(『愛犬との幸せなさいごのために』より)
未病のチェックリスト
愛犬の不調や変化を感じていても「元気なんだけどね」で済ませてしまいがちですが、老犬になると特に、検査で異常が見つかったときには治療が必要な病気ということがほとんど。異常値になる前に、飼い主がいち早くそのサインに気付いてあげたいものです。
特に高齢になると、病気ではないけれど調子が落ちていることはよくあります。神経質になりすぎる必要はありませんが、未病の段階で気付けるよう、下記のチェックリストで不調のサインをチェックしましょう。
便秘がち
運動不足や、水分・食物繊維不足かも。水分をしっかり摂り、ヤマイモなどネバネバした食材やヨーグルトを取り入れて。
うんちが臭い
腸の動きが悪く、ガスが溜まっている、悪玉菌が増えている状態。たんぱく質が多すぎる場合もある。発酵食品などを摂って善玉菌を増やして、腸内環境を整えて。
おしっこの回数や量が多い・少ない
多飲多尿は病気が隠れている可能性が。いつもより回数が多い場合は、膀胱炎や尿結石など腎膀胱に問題があるかも。回数も量も少ない場合は肝機能低下の可能性も。
おしっこの臭いがきつい・色が濃い
水分不足だとおしっこの色が濃くなる。また、腎機能が低下している可能性もあるので注意。
散歩に出るのがおっくうそう
朝は特に面倒くさそうなら、体が冷えていることも。歯茎が白いなら貧血かも。関節に痛いところがある可能性もある。
散歩の途中で止まってしまう
目が見えにくくなっている可能性も。息切れしているなら、心臓に異常があるかも。
ハゲた・被毛が薄くなった・フケが多い
免疫機能の低下や、甲状腺や副腎系のホルモン異常かも。部分的にハゲるのは感染症か、心因的または環境的なストレスかも。特にシッポの毛が減るのは、内臓の機能が落ち始めていることも。
被毛がパサついている
脂質不足や体の冷え、水分不足が原因かも。
足先や耳先、腰、モモの内側が冷えている
朝起きてすぐ、足先、耳先、腰、モモの内側の温度をチェック。冷えているようなら、温め流すケア、鍼やマッサージの施術、食事や環境の見直しを。
食べムラが出てきた
うまく働けない臓器があるか、自律神経が乱れていることも。できるだけ消化に負担をかけないよう、ごはんを少し温める、ペーストにする、よく火を通す、数回に分けて少しずつあげるなど工夫を。
同じものを続けて食べられない
消化器系に異常がある可能性も。同じ食材やフードを与え続けず、あえてローテーションしてあげるといい。できるだけシンプルに単品を。
ごはんを変えていないのに太ってきた・やせてきた
太った場合は、運動量不足やおやつの与えすぎ、また甲状腺の異常の可能性も。やせた場合は、水分不足の他、腎機能の低下やがんの可能性も。
朝ごはんが進まない
貧血気味、もしくは胃酸の分泌不足または過多で朝は胃が気持ち悪いのかも。貧血対策と、食事や水分量の見直しを。
<挿絵/わたなべとしふみ>
本記事は『愛犬との幸せなさいごのために』(河出書房新社)からの抜粋です
俵森朋子(ひょうもり・ともこ)
鎌倉にある、愛犬の体に優しいフードやケア用品、オリジナルグッズなどを扱う『pas à pas(パザパ)』店主。インテリアテキスタイルデザイン&企画の仕事に20年近く従事した後、1999年に友人とともに『ドッググッズショップ シュナ&バニ』を立ち上げる。2012年、もっと犬の体にいいことをしたいとpas à pasをオープン。食事療法インストラクター、ペット薬膳管理士の資格を取得し、現在は『manpucu garden(まんぷくガーデン)』として、手作りごはんのワークショップやカウンセリングも行う。『犬ごはんの教科書』(誠文堂新光社)など著書多数。