そばはタンパク質食材だったんです!
朝食にタンパク質を摂るとよいらしい、とずいぶん知られるようになってきました。ついには最近、NHKの朝番組でも紹介されたのだとか! 友人たちからも「NHKでもタンパク質を朝に食べるとよいっていってたよ!」とたくさん連絡が来ました。
だからといって、朝にどうやってタンパク質を増やしたらよいのでしょうか。朝からお腹が空いて和定食をモリモリ食べられる方は問題ないと思いますが、わたしの母(70代)のように「朝は食欲がなくて食べたくない」という方も多いかと思います。
この夏、ついに母がコロナにかかり、看病もかねて朝ごはんを一緒に食べる機会があったのですが、その食の細さにはびっくり。高齢の人にしっかりタンパク質を食べさせるのは大変な課題だなとあらためて気づかされました。
わたし自身も3年前に「しっかりタンパク質を朝に食べよう!」と一念発起するまでは、朝は苦手だからこそ、コーヒーとトーストやコーヒーとドーナツというようなメニューで、長年過ごしてきていたのです。
ちなみに「タンパク質を摂る」という観点からはコーヒー×甘いものの朝ごはんはNGですが、朝に糖分をとると短時間でパワーになるし脳を働かせるのには役立つので、こうして甘いものを朝に食べる文化は、世界中を見回すと意外にも多いのです。
だからこそ、アメリカで学生生活を送ったわたしには、朝には「コーヒー+ドーナツ、マフィン、スコーン、パウンドケーキ、パンケーキといった甘い粉ものを食べる」が長らく習慣として根付いていたのでした。
米やパンよりも効率的にタンパク質が摂れる「朝そば」
タンパク質朝ごはんを意識することで、ようやく朝の甘い粉ものから抜け出したわたしですが、依然として朝からモリモリごはんとおかずを食べる気にならない日もけっこうあります。
そんなわたしに朗報だったのが「朝そばは効果がある!」ということでした。
タンパク質というと卵や肉、魚を想像する方が多いかと思いますが、実は米やパンなど穀類にもタンパク質は含まれています。そして、穀類の中でも、そば粉のタンパク質含有量は圧倒的に多いのです。
ちなみに数値で並べてみると
1食あたりのタンパク質含有量
・米……3.8g(ごはん1膳 150g)
・パン……6.2g(食パン6枚切り1枚)
・そば……11〜16g(乾麺100g)、6〜8g(ゆでそば)
このように、そばはそれだけで卵1〜2個分のタンパク質量を含むので、かけそばやもりそばを食べるだけでもまずまずの量のタンパク質が摂れることになるのです。
ちなみに、そばのタンパク質含有量にかなり幅があるのは、市販のそばは、そば粉と小麦粉のブレンド量がまちまちだからです。
そば粉10割の「十割そば」から、そば粉よりも小麦粉のほうが多く含まれるものまで、そば粉の割合にかなり差がありますので、気になるときにはパッケージを裏返して原材料名を見てみましょう。
先に「そば」と書かれているものはそば粉が多く、先に「小麦粉」と書かれているものは小麦粉の割合が高いことを意味します。そば効果を狙うなら、なるべく「そば」が原材料の先頭に書かれているものを選ぶとよいと思います。
そばは高タンパク質なことに加えてGI値が低く、ごはんやパンに比べても血糖値が上がりづらい。さらには食物繊維も多い。ダイエット的にも安心な食材といえます。
そばでタンパク質を摂る朝ごはんのアイデア
そばでタンパク質を摂る朝ごはん①
ぶっかけそば
家でいちばんつくりやすいのが、こうしたぶっかけそば。最近は冷凍技術のおかげで、あっという間に解凍することができるおいしい冷凍そばも簡単に買えます。
スーパーで買える流水麺でもよいと思います。そばの上に、卵(温泉卵)や納豆をのせて。
そばでタンパク質を摂る朝ごはん②
おかめそば
実はこれはわが家のお正月の定番。おせち料理で残ったかまぼこや伊達巻、お雑煮の鶏肉でタンパク質をプラスして、おかめそば風に仕上げます。
練り物であれば、上にのせるだけ。涼しくなるこれからの季節におすすめです。
そばでタンパク質を摂る朝ごはん③
きつねそば
油揚げのそばもおすすめです。冷たくても温かくしてもおいしい。じゅわっと味のしみたお揚げさんも、レンジでかんたんに。
油揚げを半分に切り、かぶるくらいの麺つゆ(かけつゆよりはすこし濃い目の味に)をかけてレンジで2分。タンパク質も追加できます。
そばでタンパク質を摂る朝ごはん④
豆乳そば
わたしの最近のお気に入り、豆乳そば。少し暖かい日におすすめです。豆乳に麺つゆを加えて味をととのえ、そばにかけます。
温泉卵やキムチを添えて混ぜそば風にすると、そばも新鮮な味わいで楽しめます。
※ ※ ※
朝の外食は選べる種類が少ないのですが、タンパク質的にそばが選べるとなると、チョイスが広がります。
ただ、外食のそばはそば粉よりも小麦粉が多いそばがほとんどですので、タンパク質をさらに追加したければ、きつねや温泉卵、エビ天、鴨肉入りなどを選びましょう。
田内しょうこ(たうち・しょうこ)
「忙しい人のための時短料理」「時間価値を生むシステム料理」をテーマに、書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
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