子猫のシーズンがやってきました
我が家の猫たちは、ほとんどが病気や事故など、わけありの大人猫ばかり。ところがときにSOSが入り、乳離れした子猫たちとのご縁もありました。
子猫たちは、基本的に里親さんを探すのがうちの方針。それでも、知り合いやインターネットをつかっての里親探しにだんだん疲れてしまい、三年前、はじめて保護した子猫をうちの子に迎え入れることにしました。
保護のSOSがきて現場に向かう
ちょうど今くらいの梅雨のことでした。
ショッピングモールで夫と買い物をしていたら、トイレに入った私のもとに突然の古い友人からのライン。訊くと、猫が苦手な奥様と猫アレルギーの自分の家の玄関先に、小さな子猫が2匹雨宿りをしているというのです。
「猫を触れないからどうすることもできないけど、あんなに小さい子、あまりにもかわいそうで……」
そう告げる友人と、数分、便座に座ったままやり取りをしました。そして言いました。
「今すぐ、行く!」
雨の中の捕獲。子猫たちは生まれて1か月半くらいでしょうか。親とはぐれたのか母猫の姿はありません。
私と夫が駆けつけるとまだ玄関先にいて、震えていました。駆けつけてくれた猫に詳しい別の友人も参戦して、私と夫、猫に詳しい友人の3人がかりで捕まえます。捕獲はスピードが命。怖がらせないようにそっと近づき、子猫が何が起こったか分からないうちに抱きあげました。
野良猫はノミやダニがいる可能性があります。また、病気を持っているかもしれません。
私たちは、その足でかかりつけの動物病院に向かい、ノミ駆除の薬をつけてもらいました。また、風邪気味ということで目薬を処方していただきました。
またその友人の好意でノミの薬が効くまでの24時間を彼女の家の使っていない部屋で隔離してもらい、翌日、我が家へ。
子猫がやってきた! 先住猫との対面
我が家は多頭飼いなので、まずはケージでのスタートです。
これは多頭飼いじゃないおうちでもそうだと思うのですが、最初から広い場所に出すと不安になる子も多く、逃げまどって手の届かない場所に隠れてしまうため、ケージがおすすめ。
ごはん、寝床、トイレ(子猫の場合、小さいもの……たとえばダンボール箱をちょうど良い大きさに切るのもいいと思います)、そしてうちは必ず爪とぎを入れておきます。
爪とぎに慣れてもらうことで、ケージから出しても部屋で爪を研がない子に育ってくれます。
だんだん慣れてきて、外に出たいと興味をしめしてきたら、人間がしっかり見ていられるときに、少しずつケージから出していきます。
そのときも、いきなり大きな部屋に開放するのではなく、せまめの部屋からスタートしたほうが馴染むのが早い印象でした。狭い部屋でも、子猫にとっては、大冒険ですから。
あまりに子猫が小さいうちは、人間が寝る間、踏んでしまってはこわいのでケージに入ってもらいます。
でも、1か月もする頃には、子猫も部屋になれ、人間も子猫のスピードに慣れ、ケージなしでも過ごせるようになりました。
あとは、子猫がいたずらをしてしまいがちな花瓶や飾り物、また観葉植物なども猫に危険なものもありますので、調べて、安全な空間を作ってあげることも大切です。
子猫との生活は、これからもまだまだ生きなくては! と思わせてくれる
長年生活をともにした大人の猫は、かけがえのない安らぎと信頼をくれます。
子猫はやんちゃで大変ですが、日々の刺激と「この子が最期のときを迎えるまで、まだまだ生きなければ!」というエネルギーをくれるのです。
我が家は看取りの日を待つ老齢の猫ばかりでしたが、子猫たちが増え、これからもへこたれずに生きていこうと心を新たにしています。
咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」