブログを見つけました。
そもそも公園にあるイチョウは公共のもの。そこに落ちている銀杏はみんなのもの。あと、掃除して捨てちゃうことが多いから拾っても問題ないらしいのです。
それなら!と言うことで、近所の公園へ銀杏を拾いに行きました。
落ちてる落ちてる。オレンジ色のさくらんぼのような銀杏がたんまり。
その実の中に私が待ち焦がれている銀杏が入っています。割り箸で拾ってはビニール袋の中にポイポイと入れていきました。
楽しかった。デートしている男女の横で、せっせと拾う私。なんかごめんなさい。でも止まらないの。だって、誰も見向きもしないお宝を一人占めなのですから。
家に帰ると銀杏の実を剥がす作業へ。
熟していたので、するんと剥がれて楽でした。それを水でキレイに洗い流すと、小ぶりですが一丁前に銀杏がお目見え。これを天日で干して、先日食べました。
封筒に銀杏を10個ほど入れてレンジで40秒チン。
麺棒で軽く叩いて殻をむくと、なんとまぁ。鮮やかな緑色の銀杏が姿を現しました。旅館の前菜に出てくるような上品さです。
軽く塩を振って食べると、むちむちもちもちしていて、美味しい。普通に美味しい。全然食べられる。
「これ落ちてたものだよな。なんならゴミとして捨てられていたものだよな。こんなに美味しくていいのだろうか。」
東京の実りをタダで食して、おトク感で心が満たされました。
ついでに、銀杏臭さで部屋が満たされたことは、私だけのひ・み・つ。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。