ファンデーションをやめました
55歳の時、ファンデーションを使うのをやめました。メイクをはじめた時から使いつづけているアイテムです。理由は、夕方になるとファンデーションがよれてしまうようになったからです。また、目尻などにファンデーションがたまることもあり「こんな風になるなのなら使わないほうがいいのでは? 」と思うようになりました。
18、19歳から使っているものをやめるというのは、躊躇するものですね。でも、やめてみないと分からないこともあります。新しくいいものに出合うかもしれません。メイク方法を変えればいいのかもしれません。そのためにも1度、やめることにしました。
新しく取り入れたメイクアイテムと、新たな課題
色々探し新たに使いはじめたのが、CCクリームです。うっすら色がつくクリームといえばいいでしょうか。クリームなのでカバー力は低いですが、下地も、時にはパウダーも不要です。クリームなので、ファンデーションくずれのようなヨレもありません。少量でのびがいいので、ずい分使えます。いまのわたしには、ちょうどいいようです。
元々アイメイクはせず、マスカラだけだったので、CCクリームをつけたらあとは眉を整え終了です。簡単です。でも、ここで重要なのは、眉ということに気づきました。
眉は、むずかしいですね。以前と比べると最近の眉の形は、明らかにちがいます。より自然でまっすぐな眉の人が増えました。そこでアイブローサロンに出向き、いまらしい眉の描き方を教えてもらいました。
わたしは、左の眉がしっかりしているので、左に合わせるように右眉をペンシルで描き足していくのがいいそうです。そうすると、左右対称に描きやすく、いまらしいまっすぐな形になるとアドバイスを受けました。「なるほど」。時々、プロにアドバイスしてもらうのはいいですね。ここ何年か、メイクをしてもしっくりこなかったのですが、それはファンデーションだけではなく、眉の形もあったようです。
習慣を変える勇気
何十年も同じようにつづけていることは、慣れてしまい当然のようになっています。習慣も大切ですが、新しいことを取り入れるのも同じように大事です。髪の色と同じですね。
カラーリングをやめようと思った時、わたしには新しい見方が必要でした。今現在の自分の視点で自分自身と世界を見る方法です。その見方にした時、気持ちがクリアになりました。もやもやしていた理由や躊躇する原因が消えたのです。メイクに関しても、同じですね。歳を重ねることは、新しい自分と出会うことでもあるのです。
歳を重ねた女性が、その人らしいメイクをし、背すじをのばし、佇んでいる姿に憧れます。ノーメイクでも、長い時間、何かを育み、作り、紡ぎながら、時を過ごしてきた姿にも魅力を感じます。どちらもその人らしく人生を歩んでいることには変わりありません。はじめてメイクをして鏡で自分を見た時、大人の仲間入りをしたような気持ちになったのを覚えています。そういうときめきも日々のなかに織りこみながら、未来のわたしをつくっていきます。
60歳までのメモ
1 メイクに使っているアイテム、道具をすべて出し1度ならべてみる
2 違和感がある物と使っていてうれしいもの、よく使う物を分ける
3 60代からの「こうなりたい」を思いうかべる
4 プロのアドバイス、詳しい友人に教えてもらう
5 いまの自分を受け止める
広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
エッセイスト、設計事務所岡昇平共同代表、other: 代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、2023年から再び東京在住。現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)他多数。インスタグラム:@yukohirose19