• 東西にも南北にも長い日本、ところ変わればお弁当の中身もガラリと変わります。北の味、南の景色を知りたくて、福岡県在住の広沢京子さんに、故郷弁当、地元ごはんをつくっていただきました。お弁当づくりを始める方、お弁当のマンネリに悩む方のヒントになるはずです。
    (『天然生活』2021年4月号掲載)

    地産地消をたっぷり詰めた、“ばりウマ〜”なお弁当

    画像1: 地産地消をたっぷり詰めた、“ばりウマ〜”なお弁当

    「福岡のお弁当といったら、私の中ではずせないのは“のり弁”ですね。有明ののりは風味がよく、やわらかくて口溶けがいいから、ごはんとの相性がいいんですよ」

    福岡県糸島市に移り住んで早12年。もともと千葉出身なので、のりにはちょっとうるさいんです、と広沢京子さんは笑います。

    中にはさむのりは小さくちぎってしょうゆをつけ、ごはんが温かいうちにのせて。上段はお弁当箱の幅に合わせて細長く切り、ごはんが冷めてからのせるのがポイント。このひと手間で違った味わいが楽しめるのだといいます。

    画像2: 地産地消をたっぷり詰めた、“ばりウマ〜”なお弁当

    また、おかずはというと、これまた福岡ならではの「ごぼ天」。うどん屋さんで見かけないことはないというほどのソウルフードです。「ごぼ天が大好きでお弁当にもよく入れます。軽く甘酢でマリネにすると冷めてもおいしくて、のり弁との相性もいいんですよ」

    小学5年生の息子もこのごぼ天が大好きで、フライドポテトのように食べているのだそう。「野球をやっているので、ごぼ天をおにぎりの具材にした“ごぼ天むす”をお弁当によくつくっています」

    そして、博多明太子とあえた副菜の野菜は、あまり見慣れない“蕾菜(つぼみな)”というもの。福岡県のブランド野菜で、ぷっくりとした見た目に、コリコリとした食感と程よい辛みが特徴。生でも食べられるけれど、火をとおすことで甘味が引き出され、明太子との相性もばっちりです。

    画像: 生産者と消費者をつなげたいという広沢さん。アトリエ「kichi」(キチ)を構え、料理教室やイベントなどを開催する

    生産者と消費者をつなげたいという広沢さん。アトリエ「kichi」(キチ)を構え、料理教室やイベントなどを開催する

    「お弁当もふだんの食卓も、直売所や地元の農家さんから買ったものばかりを使っています。糸島は海と山の両方が楽しめる町なので魚も野菜もおいしいものがたくさんあるんですよ」

    その言葉どおり、お弁当箱には、広沢さんの地元愛がいっぱい詰まっていました。

    ごぼ天マリネのつくり方

    食感と風味が感じられるよう、やや厚めに切るのが広沢さん流。

    画像: ごぼ天マリネのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● ごぼう50g
    ● 卵1個
    ● 冷水適量 (卵と合わせて120mLになるように)
    ● 薄力粉60g
    ● A
    ・酢大さじ1
    ・砂糖小さじ2
    ・塩小さじ1/4
    ・薄口しょうゆ小さじ1/2
    ● 揚げ油適量

    つくり方

     バットなどにを合わせておく。

     ごぼうはよく洗い、3mm厚さの斜め切りにして水にさらす。水けをふいて薄力粉大さじ1(分量外)をまぶす。

     ボウルに卵と冷水を混ぜ合わせ、薄力粉を加えてさっくり混ぜる。に衣をつけ、180℃の油で揚げる。熱いうちににくぐらせる。

    蕾菜とプチヴェールの明太あえのつくり方

    野菜の歯ごたえが残るようさっと炒めて、明太子とバターでこっくりと。

    画像: 蕾菜とプチヴェールの明太あえのつくり方

    材料(2人分)

    ● 蕾菜4個
    ● プチヴェール4個
    ● 明太子1/2腹
    ● バター10g

    つくり方

     蕾菜は半分に切り、プチヴェールと一緒にさっとゆでる。ざるにあげて水けをよくきる。

     を鍋に戻し入れ、バター、薄皮をはずした明太子を加えて中火であえる。水分が飛んでパチパチと音がしてきたらでき上がり。

    甘めの煮卵のつくり方

    福岡県民にはなじみ深い甘いしょうゆ。そのしょうゆをイメージして甘めに味つけ。

    画像: 甘めの煮卵のつくり方

    材料(2人分)

    ● 卵2個
    ● A
    ・しょうゆ大さじ2
    ・酒大さじ1
    ・砂糖大さじ2
    ・水大さじ1

    つくり方

     鍋にを入れてひと煮立ちさせ、砂糖が溶けたら火を止めて冷ます。

     別の鍋に湯を沸かし、冷蔵庫から出した卵をそっと入れて7分半ゆでる。冷水にとって殻をむく。

     ポリ袋にを入れ、冷蔵庫で4時間ほどおく。半分に切る(糸を使うときれいに切れる)。


    〈撮影/中村 紀世志 イラスト/はしもとゆか 取材・文/結城 歩〉

    広沢京子(ひろさわ・きょうこ)
    料理家。飲食店勤務やフードスタイリストのアシスタントを経て独立。「COOKLUCK」を立ち上げ、雑誌・書籍・広告を中心に幅広く活躍。2009年より拠点を東京から福岡に移住し、現在は糸島市在住。
    インスタグラム:@cookluck
    オフィシャルサイト:https://cookluck.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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