• エッセイストで空間デザイン・ディレクターの広瀬裕子さん。60歳を前に、歳を重ねるなかで出てくるさまざまな課題や考えなくてはいけないこと。たとえば住まいのこと、仕事のこと、⾝体のこと。ひとつひとつにしっかり向き合い、「心地いい」と感じる方へ舵を取る広瀬さんの毎日。そこから、60歳までにこうなりたい、という目標と取り組みを同世代や下の世代の方とシェアしていけたらと思っています。白い髪になったら新しい服を買おうと決めていた広瀬さん。

    白い髪になったら新しい服を買おうと決めていたけれど

    自分本来の髪色──白い髪──になったら新しい服を手にしよう。この2年、そう思い新しい服を買ってきませんでした。理由は、髪色の変化で似合う色が変わるかもしれない、ということと、服への考え方も変わるかもしれない。そう思ってのことです。

    春。カラーの残り部分をカットして、気持ちも新たに「さあ」となりました。なりました、が、意外なことに、新しい服がほしいという思いが湧いてきませんでした。

    この2年、新しい服を買わなくても特に困らなかった、というのがあります。髪色は変化しましたが、そのことで「新しい色の服を」という思いがそれほど強くならなかった、というのもあります。そもそも、お店へ出向いていません。とにかく「自分本来の髪色になったら服を買おう」には、ならなかったのです。

    反対に──買わないことで服の数が増えない気持ちよさや、日々同じ装いをつづける快適さ、「これがわたしのスタイル」と思えるようになったことなど、気がつかないうちに価値観がシフトしたのかもしれません。

    ひとつだけ新しく購入したもの

    そんな中でもひとつだけ新しく手にしたものがあります。フレンチスリーブの白いTシャツです。新しい服と言うより、かつて持っていたものと同じ型、同じ色。夏になると毎日のように着て洗濯をするので、3枚購入しました。この夏用の服の買い物は、これでいい、と思っています。

    画像: フレンチスリーブのTシャツは無印良品のもの。¥990(2024.6 現在) 今シーズンのものは生地が厚めできちんと感があり

    フレンチスリーブのTシャツは無印良品のもの。¥990(2024.6 現在) 今シーズンのものは生地が厚めできちんと感があり

    歳上のすてきな方たちは、様々な色を着こなしています。歳を重ねたら「明るい色を」とアドバイスしてくれます。ファッションを型にはめない、それが大事とも言います。そういう姿や言葉を目にすると、ほんの少し、大丈夫かな? わたし? と思うのです。

    年齢を重ねていくことで、いつしか消極的になっていく、好奇心が薄れていく。そういうことがあります。もしかして、そうなっているのではないか、と思うのです。

    そういう時は、服、装うということについて、今一度思いをめぐらせます。自分はどうありたいか、どうしたいのか、何がすきで、心地いいのか、と。そして、改めてクローゼットに視線を移すと「今はこれがいい」と思うのです。

    欲しい服がないわけではありません。部屋着がそろそろだめになりはじめているので新しいものを、と思っています。梅雨を前にレインコートを、とも考えます。クーラー対策に軽く羽織れるものもあると便利です。そうなんです。「新しい服」というより「必要なものを」という理由のほうが、大きいのです。

    いまの気持ちをゆっくり見守る

    「髪の色が変わるまで」と考え、新しい服を手にすることをやめてきましたが、こころのどこかでは「60歳になるまで」と実は思っているのかもしれません。または「持っている服で十分」と感じている先に、さらに「もっと少なくしたい」とそちらを目指しているのかも?! しれません。

    いくつかの理由や思いの変化はありますが、答えがでないままでいます。そういう時は、静かに自分の気持ちを見守るのが一番。

    白い髪になって初めての夏は(今年も酷暑のようですね)、いままでとそう変わらない服で、それでも快適に、機嫌よく過ごしていけたらと思います。

    画像: 服がシンプルなのでいつものパールのビアスにプラスアクセサリーを1点。夏のサングラスは白内障軽減のために使用

    服がシンプルなのでいつものパールのビアスにプラスアクセサリーを1点。夏のサングラスは白内障軽減のために使用

    画像: 昨年からかぶっているメンズの帽子をこの夏も。白い髪へ移行するときも帽子は助けてくれるので気に入ったものを

    昨年からかぶっているメンズの帽子をこの夏も。白い髪へ移行するときも帽子は助けてくれるので気に入ったものを

    60歳までのメモ

    1 「服」というもの「装う」ということについて見直してみる

    2 クローゼットの整理を改めてしてみる

    3 「年齢に合うTPO」について考えてみる

    4 「これからの時間」と「服」に思いをめぐらす

    5 気持ちがいい、気持ちが上がるなど、自分に合った選び方を見つける


    画像: いまの気持ちをゆっくり見守る

    広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)

    エッセイスト、設計事務所岡昇平共同代表、other: 代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、2023年から再び東京在住。現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)他多数。インスタグラム:@yukohirose19

    NHK文化センター
    自分らしく歳を重ねる─わたしらしい白い髪にしていくために─
    ゲスト薫森正義(ヘアサロン・SHI/GE)
    2024.8.24(土)14:00〜15:30
    NHK文化センター梅田教室
    大阪市北区角田町8-1大阪梅田ツインタワーズ・ノース17階
    会員¥4004 一般¥4697 オンライン¥3300



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