• さまざまな体調の変化や不調が起こるとされている「更年期」。食事や暮らしの養生で、ゆるやかにのりきる知恵を国際中医薬膳師で源保堂鍼灸院の瀬戸佳子さんに教わりました。今回は、冷えやすく、ふんばりが利かない「腎陽虚(じんようきょ)」のケアを紹介します。
    (『天然生活』2023年6月号掲載)

    肝腎ケアを怠ると深刻になる、更年期の症状
    冷えやすく、ふんばりが利かない「腎陽虚」

    「腎」が弱まってさらにバランスがくずれ、体を温める熱源が減ったような状態が「腎陽虚」です。

    もともと冷え性や体力がない人、高齢出産で「血」の消耗が激しかった人などが陥る状態です。

    下半身の冷えが強まり、足腰が弱まって、腰痛や失禁、夜間尿に悩まされることも。まるで老人の悩みのようですが、まさに更年期と老化が一気に来てしまったようなイメージです。

    「疲れ」の度合いも、単なる「だるい」というレベルではなく、クタクタでふんばりが利かない感じです。

    腎陽虚の人に出やすい症状

    画像: 腎陽虚の人に出やすい症状

    ⚫︎体が冷える ⚫︎腰痛 ⚫︎体力が落ちる ⚫︎気力がない ⚫︎頻尿 ⚫︎尿もれ ⚫︎下痢・軟便

    腎陽虚におすすめの食養生

    冷えの症状が激しいので、夏でも冷たいもの、生ものは極力避けて。「腎」を補い、潤いを与える魚介類や山いも、栗、ナッツ類など。

    体を温めるえび、長ねぎ、にら、シナモンなどをコンスタントに摂るように心がけること。

    画像: 腎陽虚におすすめの食養生

    ◾️腎陽を補う食材
    えび、うなぎ、くるみ、栗、山いも、長ねぎ、にら、しょうが、シナモン、黒ごま、ナッツ類

    ◾️控えたい食材
    アイスクリーム、夏以外に食べる夏野菜、生もの

    腎陽虚の養生

    しっかり寝て体を休ませる

    画像: 腎陽虚の養生 1

    この状態に陥った人はとにかく体力がないので、何よりもまずは休息を十分にとることが大切。

    仕事や家のことで忙しいとしても、できれば睡眠時間を8~9時間確保するのがおすすめ。

    「疲れた」と感じたら、けっして無理をしないように。

    腎陽虚の養生

    食べる量は少なくても栄養価の高い食材を

    画像: 腎陽虚の養生 2

    このタイプの人はたいてい胃腸が弱く、たくさん食べることが苦手。ただでさえ少ない一食をおろそかにすると、てきめんに体が弱っていくことも。

    少量でも栄養のあるものを、おやつなども活用してこまめに口にして。朝食抜きはNG。



    <監修/瀬戸佳子(源保堂鍼灸院) イラスト/カトウミナエ 取材・文/田中のり子>

    瀬戸佳子(せと・よしこ)
    国際中医薬膳師。東京・青山「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。著書に『お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』『気血スープ』(すべて文化出版局)。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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