• 滋味豊かな旬の野菜から、季節の深まりが感じられます。寒い日々でも心と体が温まる、やさしい冬野菜料理を料理家の冷水希三子さん教わりました。今回は「白菜とたらのミルク煮込み」「長ねぎのサルサヴェルデソース」のつくり方を。
    (『天然生活』2020年12月号掲載)

    野菜のうま味が主役の冬野菜レシピ

    キンと張りつめるような寒さのなかで、甘味やうま味を蓄えていく冬野菜たち。この季節の素材は胃腸にやさしいものも多く、口にするだけでほっとするような、しみじみとした味わいが魅力です。

    「今回の料理は、野菜のうま味が主役。だしや動物性の素材も多少使っていますが、何より野菜のおいしさが際立つようなレシピを考えました。野菜そのものからも、すごくおいしい水分=だしが出るので、それらも存分に活用しています」と冷水さん。

    画像: 見た目もどこか穏やかな表情の冬野菜。2種のかぼちゃは、おつきあいのある丹波篠山と岐阜の農家さんから届いたもの

    見た目もどこか穏やかな表情の冬野菜。2種のかぼちゃは、おつきあいのある丹波篠山と岐阜の農家さんから届いたもの

    一般的には冬野菜は淡い味が多いイメージなので、味噌やしょうゆなどを使い、こってりした味つけをすることも多いよう。けれども冷水さんは、どちらかというと調味料の味は、ごく控えめに加減していました。

    画像: 素材に火を入れる冷水さんの手元は、いつもやさしげ

    素材に火を入れる冷水さんの手元は、いつもやさしげ

    「味つけが濃いと、素材より調味料を食べているような気になるでしょう。それよりもハーブのアクセントで素材の味を引き立てたり、食感をなめらかにすることで、滋味を感じさせやすくしたり。そのほうが私には、『毎日食べたい味』になるみたい。春夏とくらべ、冬の野菜はゆっくり育っているので、火入れも時間をかけたほうがいい気がします。じっくり蒸して、コトコト煮て。その時間がおいしさを引き出しているイメージで、料理してみてください」

    画像: 野菜のうま味が主役の冬野菜レシピ

    「白菜とたらのミルク煮込み」のつくり方

    画像: 「白菜とたらのミルク煮込み」のつくり方

    ゆっくり煮た白菜と、カリっと焼いたたらを出合わせたひと皿。かつお昆布だしベースなので、どこか懐かしい味わいです。

    野菜の調理のコツ
    寒さが増すにつれ、みずみずしくうま味も増す白菜。50分ほどかけて繊維がクタクタになるまで煮るとスープとの一体感も増し、じゅわっとした味、食感が楽しめます。

    材料(2~3人分)

    ● 白菜1/4個
    ● 長ねぎ1/2本
    ● しょうが1片
    ● 生たらの切り身2~3切れ
    ● かつお昆布だし200mL
    ● 塩適量
    ● 薄力粉適量
    ● 生クリーム80mL
    ● オリーブオイル適量
    ● レモン(薄切り)2~3枚

    つくり方

     白菜はざく切り、長ねぎは1cm幅の斜め切り、しょうがは薄切りにする。

     鍋にをみっちり詰めてかつお昆布だしを注ぎ、火にかける。沸騰したらふたをして、弱火で50分ほど煮る。

     たらは塩適量をふり、20分ほどおく。キッチンペーパーで水けをふき、薄力粉を薄くはたく。少し多めのオリーブオイルをしいたフライパンで、表面を焼く。キッチンペーパーで余分なオイルをふき、の鍋の上にのせる。

    画像: 鍋中の白菜とたらのミルク煮込み。たらに粉をはたいて焼いておくことで、うま味も逃げず、くさみも減る

    鍋中の白菜とたらのミルク煮込み。たらに粉をはたいて焼いておくことで、うま味も逃げず、くさみも減る

     生クリーム、塩適量を加えて調味し、ふたをして5分ほど軽く煮る。器に盛り、レモンを添える。

    「長ねぎのサルサヴェルデソース」のつくり方

    画像: 「長ねぎのサルサヴェルデソース」のつくり方

    いつもは脇役になりがちなねぎを主役にしたマリネ。冷蔵保存すれば2~3日もつので、多めにつくるのがおすすめです。

    野菜の調理のコツ
    生のままだとピリッとして筋っぽいねぎですが、じっくり時間をかけて加熱すると、甘味が増し、トロリとやわらかな食感に。蒸して出た汁も、ソースとして活用しましょう。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 長ねぎ2本
    ● A
    ・ ゆで卵1個
    ・ パセリ20g
    ・ ケイパー5g
    ・ アンチョビフィレ2枚
    ・ エキストラバージンオリーブオイル大さじ3
    ・ 白ワインビネガー大さじ1
    ・ 塩ひとつまみ

    つくり方

     ゆで卵、パセリ、ケイパー、アンチョビはみじん切りにし、Aのほかの材料と混ぜる。

     長ねぎは5cm長さに切り、耐熱皿などに入れて、蒸し器でやわらかくなるまで30~40分蒸す。粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。

     食べる直前にを取り出して、器に盛る。耐熱皿の中に残った汁大さじ1をに混ぜ、長ねぎにかける。



    <料理・スタイリング/冷水希三子 撮影/加藤新作 取材・文/田中のり子>

    冷水希三子(ひやみず・きみこ)
    料理家・フードコーディネーター。季節の食材を使ったやさしい味わいのレシピが評判を呼ぶ。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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