• エッセイストで空間デザイン・ディレクターの広瀬裕子さん。60歳を前に、歳を重ねるなかで出てくるさまざまな課題や考えなくてはいけないこと。たとえば住まいのこと、仕事のこと、⾝体のこと。ひとつひとつにしっかり向き合い、「心地いい」と感じる方へ舵を取る広瀬さんの毎日。そこから、60歳までにこうなりたい、という目標と取り組みを同世代や下の世代の方とシェアしていけたらと思っています。健康診断を受けることにした広瀬さん。その理由とは?

    体の状態を知るために、区の健康診断を受けてみることに

    先日、住んでいる区の健康診断を受けました。問診票に「前回、検診をうけたのはいつですか?」の問いがあり、思いめぐらせたところ「15年」という時間にたどり着き、自分でもおどろいています。

    会社に勤めていた時は、会社が行う健康診断を受けていました。フリーランスになってからは、人間ドッグを受けていた時期もあります。結果で再診になることも時にはありましたが、概ね問題はなく、受診にかかる時間や食事制限、病院までの距離、ちょっとした痛みや対応などで、いつの間にか検診を受けなくなっていました。

    今回、健康診断を受けようと思ったのは、やはり、年齢です。60歳目前になり、自分の体がどのような状態なのか知っておきたいと思ったのです。また、検診を受けられる指定の医療機関が多くなり、各病院の評価もインターネットで調べられるようになりました。病院で検査の際、待ち時間が長いなどで疲れてしまったことはありませんか? 評価がわかるようになり、選択肢が増えたことが受診のハードルを低くしてくれたと感じています。

    画像: 検診前の問診票を書きこむ時は、いままでの体の状態を省みる時間に

    検診前の問診票を書きこむ時は、いままでの体の状態を省みる時間に

    病院選びには、わたしのために「帰りの楽しみ」を

    選んだ病院は、オフィスビルの一角にあるところです。そのビルには何度か行ったことがあります。老舗のフルーツパーラーが入っているからです。病院に行くのは、例え検診だとしても(検診だからか)、わたしには少々気が重く、そのため「帰りのたのしみ」をつくりました。それが、フルーツパーラー。また、何かあった時、通院するかもしれません。そんな時、寄れる「場」がある方がいいと考えました。

    「場」。これは、家族の病院通いの際、学んだことです。入院や通院している際は、急なことが起こります。突然、呼び出されることもあれば、何かを告げられる場面もあります。そんな時、立ち寄れる場所、気持ちを整えられる空間がひとつあるだけで、こころ持ちが変わります。そこで、あたたかい飲み物を1杯だけでも手にできれば──。それだけで「自分のできることをしよう」と、気持ちを切り替えられることがあるのです。

    画像: 検診後のたのしみはすきなものをいただくこと。その時の気分でケーキやサンドイッチに

    検診後のたのしみはすきなものをいただくこと。その時の気分でケーキやサンドイッチに

    亡くなった母は、わたしが小学校低学年の時、入院していた時期があります。そんな環境だったので、病気は特別なものでなく、誰でもなる可能性があるとこどもの頃から受け止めています。自分の体に関しても「弱い」と感じている部分があっても「弱い」とは捉えず「体が早めに教えてくれている」と考えています。「教えてくれている」のだから、その声を聞いて、対応し、うまくつき合っていけばいい、と。

    年齢を重ねて健康について考える

    年齢を重ねると、それに伴い、痛みがでたり、免疫も低下します。そのことについても、うまくつき合っていければ、と同じように考えています。

    「場」のことも、体の捉え方も、経験から学んだことです。これからは、どちらも必要なこと。経験は、時間とともに、自分を助けてくれますね。健康診断を機に、病院について、体そのものについても、もう少し考えることにしました。

    実際、検診を受けてどうだったかと言うと、驚くほどスムーズでした。場所柄なのかもしれませんが、受付はホテルのフロントのよう。新しいスリッパ、ゆったりした検診ウエア、待合もしずかで落ち着いています。ていねいな案内、検診自体もあっという間に終わりました。

    今回の検診がスムーズだったので、同じ病院で、別の検査もすることにしています。こちらも区の健康診断です。受診後のフルーツサンドをたのしみに、年1回、検診をつづけるつもりです。

    画像: 検診を待つ間用に本と音楽を用意して行きます。足元が冷えそうな時はくつ下もあるといいですね

    検診を待つ間用に本と音楽を用意して行きます。足元が冷えそうな時はくつ下もあるといいですね

    60歳までのメモ

    1自分の体の状態を知る

    2 通いやすい、ストレスの少ない病院を探しておく

    3 友人、知人から情報を教えてもらう

    4 自分の体とうまくつき合う方法を見つける

    5 日々のメンテナンスとケアを忘れずに


    画像: 年齢を重ねて健康について考える

    広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)

    エッセイスト、設計事務所岡昇平共同代表、other: 代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、2023年から再び東京在住。現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)他多数。インスタグラム:@yukohirose19



    This article is a sponsored article by
    ''.