飽きないタンパク質朝ごはんは、韓国風で
「タンパク質をしっかり摂ろう」と自分のために頑張りはじめた朝ごはん改革も3年め。飽きずに楽しめるように、あれやこれやのメニューを工夫していますが、実はいちばん好きなのは韓国風の朝ごはんです。
2020年のコロナ自粛期間に韓国ドラマにはまった方は多いのではないでしょうか。わたしもそうです。それ以前から韓国料理は好きでしたが、2020年以降、韓国料理をつくることがぐんと増えました。
コロナ以前には韓国ドラマを観るタイミングがなかなかなくて、韓国の朝ごはんといって思い浮かべるものといえば、昔のドラマ『冬のソナタ』で見たイメージのままでした。いや、古い話ですね。『冬のソナタ』の放送は2003年、もう20年も前です。ドラマの中の朝ごはんシーンで、すごい皿数の小さなおかずが並ぶ韓定食を初めてみて驚いたものでした。
朝からあんなにたくさんのおかずを並べるのか!とびっくりした韓国の朝定食でしたが、よくよく考えると、急きょ滞在することになったはずの人が住んでいない別荘なのに、そんなおかずをどうやってつくったのか。
ツッコミだらけのシーンだったのですが、ヒロインが切ない思いをこめながら、記憶を失って自分を忘れてしまったヨン様演じる元恋人(でも記憶はないまま、また自分を好きになってくれている、という設定。複雑!)にふるまう初めての朝ごはんという大切なシーンとして描かれていました。
その頃に比べると、いまどきの韓国ドラマの朝ごはんはずいぶんとリアルな描き方になってきているように感じています。たとえば、あるドラマの中で出てきたみそ汁(みそチゲ)には目が釘付けに!
ぐつぐつと煮えるみそチゲにだだだんと切った韓国かぼちゃ(ズッキーニみたいな見た目の長い野菜です)や豆腐を入れていくところのおいしそうなこと。
ぐつぐつ煮えたお鍋をそのままテーブルに運び、みんなでスプーンを突っ込んで食べる光景には文化の違いを感じて驚きながらも、あまりに楽しそうでおいしそうで「わたしもやってみたい!」とチゲ用の鍋「トゥッペギ」をネットで購入したのでした。
ちなみに、朝ごはんシーンが効果的に使われていたあるドラマでは、男性がみそチゲをつくり、家庭ごはんの経験に乏しいヒロインに食べさせてあげていました。
20年前の冬ソナでは、男性が散歩に出かけている間にヒロインがひっそりと朝ごはんの支度をしていたのに、2020年代のドラマでは男性がごはんをつくってあげている。そうした描き方にも、日本よりも一足早いフェミニズムムーブメントがあった韓国のドラマらしい意欲が感じられますね。
ところで、チゲ用鍋は、買ってみたら大正解! これでつくるとただの具沢山みそ汁もみそチゲに。みそ汁とごはん、卵焼きといった普通の朝ごはんの組み合わせも一気に楽しくなります。
朝につくるのはみそチゲが多いのですが、朝からすっきりしたいときには、キムチたっぷりのキムチチゲをつくることも。キムチはほどよく酸っぱくなるまで発酵させてから食べるのが好きなのですが、酸味がでてきたキムチをたっぷり入れたチゲは、胃もたれをしているときや二日酔いにもよく効きます。
韓国風、タンパク質朝ごはんのアイデア
タンパク質で韓国の朝ごはん①
韓国風茶碗蒸し
韓国風の茶碗蒸しは、ふるふるの日本の茶碗蒸しとは、つくり方も食感もまったくの別もの。卵液を鍋に流し込んでふわっと膨らむまで加熱する、しっかり食感。
もぐもぐと食べる感じでいただくのがまた楽しい。トゥッペギでつくると一気にそれらしく仕上がります。
タンパク質で韓国の朝ごはん②
スンドゥブチゲ
豆腐と卵を加えたスンドゥブチゲは、タンパク質的にも完璧。味噌ベースに好みの量のコチュジャンを加えて仕上げます。
さらにここに納豆を入れることも。ピーマンとさつま揚げをコチュジャン味で炒め煮にしたもの、ねぎキムチを添えて。体もほかほかあたたまります。
タンパク質で韓国の朝ごはん③
ニラチヂミ
チヂミも朝ごはんにはぴったり。ニラにタンパク質食材を加え、卵と小麦粉・片栗粉、すりごまなどを加えてお好み焼きのように焼きます。
タンパク質食材としては、しらす、干しえび、むきあさり、ちくわなど。ニラやキムチなど野菜だけでつくってもおいしいですよ。
タンパク質で韓国の朝ごはん④
タッカンマリ
前の晩につくったタッカンマリを朝ごはんに。鶏手羽元をねぎ、にんにくと一緒にコトコト柔らかくなるまで塩味で煮込み、途中で2cm厚さくらいに切ったじゃがいもも加えます。
キムチを加えて味変しつつ、最後はおこげごはんを入れて。炊飯器でもつくれます。
※ ※ ※
使う食材は日本の和定食とほとんど変わらないのに、こうして違う鍋を使ったり、少し味つけを変えたり。そうしたおかずが並ぶだけで、朝ごはんがまた楽しくなります。
忙しい毎日のなかで慣れていない料理に挑戦するのはハードルが高いかと思いますが、週末にでも、ぜひぜひ試してみてくださいね。
田内しょうこ(たうち・しょうこ)
「忙しい人のための時短料理」「時間価値を生むシステム料理」をテーマに、書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
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