普通のTシャツを簡単グレードアップ
これまで、ドローストリング仕様のアイテムがなかったわけではないのですが、今年はとくにいろいろなタイプが出ているように思います。
ひもが入っている箇所やアイテムによって、その役割は違います。
サイズを調整してくれたり、シルエットを変えたり、着こなしやすくしてくれたり。
どの役割だとしても、その働きは、素晴らしいのです。
今回は、Tシャツの裾にひもを通したいと思います。
夏のファッションを代表するアイテムのTシャツですが、素敵に着こなすのが難しいと感じている大人の女性は多いはず。
私が考える、大人の女性に似合いやすく、着こなしやすくする方法として、裾にニュアンスを持たせるという手法があります。
裾のラインが、ぱつっと真っ直ぐのままではどうしてもカジュアルさが強くなり、物足りなさも出てきます。
裾にふんわりニュアンスをもたせることで、シルエットも変わり、大人の女性になじむように。
そして、きちんとていねいに着こなしている雰囲気が生まれます。
Tシャツの裾にひもを通し、ドローストリング仕様にすることで、その着こなしをつくりやすくすることができるんです。
なんとなく着こなしにくいと思っている手持ちのTシャツを、ヘビロテTシャツに変身させられるかもしれません。
ひもを通すTシャツの選び方と材料&道具
裾にひもを通すTシャツを選ぶ上でのポイントは、3つです。
・シルエットを綺麗に保てるように、少し厚手のハリのある素材
・裾のニュアンスをしっかり出せるよう、着丈も長めのビッグシルエット
・ひもを通せるように、裾の折り返し幅が2cm以上あるもの
今回は、このメンズのSサイズのTシャツの裾にひもを通していきます。
Tシャツは伸縮のあるストレッチ素材なので、今回はその素材に合わせ、同じく伸縮性のある、丸ゴムを通していきます。
そして、コードストッパーと呼ばれるパーツを使い、丸ゴムを絞ります。
この仕様で使うのは、2つ穴のタイプです。
材料
Tシャツ(今回は、メンズSサイズ)…1枚
丸ゴム(太さ0.3cm)…Tシャツの裾1周の長さ+5cm
コードストッパー(縦型・二つ穴)…2個
使う道具は、先の尖ったはさみとひも通しだけ。
道具
ゴムひも通し
手芸用はさみ
折り返して縫われている裾の部分に丸ゴムを通していくので、ミシンも、針と糸も必要ありません。
さあ、つくってみましょう!
1 まず、裾の折り返し部分に切り込みを入れ、丸ゴムを通す穴をつくります。
切り込みを入れるのは、脇の縫い合わせられているところ。布の重なりがなくなっている部分で、縫い目から1cmくらいのところの左右に切り込みを入れ、丸ゴムを通す穴を開けます。
反対側の脇にも、同じようにふたつの切り込みを入れておきます。
ハサミを入れた部分は、そのままにしておいてもいいのですが、心配な方は、ほつれ止め液を使えば安心ですね。
2 丸ゴムをTシャツに合わせて、通す長さにカットします。通す丸ゴムの長さは、ぐるっとTシャツの裾の長さ+約5cm。
3 丸ゴムの端5cmを残し、コードストッパーを通しておきましょう。もう一方の端はゴムひも通しにセットします。
4 さあ、通していきます。1で開けた穴に丸ゴムを通していきます。
どんどん通して、逆サイドの穴に到達しました。
5 ゴムひも通しは一旦外しておきます。裾をピンと伸ばし、写真のように、丸ゴムの、穴から出たギリギリの位置にもうひとつのコードストッパーを通します。
6 再び、ゴムひも通しをセットし、丸ゴムを通していきます。
ぐるっと一周通すことができました。
7 丸ゴムの端と端を結びます。ぎゅっと結びます。
8 結び目を通してきた穴に入れ、生地を引っ張りながら整えます。
完成です!
リメイクTシャツのコーディネート例
丸ゴムを通したTシャツの裾を絞り、ブラウジングすると、ふんわりシルエットに。
ふんわりしたフォルムが生まれ、マニッシュでカジュアルなTシャツに少しフェミニンさが加わりました。
ウエストにインをしなくても、ちゃんと気を使った、おしゃれさのある大人のコーディネートをつくることができます。
丸ゴムの絞り具合で着丈を変えられるので、ボトムスに合わせてバランスのいい着こなしをつくることができます。
そして、少し長めに調整すれば、気になるお腹をふんわりおおって目隠しすることもできてしまうんです。
優秀です。
◆プラスのひと手間
糸と針を使いますが、切り口のほつれや丸ゴムのつなぎ目が気になる場合は、こんな方法もあります。
※ここでは分かりやすいよう、目立つ色の糸を使用していますが、実際につくるときは、丸ゴムかTシャツに近い色の糸がおすすめです。
<その1>切り口のほつれが心配な場合は……
ほつれ止め液だけでは、切り口のほつれが心配な方は、切り口の端を、かがり縫いしておくと、より安心です。
もちろん、ボタンホールのようにぐるっとかがってあげるのもいいですよね。
よりきれいに仕上がります。
<その2>丸ゴムのつなぎ目の凸凹が気になるときは……
つくり方では結びましたが、丸ゴムのつなぎ目は、並行に重ね、ぐるぐるっと縫いとめると、凹凸が出にくくなります。
ひっかかりがなくなり、よりスムーズにギャサーを寄せることができます。
次回は、シャツの裾にひもを通していきます。
【問い合わせ先】
ロワズィール
https://store.bigi.co.jp/shop/loisir
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「おしゃれのABC」とは……
ちょっとしたコツで、ぐっとおしゃれに。
スタイリスト・植村美智子が、約25年の仕事を通して培ったコーディネートの経験とファッションの知識を生かし、季節ごとに陥りがちな、おしゃれの悩みを解決します。
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<スタイリング/植村美智子 撮影/山川修一>
植村 美智子(うえむら・みちこ)
大阪府吹田市出身。文化服装学院卒業。アシスタント経験後、スタイリストとして独立。雑誌、広告、タレントのスタイリングなどで幅広く活躍。2010年、ファッションコーディネートサービス「Liltin'(リルティン)」を立ち上げ、個人向けのコーディネートを開始する。ひとりひとりとじっくり向き合うことを大切にし、ファッションを楽しんでもらえることを目指したパーソナルスタイリングが人気を呼ぶ。著書に『洋服の選び方』(マイナビ出版)、電子書籍『「今の自分」に似合う服』(扶桑社)などがある。
Liltin' ファッションコーディネートサービス
https://liltin.com/
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